7日、女子バスケットボールリーグのWリーグプレーオフ・セミファイナル第2戦が東京・武蔵野の森スポーツプラザで行われ、第1戦に先勝したデンソーアイリスがENEOSサンフラワーズを82-66で破り、6季ぶりファイナル進出を決めた。第1戦を落としたシャンソン化粧品シャンソンVマジックが富士通レッドウェーブに71-70で逆転勝ち。通算成績を1勝1敗のタイとした。第3戦は8日に同会場で行われる。

 

◇プレーオフ・セミファイナル第2戦

 赤穂ひまわり、両軍最多の24得点(デンソー2勝)

デンソーアイリス 82-66 ENEOSサンフラワーズ

【第1Q】21-15【第2Q】23-23【第3Q】15-13【第4Q】23-15

 

 昨季女王のENEOSを連覇を阻んだのは、皇后杯で破ったデンソー。昨年12月の皇后杯全日本選手権決勝で勝利した相手に雪辱を許さず、6季ぶりにファイナルに進出を果たした。髙田真希は「ENEOSを超えるために自分たちは成長してきた。こういう舞台で勝つことが何よりも自信になる。苦しい経験はたくさんしてきましたが、自分たちが成長できたのはENEOSがいたから。そういう思いを持ってファイナルに臨みたい」と次戦を見据えた。

 

 第1戦を77-58で取っていたデンソーは第1クオーター(Q)から勢いに乗った。ENEOS宮崎早織のスリーポイント、三田七南がスコアして0-5と先手を許したが、慌てない。赤穂ひまわりの得点を皮切りに、木村亜美スリーで追いつき、馬瓜エブリンが決めて7-5と試合をひっくり返す。その後も着実に得点を重ね、21-15。特に赤穂ひまわりは最初のシュートチャンスで外したものの、このQだけで12得点をマークし、チームを牽引した。

 

 第2Qは追うENEOSが長岡萌映子、渡嘉敷来夢ら経験豊富なスコアラーを中心に得点を重ねる。デンソーは今季休養明けからの新加入・馬瓜エブリンがこのQをリードする。11得点を挙げ、44-38と6点差のままハーフタイムを迎えた。

 

 勝負の分水嶺となったのは第3Q。木村のスリーでデンソーが点差を9に広げる。直後、長岡が相手との接触でコートに倒れ、負傷退場を余儀なくされた。昨季の優勝に大きく貢献した長岡の離脱は計り知れない。後半渡嘉敷の得点が止まったこととも無関係ではあるまい。キャプテンの宮崎が得意のドライブで10得点を挙げるなど点差は8点差にとどめたものの、ENEOSは攻め手に苦しむ様子が見られた。

 

 第4Q、デンソーは赤穂姉妹(ひまわり・さくら)、髙田が得点を決め、ENEOSを突き放す。リードを2ケタに広げた。ENEOSも岡本彩也花のスリーなどで踏ん張ったが、反撃及ばず。82-66で試合終了。キャプテンの赤穂ひまわりは「ゲームの入りは良くて、途中相手のリズムになりかけたところはありましたが、その中で自分たちがやるべきことをやり、また自分たちのペースに戻せたのが良かった」と試合を振り返った。

 

 昨季からの成長について、こう述べた。
「昨シーズンは相手のペースになった時に、ズルズルとやられて点を取られて負けてしまう試合が多かったんですが、今は悪い流れになっても自分たちで立て直すことができます。そこがしっかり連勝できた要因だと思います」

 

 敗れたENEOSはこれで16季ぶりの無冠に終わった。キャプテンの宮崎にすれば入団以来初。「悔しいですけど、それ以上に得たものがありました。若手の底上げがあった」と前を向いた。かつてはENEOS1強の様相を呈した時代もあったが、近年は競争が激化したWリーグ。加えてENEOSは今季主力のケガにも苦しんだ。宮崎は「また大きくなったENEOSで帰って来たい」と逆襲を誓った。

 

 イゾジェ・ウチェ、24得点10リバウンドのダブルダブル(1勝1敗)

富士通レッドウェーブ 70-71 シャンソン化粧品シャンソンVマジック

【第1Q】23-6【第2Q】12-24【第3Q】22-19【第4Q】13-22

 

 レギュラーシーズン5位のシャンソン化粧品が“下剋上”を狙う。プレーオフ・クオーターファイナルでは同4位のトヨタ自動車アンテロープスに最大18点差を逆転勝ち。富士通とのセミファイナル第1戦は落としたものの、この第2戦は19点差をひっくり返した。

 

 出だしは劣勢中の劣勢。7分間無得点で、富士通には19点のリードを奪われた。第1Qは6-23。富士通はスターティングメンバー全員がスコアしたのに対し、シャンソン化粧品のフィールドゴールは18分の1。成功率はわずか5.6%だった。第2Qは富士通がベンチメンバーを次々とコートに送り出す。シャンソン化粧品は知名祐里を起用してペースチェンジ。イゾジェ・ウチェが13得点をマークするなど盛り返す。ゾーンディフェンスも功を奏し、このQの富士通のフィードゴール成功率を25%に落とさせ、35-30と5点差まで迫った。

 

 第3Qは点差を広げられたものの、8点差と耐えた。すると第4Q残り5分40秒。白崎みなみのスリーで69-69と追いついた。宮澤夕貴のスリーなどでリードされならがらも粘りを見せる。残り1分26秒、小池遥のスリーで69-66とリードした。殊勲のショットをキャプテンは「同点でしたから、思い切り打とうと思って打ちました。シュートが入ったのはみんなが頑張った結果で、あの3ポイントだったと思います」と振り返った。その後も一進一退の攻防が続いたが、71-70で逃げ切った。

 

「1Qは相手のペースでやられましたが、そこで我慢して諦めなかったことが勝利に繋がったと思います」と小池。劇的な逆転劇にもシャンソン化粧品の鵜澤潤HCは「今日で終わらなかったのはよかったですが、大事なのは明日。明日負けると今日の勝利の意味がなくなってしまうので、明日に向けていい準備をしたいと思います」と表情を崩さなかった。

 

(文・写真/杉浦泰介)