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(写真:那須川はRIZINに参戦し、MMA3連勝中だ)

 日々、暑い。もう7月になっているのだ。早いもので今年も、もう半分を経過した。夏が終われば、秋、そして年末……そう、格闘技の季節が刻一刻と近づいている。

 

 さて、今年の下半期の『RIZIN』大会スケジュールは次の通りだ。

▼7月30日(日)、さいたまスーパーアリーナ

▼10月15日(日)、マリンメッセ福岡

▼12月29日(金)、さいたまスーパーアリーナ

▼12月31日(日)、さいたまスーパーアリーナ

 

 年末の2DAYSがイベントの集大成となるわけだが、そこに向けての7月、10月の大会も見逃せない。7月のさいたま大会で、『RIZINバンタム級(61キロ以下級)王座決定トーナメント』が、そして10月の福岡大会では、『RIZIN女子王座決定トーナメント』が開幕し、それらの決勝戦は、ともに大晦日に行われる。

 

 半月後に迫っている7・30さいたま大会のカードは既に発表されている。

『RIZINバンタム級王座決定トーナメント』の“夏の陣”1回戦のカードは次の3試合。

 

 石橋佳大(Duroジム=第6代修斗環太平洋バンタム級王者)vs.カリッド・タハ(ドイツ)

 大塚隆史(T GRIP TOKYO=DEEPバンタム級王者)vs.アンソニー・バーチャック(米国)

 堀口恭司(アメリカン・トップチーム)vs.所英男(リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)

 

 軽量級戦線の行方を占うワンマッチ

 

 また、この他にも興味深いスペシャルマッチが並ぶ。70キロ契約で行なわれる北岡悟(ロータス世田谷)vs.矢地祐介(KRAZY BEE)も注目だが、それ以上に面白そうなのが、那須川天心(TARGET)vs.才賀紀左衛門(ME,WE)だ。この一戦は57キロ契約、RIZIN MIX特別ルールで行なわれることになる。

 

 1ラウンド目はキックボクシングルール、2ラウンド目がMMAルール。試合時間はいずれも5分で、2ラウンド目が終了しても決着がつかなかった場合はドローとなる(ただし、試合途中にイエローカードの提示があった場合は、優勢勝ちが有り得る)。

 

 ミックスルールといえば思い出すのは、7年前、2010年の大晦日に行われた青木真也と長島☆自演乙☆雄一郎の試合だ。この時も1ラウンドはキックボクシングルール、2ラウンド目がMMAルールで行われた。

 

 1ラウンド目、青木は打ち合おうとはせず逃げに逃げた。それが勝つための作戦だったのだろう。そして2ラウンドに突入する。この時点で青木の勝利は動かし難いように思えたが、実はそうではなかった。

 

 2ラウンド開始早々、この時を待っていたとばかりにタックルに入ろうとした青木の顔面に長島がカウンターで右膝蹴りを合わせたのである。青木は、この一撃をまともに喰らいKO負け……スーパー・アップセットだった。

 

 果たして那須川vs.紀左衛門はどうなるのか?

 

 青木vs.長島と同じような展開にはならないだろう。なぜならば2人はともに打撃系のファイターだからだ。那須川は生粋のキックボクサー、MMA戦士の紀左衛門もカラテ出身で『K‐1甲子園』を経てきたファイターである。1ラウンド目から激しい打ち合いが予想される。そうなれば、「2ラウンド目は考えていない」という那須川が有利か。

 

 ただこの一戦、リアルに那須川のMMAファイターとしてのポテンシャルを検証するのであれば、通常のMMAルールでもよかったと思う。MMAならキャリアで勝るの紀左衛門に分がある。そこを敢えて不利なミックスルールを受け入れた紀左衛門がアップセットを起こせば「RIZIN」軽量級戦線の流れは大きく変わる。

 

 紀左衛門が10・15福岡“秋の陣”からバンタム級トーナメントにエントリー、あるいはワイルドカードでの出場することも十分にあり得よう。逆に2ラウンド目に突入した末に那須川が勝つようなことがあれば、「18歳の天才ストライカー」の存在は、さらに巨大化する。

 

近藤隆夫(こんどう・たかお)

1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『キミはもっと速く走れる!』『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『キミも速く走れる!―ヒミツの特訓』(いずれも汐文社)ほか多数。最新刊は『忘れ難きボクシング名勝負100 昭和編』(日刊スポーツグラフ)。

連絡先=SLAM JAM(03-3912-8857)


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