プロ野球のクライマックスシリーズ(CS)・ファーストステージ第3戦が10日、セ・リーグで行われ、レギュラーシーズン3位の阪神が2位の横浜DeNAに3対2で逆転勝ちし、2勝1敗でファイナルステージ進出を決めた。12日に始まるファイナルステージ(6試合制)は、セが神宮球場で1位の東京ヤクルトと阪神が、パは京セラドーム大阪で1位のオリックスと2位の福岡ソフトバンクが対戦する。
◇クライマックスシリーズ・ファーストステージ
10月10日(月)
佐藤輝明のCS初アーチで17イニングぶり得点!
(阪神2勝1敗 横浜 32,977人)
阪神タイガース
3=000|102|000
2=011|000|000
横浜DeNAベイスターズ
勝利投手 岩貞(1勝)
セーブ 湯浅(2S)
敗戦投手 濵口(1敗)
本塁打 (神)佐藤輝ソロ
(D)宮﨑ソロ
プロ13年目のベテランが10打席目で仕事をやってのけた。第1戦からファーストでスタメン起用されていた原口文仁は、前日まで7打数ノーヒット(2三振)。この日も相手先発の左腕・濵口遥大に対し、空振り三振、サードライナーに倒れ、月間打率4割5厘を記録した9月の打棒は影を潜めた。
しかし、ここ一番で沈黙は破られる。第3打席は2対2の同点に追いついた6回表、なお1死二塁というチャンスで回ってきた。マウンドには2番手の入江大生。やや制球が乱れる右腕が投じた6球目の直球を思い切り引っ張った。勝ち越しのレフト前タイムリーヒット。三塁側から射す西日に照らされた原口は、一塁ベース上で納得の表情を浮かべた。
10年目のオフ、26歳で大腸がんを患った。それでも、手術とリハビリを乗り越えた原口は翌19年シーズン序盤には実戦復帰。体調は安定し、今もチームに欠かせぬ存在としてグラウンドに立ち続ける。「執念の男。ああいうところで、やってくれる」。矢野燿大監督も絶大な信頼を寄せる30歳が放った決勝打。さらなる下剋上へ、まだまだ原口の力が必要である。
(文/古澤航)