合同自主トレをスタートして約1カ月が経ちました。2月前半の体力強化や基礎練習、2月後半のシート打撃、紅白戦を経て、いよいよ3月は開幕に向けたオープン戦に突入します。ここまではケガ人もなく、順調に来ているのではないでしょうか。
 この1カ月で投手陣、野手陣のポジションもだいたい見えてきました。これからは、それが実戦の中で機能するかを確認する作業に入ります。投手陣では前回、「エースの洪成溶に続く、2番手、3番手の先発投手がポイント」とご紹介しましたね。その2番手投手は新人右腕の清水信寿(エイデン愛工大ブリッツ)になりそうです。

 彼は球のスピード、力強さだけならチームナンバーワン。投げ方は西武、巨人で活躍した豊田清(広島)によく似ています。球種もカーブ、スライダー、フォーク、カットボールと多彩です。期待も込めて、先日のアイランドリーグ選抜と阪神2軍の交流戦では、選抜チームに推薦しました。結果も1回を三者凡退と良かったようです。今後は実戦で投げる中で、これという武器を磨けば、スカウトに注目される投手になるでしょう。

 3番手の先発は2人くらい候補がいますが、まだ悩んでいます。今年の投手陣は練習生も含めて12名。前年から引き続きチームに在籍している投手は秋より明らかに良くなっています。このまま全員がレベルアップして、誰をどのように使うか、うれしい悲鳴になればいいですね。

 抑えには米国からやってくるジョーダン・ムイアーを考えています。昨年、テストした際には速球が印象に残りました。本人は先発志望のようですが、短いイニングで結果を残したほうがNPBの目にも留まるでしょう。ただ、ビザの関係もあり、来日が遅れているため、どのくらい仕上げて来るかが気がかりです。

 先発、抑えが決まれば、ブルペンの陣容を整える作業が残っています。ここが開幕まで残り1カ月のテーマです。開幕は4月2日。高知をホームに迎えます。まだまだやらなくてはならないことはありますが、いいチームに仕上がりそうです。三重のみなさん、応援よろしくお願いします。


長冨浩志(ながどみ・ひろし)プロフィール>:三重スリーアローズ監督
1961年6月10日、千葉県出身。千葉日本大学第一高卒業後、国士舘大、NTT関東を経て86年、ドラフト1位で広島に入団。1年目から2ケタ勝利をあげてリーグ優勝に貢献し、新人王に輝いた。MAX150キロのストレートを武器とする本格派右腕として、その後も広島の投手陣の要として活躍。95年に日本ハムにトレード移籍し、技巧派リリーフ投手に転じた。98年にダイエー(現ソフトバンク)に移籍し、2連覇に貢献。2002年に現役引退。ダイエー、ソフトバンクコーチを経て、07年からBCリーグ・石川のコーチとして初年度のリーグ制覇を支えた。09年より長崎の監督に就任。1年目でチームを前期優勝に導いた。11年からは三重で指揮を執る。
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