第1191回 「1番」大谷 自己最多得点でチームに貢献

facebook icon twitter icon

 サッカーにあって野球にはないタイトル――それは「得点王」である。なぜ、野球にはないのか。AI先生に聞いてみた。<他力本願の要素が強すぎる>(Claude Sonnet4.5)。出塁しても、誰かに本塁まで還してもらわなければポイントにはならない。だから打撃タイトルのひとつに加えるほどの価値はない。きっとこういうことなのだろう。

 

 今季、ドジャースの大谷翔平が記録した得点数は自己最多の146。ナ・リーグにおいては、ぶっちぎりのトップだ。2位はフアン・ソト(メッツ)の120、3位はフランシスコ・リンドア(同)の117。ア・リーグでも大谷を超える選手はいない。1位はアーロン・ジャッジ(ヤンキ-ス)の137だった。

 

 参考までに紹介すれば、シーズン歴代最多得点は、MLBが近代化された1901年以降に限れば、1位はベーブ・ルース(ヤンキ-ス)の177(21年)。この年、ルースは152試合に出場し、MLB史上最多の457塁打をマ―クしている。

 

 2000年代に入ってからは、00年のジェフ・バグウェル(アストロズ)の152が最多。2位が23年のロナルド・アクーニャ・ジュニア(ブレーブス)の149、3位が01年のサミー・ソーサ(カブス)の146だ。大谷はソーサに並んだ。

 

 

 ドジャース移籍1年目の昨季、DHに専念することになった大谷は、バット以外でもチームの勝利に貢献するため、盗塁の技術に磨きをかけ、MLB史上初の「50-50」(54本塁打・59盗塁)を達成した。

 

 開幕からリードオフマンの役割を与えられた今季は、二刀流復活に備えて、ケガのリスクを伴う盗塁を制限(それでも20)する一方で、チームへの貢献度の高い得点数に重きを置くようになった。それは「1番を打っている以上、(得点は)打点以上に大事だと思っている」という本人のコメントからも明らかだ。

 

 打点は1打席で最大4が記録される。だが得点は1打席で最大でも1。<他力本願の要素が強すぎる>得点を、AI先生は重視していないようだが、大谷の場合、本塁打分の55得点は自力でもぎとっている。ぜひ、こうした点も評価してもらいたい。

 

「現役を辞めてから、自分でもびっくりした記録がある」。かつて、そう語った名選手がいる。現福岡ソフトバンク会長の王貞治だ。「それだけチームの勝利に貢献してきたんだと、改めて実感しました」。NPBにおける通算得点1位は王(巨人)の1967。2位が生粋のリードオフマン福本豊(阪急)の1656だ。

 

 追記すれば、「他力本願」の本当の意味は<仏の力、阿弥陀仏の慈悲のはたらき>(仏教語豆事典)を言うのであって、他人の力をあてにする、ということではない。阿弥陀さまに代わってAI先生に喝を入れておこう。

 

<この原稿は25年10月1日付『スポーツニッポン』に掲載されたものです>

 

 

facebook icon twitter icon
Back to TOP TOP