B-BoyはISSIN、B-GirlはRikoの日本人が初V 〜Red Bull BC One〜

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 9日、ブレイクダンス(ブレイキン)の1ON1で世界最強を決める「Red Bull BC One World Final Tokyo 2025」(BC One)が東京・両国国技館で行われた。B-Boy決勝はISSINがHarutoとの日本人対決を制した。B-Girl決勝はRikoが昨年準優勝のNicka(リトアニア)を破った。いずれもBC One初制覇。来年のBC Oneはカナダでの開催が発表された。

 

 大相撲の九州場所初日を迎えた、この日、日本の国技の聖地・両国に力士や好角家たちではなくB-BoyとB-Girlたちが集った。2016年の名古屋大会以来の日本開催。ブレイキンの大一番をひと目見ようと7700人を超える観客が升席やアリーナ席に陣取った。

 

 チャンピオンベルトを腰に巻いたのは、いずれも2年ぶりのBC One出場(ISSINは3度目、Rikoは2度目)となった2人だ。「Rikoと僕はオリンピックに行けなかった2人。昨年メチャクチャ悔しい思いをした。出られなかった穴を埋められるのはBC Oneしかないと思っていた」とはISSIN。Rikoも「昨年悔しい思いをした」と口にしたように、最終予選で敗れ、パリオリンピックの切符を獲得できなかった悔しさを晴らしたかたちとなった。


 沖縄出身のB-Giri、18歳のRikoは2年前のBC Oneでベスト8入りした。この日のオープンニングバトルとなったSwami (メキシコ)に5対0で勝つと、Starry(韓国)、Syssy(フランス)を撃破し、初の決勝進出を果たした。

 決勝の相手、18歳のNickaは前回大会準優勝でパリオリンピック銀メダリストだ。長い手足を生かし、Riko曰く「何回もバトルしてきたが、1回も勝てたことがない」。強敵相手にも笑顔でステージを舞った。

 Rikoは決勝後の会見でこう振り返った。
「去年1年間、本当に悔しい思いをたくさんしてきました。だから今回は、“自分のすべてをぶつけて絶対に優勝したい”という気持ちで臨みました。でも途中で気付いたのは、結果にこだわりすぎると本当の自分のダンスができなくなること。そこからマインドを切り替えられました。結果に集中し過ぎるのではなく、もう一度、“自分はなぜブレイクを始めたのか”という原点に戻った」

 決勝はジャッジが1人ずつボードを上げて勝者を示す。Riko、Nicka、Rikoと続き4人目がRikoのボードを掲げた瞬間、勝者はステージに倒れ込んだ。「日本開催で優勝できてうれしい」とRiko。日本人女子としてはパリオリンピック金メダリストでもあるAmi以来(18、22年)、2人目となるBC One優勝者となった。

 岡山出身のB-Boy、20歳のISSINは、初戦から2021年大会の王者とぶつかった。Amiir(カザフスタン)は、ISSINからすれば先述したパリオリンピックの予選シリーズで敗れた因縁の相手でもある。「絶対勝ちたかった。一番強い持ちネタをぶつけてた。倒したい気持ちとこれをやったら勝てるという自信。その瞬間が一番楽しかった。“生きてる!”って感じがしました」。ダイナミックで野性的な踊りを一発目から全開で披露。5対0で勝ち上がると、準々決勝で昨年のBC One準優勝のIcey Ives(アメリカ)を破った。


 準決勝では20年大会覇者のShigekixを破り、初の決勝では同じクルー「Body Carnival」(京都)に所属する同い年のharutoに競り勝った。ISSINはオフィシャルインタビューで「BC Oneは小さい頃からの夢だった。それをやっと叶えられた」と喜びを語った。勝因はこちらもマインドセットにあったという。
「その日、一番自分がカッコイイと思って踊ることが一番魅力的に見えるし、勝っていると感じた。やることはやったので、自分がカッコイイと思ったブレイクダンスをどれだけ見ている人やジャッジに突き刺すか。それが羽根を伸ばしたような踊りができた理由」

 優勝者の2人に共通していたのが踊りを楽しんでいたように見えたところだ。遊び心のあるムーブも織り交ぜた。それが2人のスタイルなのもあるだろうが、笑顔や向こうっ気の強い表情は“楽しんだ者勝ちだ”と、これからのB-Boy、B-Giriへのメッセージに映った。
 

(文・写真/杉浦泰介)

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