相模原DB、横浜Eとの神奈川ダービー制し今季初勝利 ~リーグワン~
21日、「NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26 」第2節、ディビジョン1(D1)三菱重工相模原ダイナボアーズと横浜キヤノンイーグルスによる神奈川ダービーが神奈川・相模原ギオンスタジアムで行われた。ダイナボアーズがイーグルスを17-10で破り、今季初勝利を挙げた。次節はダイナボアーズが埼玉パナソニックワイルドナイツ、イーグルスが東芝ブレイブルーパス東京を、いずえも28日にホストゲームに迎える。
互いに開幕戦を落として迎えた神奈川ダービー。昨季の対戦成績は1勝1敗の五分で、順位は8位イーグルス、9位ダイナボアーズだった。
ダイナボアーズは前節からCTBチャーリー・ローレンスがハニテリ・ヴァイレアに代わったものの、リザーブのWTB加島DJ以外は同じメンバーだ。イーグルスはSHファフ・デクラークとCTBジェシー・クリエルの南アフリカ代表コンビがメンバー外。試合当日にCTB梶村祐介、直前にはFBブレンダン・オーウェンがメンバー外となるアクシデントに見舞われた。
前半は風上のダイナボアーズが優位に試合を進めた。8分には一瞬、パスが乱れたがNo.8のマリノ・ミカエリトゥがなんとか拾い、フォローしたLOジャクソン・ヘモポがゲイン。最後は内に走っていたSH岩村昂太がトライエリア(インゴール)中央にトライを挙げた。「ジャックス(ヘモポの愛称)がいろいろな角度からオフロードするのはわかっていたので、しっかりサポートしてボールをもらえるように準備していました」と岩村。直後のFBジェームス・グレイソンのコンバージョンキックが決まり、7点リードした。
12分には敵陣でボールを奪い、岩村がトライエリア左隅に飛び込んだ。グレイソンのコンバージョンキックは外れたがリードを12点に広げた。18分にもトライエリアにも迫ったが、TMO(ビデオ判定)の末、FL吉田杏のグラウンディングは認めらなかった。29分にグレイソンがハイタックルでイエローカードを受け、数的不利の時間帯もチャンスをつくった。前半はこのままのスコアで終えた。
後半最初のトライはイーグルス。6分、SO田村優のパスからFB武藤ゆらぎが抜け出す。田村がリターンパスをもらうとステップで相手ディフェンスをかわし、トライを挙げた。田村のコンバージョンキックは決まらなかったものの1トライ1ゴール差に迫った。
ダイナボアーズは後半11分、FW勝負で敵陣深くに押し込んだ。最後は吉田が飛び込んでトライ。「ミスマッチがあったから飛び込んだ。みんなで取ったトライ」と喜んだ。
22分にイーグルスに1トライを返され、26分にはPRピーター・ショルツがクリーンアウトの際に頭部への危険なプレーでカード(バンカーシステムによりイエローからレッドにアップグレード)で数的不利の状況に陥った。残り10分はほぼ自陣でのプレーを余儀なくされたが、粘りのディフェンスで最後の一線は越えさせなかった。32分はヘモポがスティール(ジャッカル)、38分にはWTBマット・ヴァエガがボールを奪った。約2分、ボールをキープし、試合終了を報せるホーンが鳴ると、グレイソンが外に蹴り出した。
逃げ切ったダイナボアーズのグレン・ディレイニーHCは「本日の試合はタフ。最後の5分はギリギリ。我々のDNAを示せた」と今季チャレンジ中という日本語で試合を総括した。今季からキャプテンを任されている吉田も「自分たちのDNAをグラウンドで証明できた」と胸を張った。
「自分たちが積み上げてきたトレーニングであったり、言葉では言い表せないことをしてきた。ハードワークと言葉にすると簡単ですが、反復してきたトレーニングでここまでできた。相手よりもすぐ立ち上がり、身体を張る。シンプルなことですが、すごく難しい。誰もできない。そこのハートの部分を全員が行動に移せたと思います」
フル出場したハーフ団も、自分たちのDNAを強調する。
「あれがダイナボアーズのディフェンス。全員がしっかりハードワークする。走って、どんな時でも相手を止め続ける。それを皆さんにお見せできたのは良かったと思います」(岩村)
「最後は人数少ない中で、FWがゴールラインでキャリーを頑張ってくれた。常にキャプテンからもコーチからも、粘り強さがチームのDNAであると聞きます。今日のハーフタイムにも、あまり得点に繋がらなかった12対0という中、後半は風下になるので接戦になると予想できた。リーダー陣からは『自分たちのDNAを理解して、粘っていこう』という話をしていた。そういうのは練習から日々言われています」(三宅)
この日のホストゲーム開幕戦には7128人の観客が集まった。昨季の開幕戦は6607人。同1試合平均観客数5855人に加え、今季チームが目標に掲げる「6000人以上」も上回っており、上々のスタートと言えよう。石井晃GMも「概ね想定通りの人数に来ていただいた。我々としては非常にポジティブに捉えています」と語った。
神奈川ダービーが、集客に与えた影響も小さくない。
「グラウンドも目と鼻の先にある相手。下部リーグの時から競い合っていたチーム。リーグワンになってから、より地域を大事にするようになってから、ライバル意識も高まっていました。今日の試合、(イーグルスのチームカラーの)赤いウェアを着たお客さんにもたくさん来ていただき、神奈川ダービーにふさわしいものだったと思います」
石井GMは毎年、相模原ギオンスタジアム内を巡回するという。
「声を掛けていただくことがすごく増えている。それも熱の入ったファンの方々が多い。オフシーズンからのいい取り組みが継続できていると実感しました」
ダイナメイトとウリボアーズ(ダイナボアーズのファンの呼称)の熱量は選手も感じ取っている。今季の新加入、ニュージーランドからの“逆輸入”三宅は「熱狂的なファンがいて、うれしいし、プレーしていても楽しいです。グラウンドから見た景色が(チームカラーの)緑でいっぱいだったので、そこもすごいなと思いました」と受け止めていた。
今季の目標はプレーオフ進出(6位以上)に掲げるが、事業面での上積みも図る。石井GMは「プロ化するという意味ではなく」と前置きした上で「事業の方もプロフェッショナルになっていく必要がある」と口にする。
「ただ稼ぐことが目的ではありません。クラブが発展していくための手段としてリソースづくりは並行して進めなければならないことだと強く感じています」
事業面でも“全緑前進”を誓った。
(文・写真/杉浦泰介)