メンバー選考のキーワードは「マルチロール」と「ゲームチェンジャー」

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 非常に収穫の多い英国遠征であった。

 

 守備を固めてくるスコットランド代表には我慢しながら攻撃を続け、システムを3-1-4-2の超攻撃布陣に切り替えると伊東純也が決勝ゴールを奪って1-0で勝利。中2日で臨んだイングランド代表(FIFAランキング4位)戦では逆に守勢に回りながらも鋭いカウンターを発動させ、こちらも1-0で格上の強豪を撃破した。いずれもクリーンシートで、メンバーを入れ替えながら〝いい守備からいい攻撃〟を体現。誰が出ても、個と組織を融合できる層の厚さは、6月に開幕する北中米ワールドカップに向けて十分な期待をうかがわせる試合内容であった。

 

 5月に予定される代表メンバー発表前の、最後の2連戦でもあった。今回のコラムでは登録メンバー26人を予想してみたい。

 

 まずは確実視していいメンバーから挙げたい。

 

【GK】鈴木彩艶(パルマ)【FP】谷口彰悟(シント・トロイデン)、渡辺剛(フェイエノールト)、伊藤洋輝(バイエルン・ミュンヘン)、鈴木淳之介(コペンハーゲン)、板倉滉(アヤックス)、伊東純也(ゲンク)、鎌田大地(クリスタル・パレス)、三笘薫(ブライトン)、前田大然(セルティック)、堂安律(フランクフルト)、中村敬斗(スタッド・ランス)、久保建英(レアル・ソシエダ)佐野海舟(マインツ)、田中碧(リーズ)、上田綺世(フェイエノールト)

 

 英国遠征のパフォーマンス、かつこれまでの代表実績を踏まえるとこの16人は外せない。よほどコンディションを崩さない限り、落選は考えにくい。久保と板倉は復帰後の状況を見なければならないが、日本代表で継続して招集されてきた主力であり、順当に入ってくるに違いない。

 

 残り10人とすれば、まずGKは英国遠征に招集された大迫敬介(サンフレッチェ広島)、早川友基(鹿島アントラーズ)が優位に立つ。今回、J1百年構想リーグで導入されているPK戦で無類の強さを発揮している谷晃生(FC町田ゼルビア)、ベルギーで優勝争いに身を置く小久保玲央ブライアン(シント・トロイデン)が追い掛ける展開だろう。

 

 DFでは今回、辞退となった冨安健洋(アヤックス)に、森保一監督の熱い視線が注がれている。ケガから復帰して臨んだフェイエノールト戦の内容を高く評価し、英国遠征後にはオランダで面談していることからも体の状況次第ではあるものの、メンバーに加えたいという意思が伝わってくる。

 

 なぜ指揮官は冨安にこだわるのか。

 

 前回のカタールワールドカップ、ドイツ代表とのグループステージ初戦において流れを変えて逆転勝利できたのも、後半からピッチに入った冨安の存在が大きかった。スペイン代表との第3戦では後半途中から出場してリードを守るミッションを果たした。コンディションが万全とは言えないなかでも「ゲームチェンジャー」になり「クローザー」ともなれるという絶大な信頼は揺らいでいない。

 

 同じくDFは瀬古歩夢(ル・アーヴル)、菅原由勢(ブレーメン)、橋岡大樹(ヘント)英国遠征をケガで辞退した安藤智也(ザンクトパウリ)らが候補に挙がる。イングランド戦を見ても相手が空中戦を仕掛けてくることは考えられるだけに、空中戦に滅法強い安藤と守備に重点を置くウイングバック、4バックとの併用を考えると菅原が有力だと感じる。

 

 5大会連続のメンバー入りを目指す長友佑都(FC東京)はケガによる離脱もあってアピール不足の状況。現状は難しいと予想したい。

 

 ボランチはキャプテンの遠藤航(リバプール)は足首の状況が気になるところではあるが、プレーできる状態になれば冨安同様、指揮官の信頼度を考慮しても呼ばれると見ていい。もう1枚は藤田譲瑠チマ(ザンクトパウリ)、守田英正(スポルティング)のどちらかだろう。スコットランド戦で先発起用された藤田は攻守に効果的な働きを示し、かなりのアピールになったはず。守田が1年ほど代表から離れていることからも藤田が加わってくるのではないだろうか。ただ欧州CLでベスト8に残っている守田が結果を出していけば、逆転選出の可能性はあるだろう。

 

 なかなかに難しいのはシャドーとFWである。

 

 候補を並べていくと佐野航大(NEC)、鈴木唯人(フライブルク)、佐藤龍之介(FC東京)、相馬勇紀(FC町田ゼルビア)、小川航基(NEC)、後藤啓介(シント・トロイデン)、町野修斗(ボルシアMG)、塩貝健人(ヴォルフスブルク)らがラインアップに並ぶ。左膝前十字じん帯断裂の大ケガを負った南野拓実(モナコ)はさすがに間に合わないだろう。

 

 英国遠征で明確に株を上げたのが塩貝だ。スコットランド戦で短い出場ながらアグレッシブに「がっつく」感じがチームのエンジンとなり、伊東のゴールをアシストしている。ゲームチェンジャーとの観点においても、カードとして持っておきたい一枚だと言っていい。

 

 森保監督は1トップには上田同様、ボールを収められるタイプを重視しているように映るが、ここはシャドーもこなせる町野を、そしてシャドーは打開力というストロングポイントを持つ鈴木と予想した。

 

 ワールドカップ優勝を目標に置き、8試合を想定するならシャドーでもウイングバックでも好パフォーマンスを発揮する三笘、中村、伊東のように、鈴木淳をウイングバックでもテストしたように複数のポジションをこなせるマルチロールが多くいたほうがいい。

 

 この26人はあくまで筆者が予想したメンバーであり、この1カ月間、所属クラブでの活躍次第で序列が変わってくる可能性もある。

 

 冨安は呼ばれるのか、塩貝は生き残るのか、サプライズが待っているのか――。

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