第229回 俊輔コーチ就任は「最高の人事」

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 15日にサッカー北中米ワールドカップに臨む日本代表のメンバーが発表され、

いよいよ6月11日(現地時間)に世界一を決める戦いが始まります。今回は、「最高の景色」を目指す日本代表について語りましょう。

 

 イギリス遠征で初招集され、代表キャップ1を記録したFW塩貝健人(ヴォルフスブルク)が選出されました。今回は特段、サプライズはなかったので“新しい風”と言えるのは彼とFW後藤啓介(シントトロイデン)くらいでしょうか。塩谷は爆発的なスピード、後藤は高さというわかりやすい武器があるので、選出もあり得るなぁ、と思っていました。2人には自らのストロングポイントを存分にいかして、活躍してもらいたい。

 

 長く戦列を離れていたDF冨安健洋(アヤックス)が復帰を果たしました。出場できれば高いパフォーマンスを発揮してくれることは間違いないです。森保一監督も、かなり冨安を当てにしていたでしょう。起用方法に関しては、限定的な時間での使い方になるのが現実的かなと感じています。試合終盤、リード時に逃げ切るための守備固めのカードになるはず。188センチという高さ、スピードもあり、クレバーな判断力もある。センターバックもウイングバックもできるとあり、短い時間かもしれませんが、監督としては手元に置いておきたい選手であることには変わりありません。

 

 39歳の大ベテランであるDF長友佑都(FC東京)が日本代表史上最多となる5大会連続選出されました。日本の選手で彼ほどたくさん経験している人物はいません。大会期間中の過ごし方、気持ちの持って行き方、リカバリーの方法など、長友が持つ知見は何物にも代えがたいはず。彼が選手としてチームにいることの効果は絶大です。そして、経験だけで選ばれたわけではありません。長友粘り強いサイドでの守備は冨安同様、逃げ切り策の貴重なカードになるはずです。

 

 それもこれも期待感が持てるのは、森保監督が5枚の交代枠の使い方が巧みだからです。4年前のカタール大会では、采配の振るい方が際立っていました。彼の手腕にも期待しましょう。

 

 4月中旬には代表の10番を長く背負った中村俊輔のコーチ就任が発表されました。いまの現役選手たちは年齢的に俊輔のプレーを見て育っているでしょうし、これはうれしいのではないでしょうか。僕が選手の立場だったら俊輔から目を離さないし、たくさん聞きたいことがある。「試合前の何時間前にはどういったものを食べますか? 試合まではどうやって過ごすのか? プレー中のこういう場面ではどんなことを考えますか?」と質問攻めするかもしれません。あれだけの経験をしている人の意見を聞けるなんて、またとない貴重な時間です。キックの精度は世界屈指ですから、「どうやって蹴っているのか? どういうことを意識して蹴っているのか?」と教えてもらえるチャンスです。代表のコーチとしてはPKと攻撃担当の名波浩コーチのサポートが主な役割なようです。最高の人事と言っていいでしょう。

 

 また31日のアイスランド戦までの限定的復帰でDF吉田麻也(LAギャラクシー)がチームに帯同しています。アメリカのMLSでプレーしていますし、アメリカの気候、スタジアムの環境など、生きた情報を収集できるし、彼の代表で経験したことをチームに落とし込むこともできる。人事すべてに妥協がありません。

 

 そして左ひざ靭帯損傷の影響で、選外となったMF南野拓実(モナコ)が大会期間中、「メンター」としてチームに帯同します。涙を飲んだ仲間が近くにいる精神的効果は大きいと思います。ピッチに立つ選手は「南野のためにも」と発奮するはずです。

 

 僕も全力で森保ジャパンを応援します!

 

●大野俊三(おおの・しゅんぞう)

<PROFILE> 元プロサッカー選手。1965年3月29日生まれ、千葉県船橋市出身。1983年に市立習志野高校を卒業後、住友金属工業に入社。1992年鹿島アントラーズ設立とともにプロ契約を結び、屈強のディフェンダーとして初期のアントラーズ黄金時代を支えた。京都パープルサンガに移籍したのち96年末に現役引退。その後の2年間を同クラブの指導スタッフ、普及スタッフとして過ごす。24年1月、長く務めた鹿島ハイツスポーツプラザを退職。新たな夢の実現のため、日々奮闘中。93年Jリーグベストイレブン、元日本代表。

*ZAGUEIRO(ザゲイロ)…ポルトガル語でディフェンダーの意。このコラムでは現役時代、センターバックとして最終ラインに強固な壁を作った大野氏が独自の視点でサッカー界の森羅万象について語ります。

 

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