8月21日(水)、愛媛FCがアウェイでJ2リーグ公式戦(対コンサドーレ札幌)を戦うこの日、愛媛県総合運動園球技場では、愛媛FCレディースが参戦するプレナスチャレンジリーグ2013の公式戦(第3節)が行われた。4月21日に宮城県サッカー場にて開催が予定されていたリーグ戦の第3節が雪の影響のため中止となり、代替試合となったのである。
 対戦相手は、第17節終了時点でリーグ戦首位の常盤木学園高等学校。午前11時30分、気温が36℃を超える異常な暑さの中、常盤木学園のキックオフで試合がスタートした。

 前半5分、相手のカウンター攻撃から、いきなり失点を喫してしまう。出端をくじかれた形となった愛媛FC。それでも反撃に向けてボールキープを試みる。

 前半27分、ペナルティアーク手前にて、後方のMF阿久根真奈選手からパスを受けたMF中田麻衣子選手が、足元にボールを収めようとするが、敵DFにアプローチされ、ボールを失う。そこから、こぼれたボールがペナルティエリアへと転がると、走り込んできたMF山城見友希選手が敵DFと競り合いながらダイレクトにボールをとらえ、左足でシュートを放った! 低い弾道のボールは敵GKの脇を擦り抜け、見事ゴールイン!
 
 同点に追いつき、喜んだのも束の間。その2分後の前半29分、右サイドから崩され、相手に勝ち越し点を許してしまう。その後、前半38分と前半43分にも追加点を奪われる。
 
 苦しい展開の中、前半45分、打開に向けて攻撃的な姿勢を見せる愛媛FC。敵陣中央を阿久根選手とMF小川真名美選手の巧みなパス交換でボールを進める。阿久根選手が、敵DFライン裏に飛び出す構えをみせる中田選手に向けて、ロビングのラストパスを供給。ペナルティエリアまで走り込んだ中田選手が、これをとらえ、バウンドのタイミングに合わせて右足を振り抜いた!

 ボールは敵GKの頭上を越え、ゴールイン! 前半は2−4のスコアで終了。
 
 ハーフタイムを挟み、愛媛も立て直せるかと思ったが、炎天下においても運動量で上回る常盤木イレブンにハイプレッシャーをかけられ、後半21分と後半28分にも追加点を献上してしまう。
 
 愛媛も意地を見せたのは後半41分。敵陣内の左サイドに陣取るMF西川早弓選手がペナルティエリアへアーリークロスを供給。ゴール前に上がっていたMF葛間理代選手が、このボールをとらえ、ヘディングシュートを放った! ボールは敵GKの伸ばした手の先を抜け、ゴールネットを揺らした!
 
 しかし、その直後、後半41分とアディショナルタイムにも相手に得点を許し、最終スコア3−8で愛媛FCレディースの完敗に終わった。強敵へと果敢に挑んだ一戦だったが、悔しい敗戦となった。しかし、「なでしこリーグ」を目指す自分たちの実力の程度を知る良い機会となったとも言えるだろう。この試合を分析して何が足りないのか、何が必要なのかを学び取り、今後の成長への糧として欲しい。
 
 
 下部組織における戦いは、愛媛FCレディースだけではない。今季は高円宮杯U−18サッカーリーグ・プリンスリーグ四国に降格しての参戦となった愛媛FCユース。プレミアリーグへの復帰に向けた若者たちの戦いにも注目である。
 
 6月22日(土)、2013プリンスリーグ四国の第7節となる愛媛FCユース対徳島ヴォルティスユースの一戦が、徳島スポーツビレッジにて行われた。ユース年代における四国ダービーは、果たしてどちらに軍配が上がるのか?
 
 この日の徳島県板野町は、ところどころ雲が残っているものの晴天に恵まれ、ピッチコンディションは良好な模様。愛媛の声出し応援サポーターは、私と愛媛FCサポーターズクラブ「ラランジャ・トルシーダ」のメンバーの計2名だ。私がコールリードをしながら、太鼓も叩くことになった。
 
 午前11時、徳島のキックオフで試合がスタートした。立ち上がり、ロングボールを多用し、自陣へと攻め込んでくる徳島。それでも相手のパスを奪い、ボールキープを始めると、愛媛イレブンが徐々にペースをつかみ始める。

 前半16分、MF堀内勇佑選手が敵陣中央をドリブルで駆け上がる。敵DFライン裏への突破を図るMF岡村直哉選手へとスルーパスを通した。パスを受けた岡村選手が、敵DFをかわしつつ、ペナルティエリアまでボールを持ち込みシュート! 見事、ゴールイン! 先制点を奪取し、勢いに乗る愛媛FCユース。
 
 試合が再開された直後、歓喜の瞬間が再び訪れた! 敵DFのパスを素早くカットした岡村選手が、ペナルティアークまでドリブルで持ち込みシュートを放つ! ボールは敵GKの頭上をかすめ、ゴールマウスへと突き刺さった!
 
 前半30分には、敵DFからのルーズボールを素早く拾ったMF白石直人選手がペナルティエリアまでボールを持ち込むが、敵GKが阻止。そこから、こぼれたボールを後方から走り込んできたMF大森遊音選手がとらえる! 見事、ゴールネットを揺らした!
 
 さらに前半31分、敵陣内の左サイドで味方からのスルーパスを受けた白石選手が敵DFラインの裏に抜け出し、シュート! グラウンダーのボールがゴールイン!
 
 立て続けのゴールラッシュに「スウィーギン、スウィンギン愛媛、フォーエヴァー!」。歓喜のチャントが鳴り止まない! 前半は4−0と、愛媛FCユースのリードで終了。
 
 後半立ち上がり、徳島の積極的なプレッシングで、なかなかボールをキープできない愛媛イレブン。それでも両サイドスペースを巧みに活用しつつ、敵陣へとボールを進める。

 後半9分、堀内選手のミドルシュートから愛媛がコーナーキックのチャンスを得る。キッカーは堀内選手。左コーナーからファーサイドに向けて蹴ると、少し流れたが、DF岡田一騎選手が拾い直し、ゴール前へとロビングボールを折り返す。

 このボールをとらえたのは、白石選手。敵DFと駆け引きをしつつ大きくジャンプし、ヘディングシュートを放った! ボールは、敵GKが伸ばした手の先を擦り抜け、ゴールイン! 愛媛が追加点を挙げ、完全に試合の主導権を握った。
 
 後半15分には、敵ゴール前での混戦からこぼれたボールに、DF佐藤友選手が後方からアプローチ。ボールを足元に収め、敵DFをかわしながらシュートを放った! 弾丸シュートは、ゴールマウスに突き刺さった!
 
 締めくくりは後半35分、大森選手が右サイドをドリブルで駆け上がる。ペナルティエリアまでボールを持ち込み、ゴール前にグラウンダーのラストパスを供給。そこへ飛び込んだのはMF高木俊輝選手だ。折り返されたボールに対し、軽く左足で合わせ、ゴールマウスへと流し込んだ。流れるような連携からの素晴らしいゴール!
 
 これが、とどめの一撃となった。結局、最終スコア7−0で愛媛FCユースが大勝を収め、ユース年代の四国ダービーを制した。
 
 1試合毎に、チームとしても選手個々としても、成長ぶりが感じられるユース年代。試合を観ていると、明るい未来を感じさせてくれる。今後も彼らの活躍とレベルアップに注目し、応援を続けたい。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>
 1967年5月14日、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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