第217回 高知・弘田澄男「愛媛自由契約・金城の変化」

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 開幕まで、あと1カ月となりましたが、正直、まだチームの全体像は見えてきません。特に投手陣は外国人5名がこれから来日予定。カープドミニカアカデミーから左右ひとりずつに、米国の選手が1名、さらにドミニカ出身の右と左が1枚ずつ加わる予定です。どのピッチャーもそこそこ力はあると聞いていますが、どのくらいのピッチングができるか見てみないとわからないので役割分担もできません。
 2月のハンファ・イーグルスとの交流戦では、オール日本人で新人や練習生も含めて投げてもらいました。外国人が未知数なだけに2年目の平良成には、ぜひ投手陣の柱になってほしいところです。また4年目の松本英明も副キャプテンとして自覚が出てきたのか成長を感じます。

 打線に関してはともに12本塁打を放ったフレデリック・アンヴィ、デイビー・バティスタが抜けたものの、うまくいけば去年より得点力が上がるのではないかと見ています。それは中軸にある程度、数字が計算できそうな選手が座りそうだからです。

 中心となるのは、もちろん河田直人。そして、もうひとりは金城雅也です。金城は昨季、打率.230、2本塁打と低迷し、愛媛を自由契約になりました。相手ベンチから見ていても、明らかにインサイドに弱点があり、これでは率を残せません。

 と同時にインサイドのさばきを体得すれば十分、戦力になると見ていました。彼が内角を打てなかった理由はハッキリしています。体の軸が前に傾いていたから。リストの力だけでボールを打とうとするあまり、前に突っ込んでいたのでしょう。軸が傾けばバットのヘッドも下がり、内角のボールをきれいに叩けません。

 そこで高知に来てからは軸をまっすぐ立てた状態からクルリと回転して打つことを意識させています。こうすればインコースのボールも呼びこんでさばけるはずです。現に初実戦となったハンファ戦ではホームランを放ちました。クビになった悔しさもあり、取り組みは熱心です。シーズン中も、この姿勢を継続できれば成果は出てくるのではないでしょうか。

 さらに米国トライアウトで獲得した台湾出身のジャン・ジーシェンは代表選手。彼のつながりで、もうひとり台湾代表のリン・ジェシュエンもやってきます。リンはメジャーリーグでのプレー経験もあり、WBCや五輪にも出場している選手です。2人のうち、少なくともどちらかが中軸を任せられる働きをしてくれれば、まずまずの打線は組めると感じています。

 実はもうひとり、オーストラリア代表のスラッガーにも声をかけていたのですが、最終的には入団の意思がなく、獲得を断念しました。彼が来れば、もっと強力なラインアップになったでしょう。ただ、昨季よりもランナーを溜めて長打で大量得点する機会が増えるのではないかと期待しています。

 新人は20歳前後が多く、来年、再来年を見据えて高いレベルの野球を覚えてもらうつもりです。前回も紹介した大城優太(嘉手納高−沖データコンピュータ教育学院)はショートでの起用を念頭に置いています。守備の動きはいいものの、いかんせん知識はゼロに近いため、バントシフトや牽制のフォーメーションなどをひとつひとつ覚えてもらっている状態です。現状、残り1カ月で本当に試合に使えるレベルになるかわかりませんが、ヘンな教えが身についていないだけに吸収は早いかもしれません。

 またセカンドの新人・基村侑也(龍谷大平安高−京都建築大−京都城陽ファイヤーバーズ)はミート力があり、実戦で使ってみると思いのほか結果を残しました。守備はまだまだですが、基本はわかっているようですから、同じく新人の高畑祐人(尽誠学園高−西濃運輸)らとポジションを競わせる考えです。

 開幕に向けてのネックはキャッチャーです。ピッチャーの計算ができないだけに、キャッチャーで要になる存在が必要になります。しかし、現時点では4年目の夏山翔太、2年目の浅野祥男、新人の吉井祐貴(習志野高−順天堂大学−千葉熱血MAKING)とも物足りません。これからの実戦でそれぞれ使ってみながら、誰を中心に据えるか頭を悩ませることになるでしょう。

 昨年同様、今年もシーズンを通じてキャンプです。一朝一夕で勝てるチームはつくれなません。ただ、他球団の戦力を見ると、そこまでズバ抜けたチームはないように感じます。やりくり、試行錯誤を重ねながら、ひとつひとつ勝ち試合を増やしていきたいものです。その中で若い選手たちを少しでもレベルアップさせたいと思っています。

 最初の実戦では守りはノーエラーでした。プロとしては当たり前のこととはいえ、やるべきことをやれば、きちんとした野球ができると実感しています。一歩一歩かもしれませんが、今季もチームと選手の成長を引き続き見守っていただければありがたいです。


弘田澄男(ひろた・すみお)プロフィール>:高知ファイティングドッグス監督
 1949年5月13日、高知県出身。高知高、四国銀行を経て72年にドラフト3位でロッテに入団。163センチと小柄ながら俊足巧打の外野手として活躍し、73年にはサイクル安打をマーク。74年には日本シリーズMVPを獲得。75年にはリーグトップの148安打を放つ。84年に阪神に移籍すると、翌年のリーグ優勝、日本一に貢献した。88年限りで引退後は阪神、横浜、巨人で外野守備走塁コーチなどを歴任。06年にはWBC日本代表の外野守備走塁コーチを務め、初優勝に尽力した。12年に高知の球団アドバイザー兼総合コーチとなり、14年より監督に就任する。現役時代の通算成績は1592試合、1506安打、打率.276、76本塁打、487打点、294盗塁。ベストナイン2回、ダイヤモンドグラブ賞5回。

(このコーナーでは四国アイランドリーグplus各球団の監督・コーチが順番にチームの現状、期待の選手などを紹介します)

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