かわいいカープの後輩であるカネ(金本知憲)が現役引退を表明しました。実は広島でのラストゲームとなった30日から一夜明け、本人に会って少し話をすることができました。

 カネは三村敏之さんのお墓参りをするため、広島に引き続き残っていたようです。僕も愛媛とのリーグチャンピオンシップから広島の自宅に帰っていたので、携帯に電話をしたら、すぐ近くにいるとのこと。短い時間でしたが、現役生活を「お疲れさん」とねぎらいました。

 引退表明後もカネはホームランやヒットを放っているように、「代打やDHなら他のチームでもまだできるのでは」と言う人もいます。しかし、引き際は本人が決めること。カネにとっては、「打って守って走ってこその金本」との意識が強いのでしょう。その意味では、ここで現役を退くのがベストではないかと僕も感じました。

 カネとの思い出はいろいろありますが、アイランドリーグの監督になってからも「バット、使うてください」と送ってくれたり、本当に心遣いのできる人間です。4年前の春に阪神2軍との交流戦で鳴尾浜に遠征した際には、こちらの依頼を二つ返事で引き受け、選手たちにエールを送ってくれました。野球選手として、人間として本当に素晴らしい男でした。

 カネは球界でも早い段階からウエイトトレーニングを取り入れるなど、先駆者的な役割を果たしてきました。1492試合のフルイニング出場は、プロはまず試合に出てナンボというお手本を若手に示してくれています。彼が現在の日本プロ野球に与えた影響は測り知れません。

 引退後もぜひカネには野球界発展のために頑張ってほしいと願っています。そして底辺拡大のため、独立リーグにも少し力を貸してもらえたら、これほどうれしいことはありません。

 さてアイランドリーグのチャンピオンシップは敵地で愛媛に連勝し、一気に優勝へ王手をかけました。初戦、2戦目の勝因は「打つべき人が打ち、投げるべき人が投げた」。初戦の先発に抜擢した1年目の渡辺靖彬、2戦目の山野恭介がいずれもゲームをしっかりつくってくれました。

 また攻撃では主砲の桜井広大、故障から復帰したウィルバー・ペレスがチャンスでタイムリーを放つなど、いい仕事をしています。ペレスに関しては8月末に死球を受けて右の人差し指を痛め、約2週間、戦列を離れていました。

 彼はドミニカン特有の明るさがあり、チームのムードメーカーです。彼の活躍で一気にベンチが盛り上がり、流れが傾いたような気がします。

 僕も高校時代から負けられない戦いを幾度となく繰り返してきました。短期決戦はほんの些細なことで流れが変わるものです。1、2戦に関しては言えば、愛媛には気負いが見られ、ミスからリズムを崩しました。

 連勝したとはいえ、まだあと1つ勝たなくては目標は達成できません。3戦以降は愛媛も巻き返してくるでしょうし、ワンプレー、1球たりとも気を抜くことは許されないでしょう。NPBの日本シリーズでも3連勝からの4連敗があったように、短期決戦では信じられないことが起こるものです。

 もちろん、選手たちも十二分にこのことは分かっているでしょう。勢いに乗る選手たちを、こちらが采配や選手起用でたずなを締めながら、一気に決着をつけたいと考えています。 

 後期はペレスや4番の島袋翔伍もケガで離脱し、苦しいチーム事情の中、代役の若い選手が踏ん張り、優勝まであと1勝のところまで行きました。チーム力はこの1年でかなり上がったと手ごたえを得ています。

 第3戦も攻撃は最大の防御という言葉があるように、どんどん仕掛けるつもりです。地元で必ずや胴上げをお見せしたいと思いますので、たくさんの皆さんのご声援をお待ちしています。

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