(写真:健闘を称え合う両者。桃田が今年、アクセルセンが昨年世界選手権を制した)

 15日、世界バドミントン連盟(BWF)公認のワールドツアー「ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン2018」各種目準決勝が東京・武蔵野の森総合スポーツプラザで行われた。男子シングルスは桃田賢斗(NTT東日本)はビクター・アクセルセン(デンマーク)にストレート勝ち。同大大会初優勝へ王手をかけた。日本人対決となった女子シングルスは奥原希望(日本ユニシス)が大堀彩(トナミ運輸)をストレートで破り、3年ぶりの決勝進出を果たした。その他の日本勢は女子ダブルスの福島由紀&廣田彩花組(岐阜トリッキーパンダース)がストレート勝ちで決勝進出。混合ダブルスの渡辺勇大&東野有紗組(日本ユニシス)はストレート負けを喫した。

 

 “前哨戦”で同世代のライバル撃破

 

 “東京オリンピック前哨戦”で同世代のライバルに快勝した。BWF世界ランキング4位の桃田が同1位のアクセルセンに1ゲームも許さなかった。

 

「シャトルが飛ばない、アクセルセン選手がディフェンスが良いというのはわかっていたこと」。第1ゲームは競った展開となった。桃田は一時13-17と劣勢を強いられた。「心が折れそうになった」というが、そこで相手のスピードが落ちてきことを見逃さなかった。相手のショットにしつこく食らいつき、攻めては前後左右に走らせた。6連続得点で試合をひっくり返すと、このゲームは21-18でもぎ取った。

 

「第1ゲーム取られていたら分からなかった」と勝敗の分岐点を振り返った桃田。第2ゲームは出だしから3連続ポイントで、主導権を握る。リードを許す場面もあったものの、6-8から5連続得点でインターバルに入った。1点を返された後、得意のネットプレーは冴え、相手を振り回した。6連続ポイントで突き放し、21-11ですんなり勝ち切った。

 

 桃田は「お互い手の内を知っている。技術ではない部分、気持ちの勝負」と語る。フィジカル的にもメンタル的にもタフな試合をモノにできる点に今の彼の強さがある。8月には世界選手権を制するなど、これまで以上に周囲からのマークは厳しくなってきた。包囲網を実感しつつ、「もうひとつ、ふたつレベルアップしていかないと勝てなくなる」と危機感を露わにした。

 

 ジャパンオープンの決勝進出は意外にも初。「ジュニア時代から憧れていた舞台。成長した姿を見せたいです」と意気込む。同大会の男子シングルスで日本勢は準優勝が過去最高だ。決勝の対戦相手はBWF世界ランキング26位のコシット・フェトラダブ(タイ)。世界ジュニア、世界選手権と男子シングルス日本人初を塗り替えてきた桃田が、新たに歴史を刻みにいく。

 

 1年越しの日本でのマリン戦

 

 学年はひとつ違い。ジュニア時代から凌ぎを削ってきた2人だが、実績は奥原が大きくリードしている。今大会好調をアピールしてきた大堀にとっては、「まだ差がある」と力の差を見せつけられたかたちとなった。

 

 立ち上がりから4連続得点を奪うなど、奥原が先行する。169cmの長身から繰り出される大堀の強打にもきっちり対応。ラリー戦に引き込み、持ち味の粘り強さを遺憾なく発揮した。中盤は競り合ったが、終盤にポイントを積み上げた。前後左右に大堀を揺さぶり、第1ゲームを21-12で先取した。

 

 第2ゲームは序盤から点の取り合いとなった。「要所要所で自分が攻めるのか、守るのかがはっきりしていた」と奥原。11-9から7連続得点で畳み掛けた。12-18と迫られたものの、最後まで主導権を握らせなかった。21-12と第1ゲームと同じスコアで、第2ゲームを終えた。敗れた大堀は「長いラリー、我慢比べになった時に勝てなかった」と悔しがった。

 

 奥原は3年ぶりの決勝進出について、「昨年は準決勝を戦えなかった。準決勝をきっちり戦えたというのはホッとしています」と口にした。奥原は昨年、右ヒザの負傷で準決勝を棄権していた。決勝は昨年棄権しなければ戦うはずだったキャロリーナ・マリン(スペイン)。リオデジャネイロオリンピックの金メダリストで、世界選手権を今年を含め3度制している。「昨年の分、また今の女王にしっかり挑戦したい」

 

 会場の武蔵野の森総合スポーツプラザは、東京オリンピック競技会場だ。「この会場で試合や練習できる機会は少ない。できるだけ数多く試合をしたかったので、5試合きっちりできたことはうれしいです。決勝戦も良い経験になるように備えたいと思います」。3年ぶりの2度目の優勝は2020年へのステップボードとなるか。

 

(文・写真/杉浦泰介)