5日、東京パラリンピックのバドミントン競技最終日が東京・国立代々木競技場第一体育館で行われた。女子ダブルス(車いすWH)決勝は、里見紗李奈&山崎悠麻組(NTT都市開発)が中国ペアを2-1で下した。里見はシングルス(車いすWH1)と合わせて今大会2冠を達成、山崎は大会2個目のメダルを獲得した。男子シングルス(車いすWH2)決勝は梶原大暉(日本体育大)がキム・ジョンジュン(韓国)にストレート勝ち。梶原はこの日、村山浩(SMBCグリーンサービス)とダブルス(車いすWH)で3位に入り、今大会2個目のメダルを手にした。混合ダブルス(下肢障がいSL3-上肢障がいSU5)3位決定戦は藤原大輔(ダイハツ工業)&杉野明子(ヤフー)組がインドペアをストレートで破り、銅メダルを獲得した。

 

 前日に4種目5個のメダルを獲った日本チームは、最終日に出場した決勝・3位決定戦4試合すべてに勝利、合計9個(金3、銀1、銅5)のメダルで大会を終えた。この日のトップバッターは、チーム最年少19歳の梶原だ。世界選手権4連覇中、世界ランキング1位のキムとの金メダルをかけた一戦に臨んだ。

 

「憧れ。目標にしている」というキムには、シングルスで6度対戦し、1度も勝てていない。「自分はチャレンジャー。失うものは何もない。せっかくもらったチャンス」と向かって行く姿勢で挑んだ。第1ゲーム序盤から連続得点を奪い、前半は11-7とリードした。7連続失点で一時は逆転されたものの、「焦りはなかった。厳しい試合になることはわかりきっていた」と慌てなかった。

 

 第1ゲームは21-18で競り勝つと、第2ゲームも21-19とモノにし、ストレート勝ちを収めた。世界王者を前後に揺さぶり、強烈なスマッシュと手前に落とすドロップで得点を重ねた。対キムのシングルス初勝利がパラリンピックファイナルとなった。世界ランキング6位の19歳が“下剋上”を果たし、パラリンピック初代王者に輝いた。

 

 梶原は決勝終了後から約2時間40分で村山と組み、ダブルスの3位決定戦を戦った。タイのジャカリン・ホムファン&ドゥムネルン・ジュントンペアは世界ランキング8位の強敵だが、村山&梶原ペアは3位とランキングで上回る。攻める姿勢で相手にプレッシャーをかけた。21-18、21-19のストレート勝ちで表彰台に上がった。

 

 梶原は2個目のメダル、村山は1個目のメダル獲得だ。村山は「うれしさ半分悔しさ半分」と金メダルを獲れなかった複雑な心境を表した。梶原は「金メダルを獲りたかったけど、村山さんにメダルをかけることができて良かった」と語った。19歳の梶原は3年後のパリでは追われる立場となるだろう。「パリで2連覇。ダブルスで金を獲って2冠を達成したい」と意気込んだ。

 

(文/杉浦泰介)