東京オリンピックバドミントン競技が28日、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザで行われた。男子シングルスはグループリーグ(GL)最終節。A組の桃田賢斗(NTT東日本)はホ・グァンヒ(韓国)にストレート負け。通算成績2勝0敗のホが1位で決勝トーナメントに進み、1勝1敗で2位の桃田はGL敗退となった。

 

 オリンピックには魔物が棲んでいる。手垢のついた表現かもしれないが、そう思わずにはいられない。世界選手権2度優勝、現BWF(世界バドミントン連盟)ランキング1位の桃田が決勝トーナメントにすら進めなかった。

 

 42人が14組に分かれて争われるGL。1位のみが決勝トーナメントに進める。25日の初戦、桃田はティモシー・ラム(アメリカ)を33分で料理した。金メダル大本命とはいえ、初のオリンピックということが不安材料だった。ストレート勝ちを収め、不安は払拭したかに思われた。

 

 中2日で迎えたGL最終戦は、BWFランク38位のホが相手だ。ホも26日、ラムにストレート勝ちしている。国際大会では3度対戦し、いずれも桃田が勝っている。苦手意識はないはずだが、第1ゲームはコートで度々雄叫びを上げたのはホの方だった。

 

 15-21で落とすと、第2ゲームは競り負けた。足を使った堅いディフェンス、柔らかいタッチのラケットワーク、コートの四隅を突くようなスマッシュ。桃田らしさが発揮されぬまま、最後は返球がネットに弾かれた。19-21で万事休す。

 

 無念のストレート負け――。桃田は最後までリズムを掴めなかった。連続得点は4が最高。18年、19年とBWFワールドツアーダイハツ・ヨネックスジャパンオープンを連覇するなど験の良い地だと思われていたが、まさかの早期敗退となった。

 

(文/杉浦泰介)