『第4回東京カープ会』Vol.7 瀬戸内全域をマーケットに!

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 投打の柱、黒田博樹と新井貴浩がそろってチームを去った今、どうなるカープ、どうするカープ――。
 07年12月8日、都内で『第4回東京カープ会』が開かれた。熱心なカープファン約230人と6人のパネリストが、愛するカープについてトークバトルを展開した。どのようにすれば、かつての“最強赤ヘル軍団”は蘇るのか。
<提供:サントリー株式会社 株式会社すぐる 株式会社ドリームコーポレーション 日本食研株式会社 萩森水産株式会社 明治製菓株式会社
二宮: 冒頭でもお話しましたように、FAで黒田博樹投手がドジャースへ、新井貴浩選手が阪神へと、カープはエースと4番が一気にいなくなりました。では、どうすればいいか。私は彼らを裏切り者だと言っても何も始まらないと思うんです。これを機に抜本的な改革を図るしかない。改革をするには簡単に言えば、経営を変えるしかない。魅力のある球団に変えるしかない。
 毎年、毎年、「今年はあいつを獲られた、ちくしょう」と言っているだけでは明るい未来は見えてきません。具体的に何を変えるべきか。下前さんが、いろいろと意見があるようですから、まずはそれをお話していただきましょう。

下前: プロ野球の球団経営には2つの視点が必要だと思っています。1つは“外に対する経営”。これはドラフトやFAに対するシステム設計の問題も絡んできます。もう1つは“内に対する経営”。これは自分たちの球団を黒字にして、健全経営を目指していきます。
 この2つは車の両輪です。カープの場合、その両方とも経営努力が足りません。球団の財務諸表はマスコミ向けに簡単なものが出されていますが、何にどのくらいの経費が使われているのか、さっぱりわかりません。
 カープの長期低迷は、選手、監督・コーチの次元の話ではありません。経営の問題です。10年連続Bクラスというのは、一般企業でいえば経営が破綻しているようなもの。でも、オーナーには危機感がない。カープは市民球団と言われていますが、そうではありません。正直言ってオーナー一家の持ち物になっています。役員には親族が並んでいる。
 カープに必要なものは強い資本の下での強い経営に尽きます。オーナーはじめ、誰もが球団にはお金がないと言っていますが、それでは経営者失格です。経営者の一番大事な仕事は資金調達。そして放漫経営にならないように管理することですから。
 では強い資本をつくるためにはどうすればいいか。私が以前から提案しているのは、野球協約を変更する必要が出てきますが、非上場でファン、または瀬戸内を中心とした企業から出資してもらうという方法。10万人から10万円を集めれば100億円、そして各企業からも100億円を集めると、計200億円の資金ができます。上場してしまうと、選手の一投一打で株価が上下動しますから、これは好ましくありません。
 野球協約は金科玉条のように言われていますが、もう最初に制定されてから50年以上が経過しています。法律と同じで、時代に合わなくなれば変えなくてはいけない。協約はオーナー会議を経て、変更する決まりになっています。その点でも、現オーナーは仕事をしているようには思えない。
 しがらみがあると何もできません。日産を改革したカルロス・ゴーンのような新しい経営陣に入ってもらうことを望みます。

二宮: 基本的に下前さんのおっしゃることに賛成です。私は資金調達のためには、いずれ株式公開してもいいと思っていますが、下前さんのご指摘のように選手の一投一打で株価が変わるという点で問題はあるでしょう。
 ならば瀬戸内の優良企業はたくさんあります。香川の穴吹工務店、岡山の林原グループやベネッセコーポレーション、山口なら宇部興産、トクヤマ、ユニクロなどなど。そういったところに増資を頼めばどうでしょうか。
 カープは従来、瀬戸内地方をマーケットにしていた球団です。ところが今ではほとんどが阪神に乗っ取られている。岡山に行っても山陰地方に行っても阪神ファンは多い。山口はソフトバンクに侵食されて、いまや広島ファンは広島に篭城しているような状況です(笑)。その広島でさえ街中にタイガースショップがある。ファンを拡大するためにも、瀬戸内の企業に入ってもらうことは重要だと思います。
 ところが広島でこういう話をすると、「そこまでしなくても……」と言われてしまう。「ここを変えないと強くならないよ」といくら言っても、今のままがいいと思っている人もいるんですよね。

下前: 投資家でもファンドでも企業でも、やはり強力なリーダーシップを持ったところが入らないといけないでしょう。20年後、30年後のカープを考えて大局的な観点に立つ必要があります。
 改革を進める際に、全員がハッピーになることは残念ながら不可能です。このままだったら、数年後にはカープは消滅してしまうかもしれない。その思いを共有して我慢できるか。

二宮: そこなんですよ。2004年の球界再編騒動が起こったときに、実はカープは消滅する予定でした。8球団構想の中にカープは入っていなかった。そういう事実があったということに地元の行政や企業はどのくらい危機感を抱いているのか……。

田辺: 広島出身の方ならご存知のように、地元メディアは中国新聞が圧倒的なシェアを誇っています。他の大都市圏であれば、読売新聞や朝日新聞がしのぎを削っていますが、広島の場合は中国新聞の影響力が非常に強い。
 ファンの方も「中国新聞にこんなことが書いてありましたが、本当ですか?」という聞き方をされるんです。僕は「中国新聞の記事が必ずしも正しいとは限りませんよ」と話をするんですが、球界再編の時だってカープが合併されるとはどこにも書かれていなかった。そういうメディアの影響は大きいと思います。

(Vol.7に続く。随時更新します)

<パネリストプロフィール>
金石昭人(かねいし・あきひと)
 1960年12月26日、岐阜県出身。PL学園高では控え投手だったが、夏の甲子園優勝を経験。79年ドラフト外で広島に入団した。196.5センチの長身から投げ下ろすストレート、フォークを武器に85年に6勝をマークすると、86年に12勝をあげてリーグVに貢献した。日本ハムに移籍した92年には自己最多の14勝。93年以降は日本ハムのクローザーとして活躍した。98年に巨人に移籍し、同年限りで引退。通算成績は329試合、72勝61敗80セーブ、防御率3.38。現在は解説業も行いながら、都内で飲食店を経営している。

川口和久(かわぐち・かずひさ)
 1959年7月8日、鳥取県出身。鳥取城北高校から社会人野球チーム・デュプロを経て、80年広島にドラフト1位で入団。長年、左のエースとして活躍する。87、89、91年と3度の奪三振王のタイトルを獲得。94年にFA権を得て、読売ジャイアンツに移籍。96年にリーグ優勝を果たした際には胴上げ投手となった。98年シーズン終了後に現役を引退。通算成績は435試合、139勝135敗、防御率3.38。現在、解説者の傍らテレビやラジオにも出演するなど、幅広く活躍している。

田辺一球(たなべ・いっきゅう)
 1962年1月26日、広島県出身。スポーツジャーナリスト。カープ取材歴は約20年にのぼる。“赤ゴジラ”の名付け親。著書に『赤ゴジラの逆襲〜推定年俸700万円の首位打者・嶋重宣〜』(サンフィールド)がある。責任編集を務めた『カープ2007-2008永久保存版』も好評発売中。現在もプロ野球、Jリーグほか密着取材を行っている。スポーツコミュニケーションズ・ウエスト代表。
>>責任編集サイト「赤の魂」はこちら


上田哲之(うえだ てつゆき)
 1955年、広島県出身。5歳のとき、広島市民球場で見た興津立雄のバッティングフォームに感動して以来の野球ファン。石神井ベースボールクラブ会長兼投手。現在は書籍編集者。



下前雄(しもまえ・たかし)
 1966年、広島県出身。株式会社ジーアンドエフ代表取締役。一橋大学経済学部卒業後、三井不動産入社。93年にジーアンドエフを設立。ソフトウェア開発を中心に事業を展開。NPO法人一橋総合研究所理事兼任。
>>NPO法人一橋総合研究所のホームページはこちら




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