(写真:フェイスオフで見つめ合う両者。約12秒の間、その瞳で何を語り合ったのか)

 6日、ボクシングのバンタム級3団体王座統一戦(7日、さいたまスーパーアリーナ)の前日計量が神奈川・横浜のホテルで行われた。WBAスーパー&IBF王者の井上尚弥(大橋)、WBC王者のノニト・ドネア(フィリピン)ともにリミット(53.52kg)をクリア。井上が53.5kg、ドネアが53.4kgで一発クリアとなった。

 

 計量2日前、井上は自身のTwitterに<これまでになく最高に仕上がった>と綴ったように調整は順調に映る。大橋秀行会長も「いつもより元気だね」と井上のコンディションに太鼓判を押す。井上は上記のTwitterでこうもつぶやいている。<ワクワクスルゼ>。その言葉の後に王冠の絵文字を3つ並べた。“王座統一予告”ともとれる。

 

(写真:引き締まった身体付きからも順調な調整ぶりが窺える)

 3日の記者会見で、井上はこの試合を「通過点」と表現した。その言葉を証明するには、ただ勝つだけではなく勝ち方も求められることになろう。下馬評は井上優位とされているが、プロキャリア初のリマッチだ。“ドラマ・イン・サイタマ”と呼ばれた2年7カ月前の対戦では、井上がダウンを奪い、判定で勝った。そのリベンジに燃える39歳のドネアを甘く見てはならない。

 

 計量後のルールミーティングで、今回の試合はWBCルールに準じて公開採点に加え、インスタントリプレイを採用することも明らかになった。インスタントリプレイとは試合中に微妙な判定があった場合、映像で確認するものだ。大橋会長は公開採点について「条件はどちらも一緒」と前置きした上で「あった方が観ている人はわかりやすい」と所見を述べた。

 

 勝者がWBO王者ポール・バトラー(イギリス)との4団体王座統一戦に向かう。バンタム級最強を決める道。ドラマのつづきは、井上は己の拳で切り拓くことになろう。

 

(文・写真/杉浦泰介)