キリンカップ2022が10日に開幕し、日本代表はガーナ代表とノエビアスタジアム神戸で対戦し、4対1で勝利した。試合は前半29分、右サイドの好連係からDF山根未視(川崎フロンターレ)が抜け出し先制点を決めた。44分にはその山根のミスパスからガーナのジョーダン・アユーに決められた。しかし、前半終了間際、MF三笘薫(サンジロワーズ)が左サイドから鋭いクロスを供給し、これがそのままゴールネットに吸い込まれ勝ち越した。後半に入ると28分、三笘が左サイドを単独で突破し、MF久保建英(マジョルカ)が中央で合わせた。37分には右サイドを巧みに崩しFW前田大然(セルティック)がA代表初ゴールを決め、日本が勝利した。日本は14日にキリンカップ優勝をかけてパナソニック吹田スタジアムでチュニジア代表と対戦する。

 

 サイドの好連係が光る(神戸)

日本代表 4-1 ガーナ代表

【得点】

[日] 山根未視(29分)、三笘薫(45+1分)、久保建英(73分)、前田大然(82分)

[ガ] ジョーダン・アユー(44分)

 

カタールW杯でドイツ、スペインと対戦する日本代表にとって、この6月は貴重な時間である(残る1枠はコスタリカorニュージーランドのプレーオフ勝者)。

 

 カタールW杯に出場するガーナと対戦し、ポジティブな点が2つあった。1つ目は先日のブラジル相手には通用しなかった三笘の単独突破で得点機会を作れたこと。2つ目はダイレクトを織り交ぜたサイドの崩しが実を結んだことだ。

 

 1つ目について。三笘は後半35分にピッチを後にするまで会場を沸かせ続けた。特に顕著だったシーンが後半28分の久保のA代表初ゴールを演出したシーンだ。左サイドでボールを持った三笘は巧みなステップで相手DFを翻弄し、ゴールライン近くをえぐり中央へ。それを久保が左足インサイドで押し込んだ。ブラジル戦では三笘の華麗なステップはエデル・ミルトンのパワーに屈してしまったが、ガーナの右サイドを混乱に陥れた。

 

 W杯本番の2戦目の相手はコスタリカorニュージーランド。初戦がドイツ、3戦目がスペイン。今日の出来を見るに“2戦目に三笘の先発起用”に大きく前進したと言ってもいいだろう。

 

 2つ目のダイレクトを織り交ぜたサイドの崩しについて。これまで森保ジャパンはサイドでのパスワークを生かした崩しは最終予選のアウェイの豪州戦での先制点くらいだった。あとは三笘とMF伊東純也(ヘンク)のドリブラーの単騎での頑張り頼みだった。

 

 このガーナ戦ではサイドでの工夫が見られた。前半29分の2点目と後半37分のシーンだ。まずは29分、右サイドバックの山根が右サイドタッチラインあたりに開く久保にパスを出し、縦にフリーランニング。久保はペナルティーエリア内にいるMF堂安律(PSV)にパスを当てる。堂安はダイレクトで山根にラストパスを供給する。山根もこれにダイレクトで左足で合わせ、左サイドネットを揺らした。

 

 後半37分は前田のA代表初ゴールのシーンだ。MF柴崎岳(レガネス)がピッチ中央から右サイドに浮き球のパスを送ると、高い位置を取った山根がヘディングで落とす。このパスを伊東が胸トラップで相手DFの前に入り、一気にペナルティーエリア内に侵入する。あとはシンプルにゴール前に折り返し、前田がスライディングで押し込んだ。

 

 どちらもダイレクトプレーで相手DFがついてこられないスピードでパスを展開できたシーンだった。

 

 カタールの舞台ではドイツ、スペイン相手にも勝ち点1を奪いたい。そうなると前線に複数の人数をかけられるか。そのためにもたった2人の関係でDFラインをこじあけるようなプレーを中3日後のチュニジア戦で観られるか――。ここに注目したい。

 

(文/大木雄貴)