25日、日本武道館で全日本学生柔道優勝大会第1日が行われ、女子5人制は東海大学(東京)が龍谷大学(関西)との決勝を代表戦の末、勝利し、チーム初となる3連覇(2020年大会は中止)を達成した。また、女子3人制は、福岡工業大(九州)が決勝で慶應義塾大学(東京)を下し、2度目の優勝を飾った。

 

(写真:決勝戦前、整列する東海大の選手たち)

 決勝戦の開始を告げる太鼓の音が場内に響くと、それまでよりも一段と明るくなった照明の下、両校の選手が畳の上に並んだ。白の道着に身を包んだ東海大は、準決勝で古賀ひより(4年)、白石響(3年)らを擁する環太平洋大学(中国四国)を撃破。対峙する青の龍谷大も、昨年の準優勝校・福岡大学を準決勝で破り、初優勝に王手をかけた。

 

 先鋒は互いに足を使いながら、技を繰り出すタイミングを窺った。龍谷大の中馬梨歩(3年)が隙を狙い、技を仕掛けると、東海大の川田歩実(2年)も負けじと足を出した。ともに重心を下げて冷静に対応し、引き分けに終わった。

 

 続く次鋒も両校の選手が接戦を展開する。中盤、龍谷大の武田優香(3年)が強引に投げ技を試みたが、東海大の込山未菜(3年)がいなし、自分の攻撃につなげていく。両者ともポイントにはつながらないまま試合時間の4分が過ぎた。

 

 中堅で登場したのは、東海大・立川桃(4年)と龍谷大・勝部桃(4年)。「桃」同士の戦いは、終盤に勝部が立ち技の流れから抑え込みへ入る。技あり目前まで追い込んだものの、立川が意地を見せて逃れた。ここでも白黒はつかない。

 

 両校が一歩も譲らない。場内の緊張感が増していく中、副将戦は、身長174センチの龍谷大の古賀彩音(4年)が手足の長さを生かし、東海大の矢澤愛理(1年)に積極的に技を仕掛ける。すると、逆に160センチの矢澤が古賀を投げ返そうと試みる。それでも、両者とも最後まで決めきれなかった。

 

(写真:大将戦で技を仕掛ける児玉)

 雌雄を決する大将戦。体格で勝る東海大の児玉ひかる(4年)が、龍谷大の檀野芽紅(4年)に序盤から圧力をかけ続ける。再三、技を仕掛ける児玉と、しのぐ檀野。しかし、ここも結果は引き分け。結局、5試合で勝負は決まらず決勝戦は、代表戦に突入した。

 

 ゴールデンスコア方式の代表戦はくじ引きの結果、大将戦となった。先の試合からわずか2分あまり。技をかけ続け、息の上がっていた児玉だったが、攻める気持ちは切れなかった。「最初の試合が終わった後、決め切れなかった悔しさが大きかった。それでも塚田(真希)先生に“代表戦があるかもしれないから”と言われ、“まだ自分の仕事は終わってない”と気合いを入れ直した」

 

(写真:笑顔で3連覇ポーズを決める)

 延長戦でも檀野に対して技をかけ続けた児玉。たまらず指導を重ねた檀野が、反則負けとなった。東海大が死闘の末に、優勝を掴んだ。試合後、塚田監督は「代表戦が大将戦と決まった瞬間、児玉の表情がグッと締まっていたので“大丈夫だ”と確信した。苦しい戦いだったが、応援していた部員も含め、チーム全員の思いが代表選手の力になった」と、選手たちを称えた。

 

 常勝の雰囲気を纏いつつある東海大に、3連覇という新たな歴史が刻まれた。

 

(文/古澤航、写真/杉浦泰介)