(写真:女子S・アトム級GPには、日本から4選手が出場<左から浅倉、伊澤、榊原CEO、浜崎、RENA> ⓒRIZIN FF)

 女子スーパー・アトム(-49キロ)級「最強」は誰か?

 7月7日、ウェスティンホテル東京で記者会見が開かれ、『RIZINワールドグランプリ女子S・アトム級トーナメント』の出場選手と1回戦の対戦カードが発表された。

 

 7月31日、さいたまスーパーアリーナ『RIZIN.37』で行われる緒戦4カードは以下の通りだ。

▶RENA(シーザージム)vs.アナスタシア・スヴェッキスカ(ウクライナ)

▶浅倉カンナ(パラエストラ松戸)vs.パク・シウ(韓国)

▶浜崎朱加(AACC)vs.ジェシカ・アギラー(メキシコ)

▶伊澤星花(フリー)vs.ラーラ・フォントーラ(ブラジル)

 

 興味深いマッチメイクだ。いずれのカードも勝敗予想が難しい。それだけ日本勢と海外勢の実力が伯仲している。

 今回のトーナメントを「伊澤を女子のエースに押し上げるための大会」と見る向きもあったが、どうやらそうではなさそうだ。伊澤の対戦相手、ラーラ・フォントーラは柔術ベースでMMA無敗のファイター、日本のファンには馴染みが薄いが簡単に勝てる相手ではない。RIZIN王者も、いきなりの試練を迎える。

 

 日本勢が全勝するかもしれないし、全敗するかもしれない。極端な結果になる可能性も十分にあるように思う。

 

(写真:「本当は1回戦で伊澤選手と闘いたかった」と話したRENA<右> ⓒRIZIN FF)

 今回の記者会見で気になるコメントを発したのは、RENAだった。

「優勝よりも伊澤選手に勝つことが(トーナメント参戦の)最終目標」

 彼女は毅然と、そう言ったのだ。

「本当は1回戦で伊澤選手とやらせてもらいたかった。浜崎選手がずっと王者でいてほしかった気持ちがある。RIZINのベルトは考えていなかったけど、こういう状況になって(タイトルマッチを)やりたいなと思いました。この中で伊澤選手に勝てるのは私しかいない」

 

 RENAはシーザージム所属だが、AACCで練習する機会も多くあり歳上の浜崎に尊敬の念を抱いている。その浜崎が、新鋭・伊澤に連敗したことが悔しかったのだろう。

「自分が代わってリベンジをしたい」との思いが胸中に強くあるようだ。

 伊澤、RENA両者が『RIZIN.37』のリングで勝利すれば、準決勝で対峙することも有り得よう。

 

 準決勝は9月下旬、決勝は大晦日に行われる。賞金は、総額1000万円(優勝700万円、準優勝300万円/ファイトマネーは別)。

 誰が優勝するのか?

 そして、今回のトーナメントの盛り上がり次第で、女子格闘技人気に火が付く可能性も十分だ。期待を込めて闘いを見守りたい。

 

<直近の注目格闘技イベント>

▶7月10日(日)、東京・TDCホール/「DEEP 108 IMPACT」ライト級タイトルマッチ、大原樹理vs.石塚雄馬ほか

▶7月10日(日)、名古屋国際会議場/「HOOST CUP KINGS  NAGOYA 11」小川翔vs.テーパプット・シンコウムエタイほか

▶7月13日(水)、東京・大田区総合体育館/プロボクシングWBO世界S・フライ級タイトルマッチ、井岡一翔(志成)vs.ドニー・ニエテス(フィリピン)ほか

▶7月17日(日)、東京・後楽園ホール/「プロ修斗 2022 Vol.5」黒部三奈vs.パク・ソヨン

ほか

▶7月23日(土)、東京・後楽園ホール/「KNOCK OUT 2022 vol.4」梅野源治vs.大谷翔司ほか

▶7月29日(金)、東京・後楽園ホール/「RISE 160」S・フェザー級王座統一戦、チャンヒョン・リーvs.一馬ほか

▶7月30日(土)、東京・後楽園ホール/「Krush.139」バンタム級タイトルマッチ、池田幸司vs.野田蒼ほか

 

 

近藤隆夫(こんどう・たかお)

1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『伝説のオリンピックランナー“いだてん”金栗四三』『柔道の父、体育の父 嘉納治五郎』(いずれも汐文社)ほか多数。

連絡先=SLAM JAM(03-3912-8857)


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