『JAPAN RUGBY LEAGUE ONE』(リーグワン)ディビジョン1の横浜キヤノンイーグルスが21日、神奈川・日産スタジアムで記者会見を行った。永友洋司GM、沢木敬介監督と、新加入の南アフリカ代表(スプリングボクス)のSHファフ・デクラークが出席し、新シーズンに向けての意気込みを語った。またデクラークは今後、スプリングボクスに合流し、8月からのザ・ラグビー・チャンピオンシップに出場する予定だ。

 

 2年8カ月前、トロフィーを掲げた場所で入団会見を行った。トレードマークのブロンドの長髪をなびかせ、スプリングボクスの司令塔はイーグルスのジャージー姿をファンの前で披露した。

 

 ジャパンを苦しめたスプリングボクスの司令塔は総合力の高いSHだ。パス、ラン、キックのアタックスキルはもちろん、身長170cmと小柄ながら猟犬のように襲いかかる勇猛果敢なタックルも魅力。2019年W杯日本大会準々決勝では、ジャパンのハーフ団に激しいタックルを見舞い、アタックを分断されたことからも日本のファンにも強烈な印象を残した。プレーの強みを聞かれると「タックルが好き。ビッグタックルを披露したい」と意気込んだ。

 

 17年から南アフリカを離れ、イングランド・プレミアシップのセール・シャークスで腕を磨いた。5シーズン過ごしたチームからの移籍は「新たなチャレンジ」と言い、「居心地の良いところにとどまっていては成長が止まる」と口にした。その中でイーグルスを選んだ理由については環境面を挙げた。「友人のジェシー・クリエルから『すごく良いチームだよ』と聞いていた。横浜というまちも気に入っている。住みやすいだろうと考えたのもきっかけ」。W杯日本大会期間中に滞在した横浜に好印象を抱いていたようだ。

 

「TOP4」入りを目指すイーグルスが高く羽ばたくための起爆剤として期待されている。永友GMは、契約期間について「詳しくは言えませんが、複数年でイーグルスに文化をつくってもらいたい」と語った。イーグルスは昨季リーグワン6位。上位4チームまでが進めるプレーオフトーナメントには出場できなかった。沢木監督と永友GMは“デクラーク効果”に期待を寄せる。

「W杯で優勝したメンバーのひとり。ウィニング・カルチャーを持っている。勝つために必要なものをみんなに伝えてくれる」(沢木監督)

「勝者のメンタリティをチームに植え付けてもらいたい。横浜キヤノンイーグルスは若いチーム。5年後、10年後に芽生えていくためのチームづくりに必要だった」(永友GM)

 

 チームからの「ロールモデルになってほしい」という要望に、デクラーク自身も応えようと考えている。

「若手に自分が培ってきた経験を伝えたい。もちろん私が学ぶこともあると思うが、まずは行動で示す。チームが苦戦している時に、それをどう乗り越えるを。私はこれまで一緒にいた選手、コーチから多くを学んできたので、それをイーグルスに還元したいです」

 

 現役バリバリのスプリングボクスは「自分を完璧な人間だと思っていない」と更なる成長を誓う。「今のスキルをさらに磨いていきたい」。スプリングボクスではキックを中心とした配球をするイメージだがハイテンポな日本ラグビーへの順応にも不安はないようだ。「(最初に所属したチームの)プーマスやライオンズでも日本のようにランプレーを主体としていました。今はキックの多いSHだと思われていますが、元々はランをするアタッキングの9番でした」

 

 12月開幕予定のリーグワン新シーズンに向けては、こう目標を述べた。

「このチームでトロフィーを勝ち取っていきたい。世界でベストなチームと言われる存在になりたいと思う」

 

(文・写真/杉浦泰介)