2日、プロ野球のセントラル・リーグ東京ヤクルト対中日14回戦が東京・神宮球場で行われた。ヤクルト4番の村上宗隆は1回の第1打席、3回の第2打席でホームラン。7月31日の阪神戦で放った3打席連発に続き、5打席連続弾。1964年の王貞治(巨人)、86年のランディ・バース(阪神)ら13人がマークしていた4打席連続本塁打のNPB記録を塗り替えた。試合はヤクルトが5-0で勝った。

 

 今季12度目の完封劇で8月白星スタート(ヤクルト6勝8敗 神宮)
中日
0=000|000|000
5=202|010|00✕
東京ヤクルト
勝利投手 高橋(7勝2敗)
敗戦投手 柳(6勝8敗)
本塁打 (ヤ)山田17号ソロ、村上38号ソロ、39号2ラン

 

 ヤクルトの主砲・村上が歴史に名を刻む連弾だ。2日前、甲子園の夜空に打ち上げられた3連発の“花火”。この日の本拠地・神宮でも勢いは衰えず、燕党を歓喜させた。

 

 第1打席は1回裏2死、3番の山田哲人のソロホームランで1点を先制した後に回ってきた。中日先発は柳裕也。昨季、最優秀防御率と最多奪三振の投手二冠を達成したセ界を代表する右腕と対峙した。

 

「甘くきた球をしっかりスイングしようと思っていた」と村上。その言葉通り、2ボール1ストライクからの4球目、柳の緩いカーブを仕留めた。打った瞬間にそれとわかる当たり。確信歩きで打球を見送る。ライトスタンド上段に運ぶ一発で、阪神戦から続く4打席連続本塁打だ。

 

 4打席連発は球団初、97年のナイジェル・ウィルソン(日本ハム)以来となるNPB史上14人目だ。22歳にして王、バースといった歴代のスラッガーたちが持つ記録に肩を並べた。セ・リーグでは90年のロッド・アレン(広島)以来、32年ぶりの快挙である。

 

 2打席目は3回裏1死。一塁に青木宣親を置いて迎えた。フルカウントからのチェンジアップ。ややタイミングを外されたようにも見えたが、ほぼ右手一本で合わせると打球は左中間方向へ伸びていき、ボールはフェンスを越えた。

「ちょっと体勢崩されたのですが、左手の感覚もすごく良かった。その前の右手のフォロースルーも良かったので、“もしかしたら入るんじゃないか”と思って走っていました」

 

 5打席連続本塁打という前人未到の記録を達成。6回裏の3打席目はレフトへのツーベースで記録は途切れたが、7番ホセ・オスナのタイムリーでホームに生還した。投手陣は先発・高橋奎二が7回4安打無失点と好投。後続の今野龍太、A.J.コールの完封リレーで試合を締め括った。チームは今季12度目の零封勝ち。貯金を22でリーグ首位をひた走る。

 

 村上は2本塁打3打点を加え、39本塁打、98打点はリーグ断トツトップである。4打数3安打で打率は3割2分1厘に上昇し、トップの佐野恵太(横浜DeNA)に1分1厘差の2位。“令和初の三冠王に一番近いのオレだ”と証明するには十分過ぎるほどのデモンストレーションとなった。

 

(文/杉浦泰介)

 

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