サクラフィフティーン、アイルランド破りW杯に弾み

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(写真:2トライを挙げた松田。突破力の高さを遺憾なく発揮した)

 27日、「太陽生命JAPAN RUGBY CHALLENGE SERIES 2022」が東京・秩父宮ラグビー場で行われ、世界ランキング13位の女子日本代表(サクラフィフティーン)が同6位の女子アイルランド代表を29-10で下した。対アイルランド7戦目にして初勝利。この夏の国内テストマッチシリーズを2勝2敗とした。

 

 10月開幕のW杯ニュージーランド大会に向けて、弾みがつく白星だ。先週静岡で大敗(22-57)したアイルランドにリベンジ。格上2カ国(世界ランキング11位の南アフリカ代表と2試合、アイルランドと2試合)との国内テストマッチは五分で終えた。

 

(写真:マイボールラインアウトで安定感を欠くという課題も見えた)

 試合は開始早々にアイルランドに先制を許す苦しい立ち上がりだった。サクラフィフティーンはマイボールラインアウトが安定せず、チャンスを生かせない。空中戦がダメなら地上戦。それでもスクラムで活路を見出した。

 

 16分、マイボールスクラムから右に展開。SH阿部恵(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)からSO大塚朱紗(RKUグレース)がトライを挙げて追いついた。20分以降は自陣に押し込まれる展開が続いたが粘り強い守備で耐えた。

 

 34分に敵陣深くでペナルティーを獲得した際には、スクラムを選択。PGではなくトライを奪いにいった。阿部が右へ展開。大塚が内側に折り返すとFB松田凛日(日本体育大)がパスダミーから相手1人を弾き飛ばし、インゴール右中間に飛び込んだ。大塚のコンバージョンキックも決まり、12-5とリードを奪う。

 

(写真:ヨーロッパの強豪相手にも粘り強いディフェンスで対抗)

 アディショナルタイムには自陣でPRラベマイまこと(横河武蔵野アルテミ・スターズ)がジャッカル。ピンチを防ぎ、リードしたたまハーフタイムを迎えた。

 

 後半はサクラフィフティーンが優位に試合を運ぶ。9分、敵陣に攻め込むと阿部から大塚へ右へと展開。大塚が大外のWTB名倉ひなの(横河武蔵野アルテミ・スターズ)に飛ばしパスを送った。名倉は相手のタックルを受けながらもインゴール右にトライ。リードを12点に広げた。

 

 15分には松田がこの日集まった4560人の観衆を沸かせた。CTB古田真菜(東京山九フェニックス)のパスを左サイドで一旦スピードを緩めてからキャッチ。そこからプレッシャーを掛けてきた相手を右手で制すると、そのまま加速した。

 

 タッチライン際を駆け抜け、内にステップを踏んで、すぐに外へ踏み出す。相手のタックルをかわし、独走態勢に入った。左中間までボールを運んで22-5と17点差にリードを広げるビッグプレーとなった。「ハンドオフも強みとしているので自分の持ち味が出た」と松田。50m近くを1人でぶち抜いた圧巻のスピードとパワーを披露した。

 

(写真:試合後のW杯壮行会で「ここからがスタート」と強調した南)

 19分にアイルランドでトライを挙げられたが、25分には途中出場のPR加藤幸子(横河武蔵野アルテミ・スターズ)がインゴール左中間に押し込んで突き放す。その後はアイルランドに反撃を許さず、29-10でノーサイド。アイルランド戦初勝利を挙げ、国内最後のテストマッチを締め括った。

 

 W杯初戦は10月9日。世界ランキング4位のカナダと対戦する。プール戦は同5位のアメリカ、7位のイタリアと格上との対戦が続くだけにランキングの近いアイルランドに勝利したことは大きな自信になるはずだ。キャプテンでPR南早紀(横河武蔵野アルテミ・スターズ)は壮行セレモニーで「W杯までまだまだ進化し続けます」と誓った。

 

「ここ(アイルランド勝利)がゴールではありません」と南。ニュージーランドの地でチームコンセプト「SAKURA WAVE」を巻き起こす。その準備を着々と進めている最中だ。

 

(文・写真/杉浦泰介)

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