29日、日本ラグビーフットボール協会は都内で会見を行い、女子15人制日本代表(サクラフィフティーン)の夏の国内テストマッチシリーズ「太陽生命JAPAN RUGBY CHALLENGE SERIES2022]を総括した。会見にはレスリー・マッケンジーHC、浅見敬子ナショナルチームディレクター(NTD)に加え、国内合宿に参加した選手40人が出席。南アフリカ代表、アイルランド代表との4試合を振り返り、10月開幕のW杯ニュージーランド大会に向けた抱負を語った。

 

 サクラフィフティーンは5月の強豪オーストラリア代表に続き、この夏のテストマッチシリーズでは南アフリカ、アイルランドという世界ランキングで格上となる相手から1勝を挙げた。マッケンジーHCは「これまで就任してから80人ほど招集してきたが、彼女たちの貢献があって今の位置がある」と振り返る。

 

 浅見NTDによれば、19年にマッケンジーHCが就任してからオンラインセッションを含め約270日、27回の合宿を行ってきたという。海外遠征は4回、 テストマッチは14試合。前回のW杯と比較しながら、「2017年は各国と比べると平均身長で10cm、平均体重で10kg小さかった。フロントローはジャパンが一番軽かった。今回のアイルランド戦を見ると、重さは世界とだいぶ近づいてきた」と強化の手応えを口にした。

 

 27日のアイルランド戦、スクラムで押し負けるシーンは見られなかった。スクラムのキープレーヤーPR加藤幸子(横河武蔵野アルテミ・スターズ)はイングランド・プレミアリーグのエクセター・チーフスでプレーする。「日本は体重が軽いので、低さを一番大事にしていきたいと思っています。自分が海外で経験した中でも高くなってしまうと相手の体重に押し負けてしまう」。低いスクラム――。15年W杯イングランド大会での男子15人制日本代表が重なる。南アフリカ代表を破るようなジャイアント・キリングをサクラフィフティーンも起こせるか。

 

 28日には大会前の9月24日にニュージーランド・オークランドのイーデンパークで世界ランキング2位ニュージーランド代表との対戦が決まった。男子のブレディスローカップのニュージーランドvs.オーストラリア戦前に行われる。相当数の観客が詰め掛けると予想される。「胸を借りるというよりはW杯で結果を残すための前哨戦」と浅見NTD。キャプテンのPR南早紀(横河武蔵野アルテミ・スターズ)は「W杯初戦のカナダ戦よりもプレッシャーの大きな試合になる。その舞台に立つことはチームにとって大きな経験になる」と語る。

 

 今後は9月の国内合宿を経て、ニュージーランドに発つ。W杯の目標はベスト8以上。プール戦で戦うカナダ、アメリカ、イタリアはいずれもランキングで格上となるが、南は「今まで積み上げてきたものを元に大きなウェーブを起こせるように頑張りたい」と意気込んだ。

 

(文・写真/杉浦泰介)