(写真:来日後、大会に向けた練習を公開したナックロップ ⓒK-1)

 6・19東京ドーム『THE MATCH 2022』那須川天心vs.武尊を終えて、立ち技格闘技界の一時代に幕が下りた。

 そしていま、新章が始まろうとしている。

 

 9・11横浜アリーナ『K-1 WORLD GP 2022 JAPAN~よこはまつり~』が目前に迫る。今大会では、スーパー・ライト級タイトルマッチ(王者・大和哲也vs.挑戦者・佐々木大蔵)も行われるが、やはり最注目は「第6代スーパー・フェザー級王者決定トーナメント」だろう。

 

(写真:9・11横浜大会の対戦カード ⓒK-1)

 6月下旬に、武尊が同王座を返上。そのため新王者を決めるべく8人の気鋭ファイターがベルトを目指してトーナメントに挑むこととなった。1回戦の組み合わせは、次のように決まっている。

 

▶大岩龍矢(K-1ジム相模大野クレスト/30歳)vs.アダム・ブアフフ(モロッコ/32歳)

▶レオナ・ぺタス(THE SPIRIT GYM TEAM TOP ZEROS/LARA TOKYO/30歳)vs.アヤブ・セギリ(スペイン/24歳)

▶朝久裕貴(朝久道場/26歳)vs.ナックロップ・フェアテックス(タイ/23歳)

▶横山朋哉(リーブルロア/22歳)vs.スタウロス・エグザコスティディス(ギリシャ/35歳)

 

 武尊に対して「同門」の大岩、「ライバル」だったレオナ、「対戦を熱望」していた朝久、そして新世代の横山。日本勢も魅力的なファイターが揃ったが、気になるのは海外勢か。

 エグザコスティディスは、これまでK-1で1勝4敗と振るわないが、彼を除く3選手はK-1初参戦で、いずれも実績十分な男たちだ。

 

 海外勢は、どこまで強い?

 

(写真:ブアフフはテコンドーやボクシングの大会に出場したこともあるファイター ⓒK-1)

 まず、モロッコのブアフフは19戦全勝(10KO)の戦績を誇るISKAライト級王者。2年前の3月にはK-1のリングで武尊との対戦が予定されていたが、コロナ禍により流れた経緯がある。

 セギリはISKAインターナショナルライト王者でスピーディな動きに定評あり。10勝(8KO)3敗の戦績だが、変則的に繰り出される回転蹴りは魅力だ。

 

 そしてムエタイ戦士ナックロップ。まだ23歳ながら76戦<65勝(12KO)10敗1分>のキャリアを持つ。テクニシャンではなく打ち合いを挑むタイプで現在、BBTVライト級2位にランクされている有望株だ。

 

「K-1はムエタイとは(ヒジ打ちが禁止されているなど)ルールが異なるが問題はないと思っている。日本で闘うのは私の夢の一つだった。それが叶って嬉しい。3試合とも圧勝してベルトをタイへ持ち帰りたい」

 

 そう自信満々に話すナックロップは、どこまで強いのか?

 K-1のリングでどこまで実力を発揮できるのかは未知数だが、観る者を驚かせる闘いを見せる可能性は十分にある。

 優勝者を予想するのは難しい。ただ、海外勢が何処まで強いのかにより今後のS・フェザー級戦線が面白くなるか否かが決まるようにも思う。

 K-1新章の幕開けに注視したい――。

 

<直近の注目格闘技イベント>

▶9月11日(日)、東京・竹芝ニューピアホール/「DEEP TOKYO IMPACT 2022 5th ROUND」フライ級グランプリ1回戦ほか

▶9月17日(土)、東京・後楽園ホール/「SHOOT BOXING2022 act.4」海人vs.ケンダル・カラクァートほか

▶9月19日(月)、東京・後楽園ホール/「プロ修斗公式戦2022 Vol.6」世界ストロー級タイトルマッチ、猿丸ジュンジvs.新井丈ほか

▶9月23日(金)、東京・後楽園ホール/「KNOCK OUT 2022 vol.5」REDフェザー級王座決定戦、小笠原瑛作vs.TAKERUほか。

▶9月23日(金)、東京・大田区総合体育館/「BOM OUROBOROS 2022」WBC世界スーパー・フライ級王座決定戦、デットペット・ウォーサンプラッパイvs.石井一成ほか

▶9月24日(土)、東京・後楽園ホール/「Krush.141」初代フライ級王座決定トーナメントほか

▶9月25日(日)、さいたまスーパーアリーナ/「超RIZIN」「RIZIN.38」フロイド・メイウェザーvs.朝倉未来ほか

 

 

近藤隆夫(こんどう・たかお)

1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『伝説のオリンピックランナー“いだてん”金栗四三』『柔道の父、体育の父 嘉納治五郎』(いずれも汐文社)ほか多数。

連絡先=SLAM JAM(03-3912-8857)


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