(写真:RIZINフェザー級のV2戦に向け、トレーニングする牛久 ⓒRIZIN FF)

「自分のペースで闘いますよ。すでに対策は練っていて、それをリング上で遂行するだけ。100%の自信を持ってやれます。楽しみですね」(牛久絢太郎)

「コンディションは良好。ウシクは打撃も組みも寝技もできるMMAが上手なファイター。でも、打撃はアサクラ(朝倉未来)やハギワラ(萩原京平)ほど危険じゃない。何の問題もなく私が勝つ、それは間違いない」(クレベル・コイケ)

 

 10月23日、マリンメッセ福岡で開催される『RIZIN.39』が目前に迫っている。同大会のメインイベントはRIZINフェザー級タイトルマッチ(5分×3R)、牛久絢太郎(王者/K-Clann)vs.クレベル・コイケ(挑戦者/ボンサイ柔術)。

 両者はともに自らの練習拠点で公開練習を行い、必勝を誓った。

 

(写真:ライト級王者ホベルト・サトシ・ソウザ<下>と寝技を鍛えるクレベル ⓒRIZIN FF)

 このカードが正式発表された時は、「クレベル優位」のムードが漂っていた。寝技での決定力を持つクレベルが、実力的に一枚上であるとの見方が大半だったからだ。

 だがその後、複数の格闘家、格闘技関係者たちが「牛久が優位では」と口にし始め、空気が変わり始める。

 

「牛久優位」の根拠は2つだ。

 まずは、打撃力で牛久が上回ると見てのこと。

 今年2月、静岡・エコパアリーナ『RIZIN TRIGGER 2nd』でクレベルは佐々木憂流迦(セラ・ロンゴ・ファイトチーム)と対戦、2ラウンド3分22秒でチョークを決め勝利するも内容的には苦戦だった。佐々木の右フックを喰らい倒されるなど「あわや……」の場面も。今回の試合でも序盤から打撃戦になれば、牛久の一発が当たり、そのままKOもあるのではとの見立てだ。

 

 序盤の出方に注目

 

(写真:牛久は初出場となった『RIZIN.31』で斎藤裕から王座を奪取。今年4月のリマッチも制した ⓒRIZIN FF)

 もう一つは、メディアからの質問に答える形で牛久が、こう発言したことが契機となっている。

「(クレベルより自分の方が)スタミナでは優っている」

 これまで早いラウンドでの勝利を続けているクレベルのスタミナは未知数。総力戦で闘う牛久が長期戦に持ち込んだなら、スタミナで勝る牛久がトータル的に試合を制し判定で勝つのではという見方だ。

 

 ここに来て、牛久に風が吹き始めている。

 だが、公開練習(10月13日、浜松)後にクレベルは、こう反論した。

「3ラウンドを闘い抜いたとしても私の体力が落ちることはないだろう。ただ、次の試合でそれは証明できない。なぜならば、また1ラウンドか2ラウンドに三角(絞め)を決めて勝つからだ」

 

 果たして、勝つのは牛久か、クレベルか─―。

 そして、牛久の序盤の出方も大いに気になる。

 RIZIN約4年ぶりの福岡開催、熱い闘いが期待できそうだ。

 

 

<直近の注目格闘技イベント>

▶10月15日(土)、東京・大田区総合体育館/「RISE WORLD SERIES 2022」S・フライ級タイトルマッチ、大﨑一貴vs.風音ほか

▶10月16日(日)、京都・KBSホール/「HOOST CUP KINGS  KYOTO10」滉大vs.オートー・ムアンパープーンほか

▶10月16日(日)、東京・後楽園ホール/「KNOCK OUT 2022 vol.6」鈴木宙樹vs.西岡蓮太ほか

▶10月23日(日)、大阪・世界館/「WARDOG CAGE FIGHT.40」ライト級タイトルマッチ、鈴木一史vs.八木敬志ほか

▶10月28日(金)、東京・後楽園ホール/「Krush.142」女子アトム級タイトルマッチ、菅原美優vs.チャン・リーほか

▶10月30日(日)、東京・後楽園ホール/「RISE162」フライ級王座決定戦、田丸辰vs.数島大陸ほか

▶11月1日(火)、さいたまスーパーアリーナ/WBAスーパー&WBCライトフライ級世界王座統一戦、京口紘人(ワタナベ)vs.寺地拳四朗(BMB)ほか

▶11月6日(日)、愛知・ドルフィンズアリーナ/「RIZIN LANDMARK vol.4 in NAGOYA」弥益ドミネーター聡志vs.平本蓮ほか

 

近藤隆夫(こんどう・たかお)

1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『伝説のオリンピックランナー“いだてん”金栗四三』『柔道の父、体育の父 嘉納治五郎』(いずれも汐文社)ほか多数。

連絡先=SLAM JAM(03-3912-8857)


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