サッカー日本代表は27日、ドイツ・デュッセルドルフでエクアドル代表と親善試合を行い、0対0の引き分けに終わった。サッカーワールドカップカタール大会メンバー発表前の最後の親善試合となったこの一戦で、GKシュミット・ダニエル(シントトロイデン)が相手のPKを止めるなどして存在感を示した。

 

 FW争いは横一線まま(デュッセルドルフ)

日本代表 0-0 エクアドル代表

 

 注目はセンターフォワードの誰が得点を決めて選考レースを一歩するかだったが、際立ったのは正守護神・権田修一(清水エスパルス)の負傷離脱によりチャンスが回ってきたシュミットだった。

 

 前半アディショナルタイムのエクアドルの右CK。ニアサイドからヘディングで合わせられた。シュートは枠内に飛んできたもののシュミットが右手一本で止めるビッグセーブに救われ、スコアレスでハーフタイムに入った。

 

 シュミットの大きな見せ場は後半35分だった。日本はペナルティーエリア内に鋭いくさびのパスを供給された。DF谷口彰悟(川崎フロンターレ)がインターセプトを試みるが、FWミカエル・エストラーダに先に体を入れられた。そのため谷口がエストラーダを後ろから倒すかたちになってしまいPKを献上した。しかしシュミットが立ちはだかった。FWエネル・バレンシアのキックをシュミットは右に横っ飛びして防いで見せた。日本の窮地を正守護神の座を狙う30歳が救った。

 

 その5分後、またしてもシュミットがゴールにカギをかけた。日本から見て右サイドの位置で相手にFKを与える。これを直接ペナルティーエリア内に放り込まれると、PKを外したバレンシアがヘディングで合わせる。シュートはゴール左隅をとらえたもののシュミットが懸命に右手を伸ばし間一髪でかき出した。

 

 試合終了後、エクアドルを無失点に抑えたシュミットは何度もガッツポーズを見せた。

 

 一方で、FWとして出場した古橋享梧(セルティック)と上田綺世(セルクルブルージュ)は惜しくも無得点に終わった。前者は先発し、前半40分に相手ペナルティーエリア内でパスをカットし左足インサイドでシュートを放つもののGKにセーブされた。後者は後半の頭から出場し、ポストワークでボールを収めつつ日本にリズムをもたらせた。後半25分には左からのクロスに下がりながらヘディングで合わせたが惜しくもシュートは枠の左に逸れた。日本のシステム構造の問題もあるがセンターフォワード候補に名乗りを上げるためにも1点が欲しいところだったが、目に見える結果を残せずに終わった。

 

 今回のドイツ遠征で新守護神として大きなアピールをしたシュミット・ダニエル。かつて川口能活と楢崎正剛から、南アフリカW杯開幕直前でポジションを奪ったGK川島永嗣(ストラスブール)の時のようなどんでん返しは起きるか――。

 

(文/大木雄貴)