ほぼ定刻通りにスタートした会見、田嶋幸三会長、反町康治技術委員長、森保一監督が姿を現すと無数のフラッシュが焚かれた。3人が順に挨拶を終えると、指揮官は約2分半、26人の名前を読み上げた。スタッフミーティングを経て、「最終的には今朝決断した」という陣容で日本代表7度目のW杯に臨む。
最年長(39歳)にして4大会連続のメンバー入りを果たしたGK川島永嗣(ストラスブール)から始まり、最年少21歳のMF久保建英(レアル・ソシエダ)までの26人。 これまで約120人の選手が招集されてきたが、 選ばれたメンバーにサプライズはなかったと言っていいだろう。森保監督は「難しい選考となりましたが、スタッフと何度も議論をしました。『今のベスト』と自信を持っている」と語った。
注目は過去23人から26人に増えた選手枠をどう使うか。森保監督によれば、選考基準は「これまでの活動、今の状況、W杯を見通し、総合的に考えた」という。「個のストロングポイントを持ちつつ、チームの気持ちを繋げることができる選手」を選んだ一方で、「選ばなかった選手の中にもいい選手はたくさんいる。もし(枠が)30人だったとしても迷うと思う。(26人になって)もっと選びやすくなると思ったが、そんなことはありませんでした」と苦しい胸の内を明かした。
中盤ならどこでも起用できる原口を選ばず、チームに数少ない典型的なパサータイプであるMF柴崎岳(レガネス)をリストに入れたのは「個のストロングポイント」を重視した結果か。セルティックで今季10試合8ゴールのFW古橋享梧、卓越したポストプレーを見せる大迫らは指揮官が「許されるならカタールに連れて行きたい」と苦渋の選外となった。前者の役割はFW前田大然(セルティック)、後者の役割はFW上田綺世(セルクル・ブルージュ)が任されると見られる。
現在負傷離脱中のMF板倉滉(ボルシアMG)、FW浅野拓磨(ボーフム)が選ばれた。森保監督は「各チームに回ってトレーナー、ドクターを派遣してコンディションを確認した」と話し、 直近の試合で負傷が伝えられたMF田中碧(デュッセルドルフ)、久保らも選出した。ケガの回復、コンディション調整がうまくいかないようであれば、指揮官は「ラージグループ」からの招集にも含みを持たせた。
今回のW杯が行われるカタールは、日本代表が1994年アメリカW杯出場権をかけた戦いでイラクに引き分け、“ドーハの悲劇”として知られる街のある国だ。当時の代表メンバーだった森保監督は「W杯出場の夢を叶えられなかった場所。悔しい、悲しい、思い出がある。ただリベンジの気持ちはない。素晴らしい選手とサポーターと戦うことが楽しみ。”ドーハの悲劇”を“ドーハの歓喜”に変えたい」と意気込んだ。
日本代表は今後、17日(現地時間)に UAE・ドバイでカナダ代表と戦い、本大会を迎える。グループリーグではドイツ代表(23日)、コスタリカ代表(27日)、スペイン代表(12月1日)と対戦し、 「新しい景色」 史上初のベスト8入りを目指す。森保監督は「簡単な目標ではない。国民の皆様の力が必要」と共闘を呼び掛けた。