朝青龍、モンゴル帰国へ

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 日本相撲協会は28日、緊急理事会を開催し、秋場所(9月)、九州場所(11月)の出場停止、および九州場所千秋楽までの謹慎などの処分を下していた横綱・朝青龍のモンゴル帰国を認めることを決定した。師匠の高砂親方と医師が同行する。高砂親方は帰国日を「今から決める」と明らかにしなかったが、明日29日に帰国すると見られている。
(写真:「全責任をもつ」と会見で語る高砂親方)
 朝青龍は先月、腰椎疲労骨折など全治6週間の診断書を提出して夏巡業を休場しながら、母国でサッカーをしていたことが発覚。1日の緊急理事会で横綱として史上初の出場停止処分を受けていた。

 ところがその後、朝青龍は精神的に不安定な状態に陥いる。約3週間、自宅から外出せず、医師より「解離性障害」の診断を受けた。この日の理事会では相撲診療所の吉田博之所長らが横綱の病状とモンゴルでの治療環境を説明。各理事に帰国療養を提案した。報告を受けて理事会では対応を協議し、帰国が容認された。

 責任は親方だけが負うべきか

「今後については師匠である私が全責任をもつ」
 会見で高砂親方(元大関・朝潮)はきっぱりと言い切った。医師の説明を含めて約1時間に及んだ理事会。帰国へ難色を示す意見に対して、全責任を師匠がもつ形で一定の決着をみた。

「全員一致でモンゴルの帰国を承諾するという結論に達しました」
 理事会後、伊勢ノ海親方は「全員一致」を強調した。ところが内実は違った。それは各理事の発言ににじみ出ていた。
「帰国については反対ではない。(医者から説明を受けたが)それだけで判断できるのか。条件がないと納得できないという部分はある。反対した人も何人かいた」と友綱親方(元関脇・魁輝)が語れば、高田川親方(元大関・前の山)は「(雰囲気は)厳しい。厳しい」とスンナリとは進まなかったことを明らかにした。
(写真:理事会に臨む北の湖理事長)

 確かにこのまま朝青龍を帰してしまえば、理事会で下した謹慎の処分を事実上、覆すことになる。厳罰を要求した強硬派からすれば、納得いかない部分があることは間違いない。いくら病気とはいえ、朝青龍からの公式の謝罪がないまま、要求を飲むことにわだかまりもあるだろう。

「心の病なのでよくわからないが、帰国するのが一番という診断なので否定することはできない」(伊勢ノ海親方)
 それでも専門家の意見には従わざるを得ない。これが理事たちの本音だったのではないか。「全員一致」の決定を行いながら、今後の責任は決断した北の湖理事長や理事会ではなく、師匠にあるとしたところに、その苦しさが透けてみえる。

 横綱の帰国に対して全責任を負うことになった高砂親方は、「朝青龍の問題で協会の皆様、ならびに一般の方々にご迷惑をおかけしたことをまずもって大変申し訳なく思っております。」と謝罪。「今現在は、会見は難しいという先生の診断だった」と帰国前会見できない朝青龍にかわり、謝罪文を出した前日に引き続いて頭を下げた。

 さらにモンゴルでは「私も一緒に同行し、どういう場所で治療するのか確認してから帰国する」。ここまで指導力不足を指摘されてきただけに、慣れない異国の地でどこまで管理が行き届くかは未知数だが、師匠の決意だけは感じとれた。

 言うまでもなく騒動の一義的な責任は横綱・朝青龍自身にある。次に監督者である高砂親方に責任がある。しかし、相撲協会や理事にまったく責はないのか。

 朝青龍問題は力士教育、親方教育の面で協会に多くの教訓を残した。今後、似たような問題が起きないためにどうすべきか。もう少し、突っ込んだ議論をしてもらいたかった。
 今回も処分発表のときと同じく、会見の席に北の湖理事長の姿はなかった。説明責任を果たせない組織に改革は可能か。朝青龍への厳しい目は協会全体にも向けられていることを忘れてはならない。

(石田洋之)
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