サッカー日本代表は17日、UAEでカナダ代表と強化試合を行い1対2で敗れた。日本は前半9分にMF相馬勇紀(名古屋グランパス)の得点で先制したものの、21分に右サイドのコーナーキックからDFスティーブン・ヴィトーリアにヘディングで決められた。さらに後半アディショナルタイムにはFWルーカス・カヴァリーニにPKから失点を許し、カタールW杯前最後の強化試合で敗れた。

 

 板倉の代表復帰が唯一の収穫か(UAE)

日本代表 1-2カナダ代表

【得点】

[日] 相馬勇紀(9分)

[カ] スティーブン・ヴィトーリア(21分)、ルーカス・カヴァリーニ(90+4分)

 

 

 W杯前の最後の強化試合。良い面と悪い面がはっきりした試合だった。

 

 カタールW杯前最後の強化試合の相手はカナダ。日本はカナダ相手に9分に先制する。MF柴崎岳(レガネス)の浮き球のパスに反応した相馬がDFラインの裏に抜け出し、飛び出したGKより先に右足アウトで触り、ゴールネットを揺らした。

 

 先制したのは良かったが、この後の方が重要だったと感じる。まずは良い場面をあげたい。日本は自陣からのビルドアップ時には、ダブルボランチの一角のMF田中碧(デュッセルドルフ)がセンターバックのDF板倉滉(ボルシアMG)の右に落ち、3枚気味になった。田中に押し出されるように右サイドバックの酒井宏樹(浦和レッズ)が右タッチラインのワイドにポジションを取る。田中からボールをもらった酒井はタッチライン付近から鋭いスルーパスをペナルティーエリアのニアゾーンに流し込む。これに相馬が反応し、相手DFラインの裏を取る。同じ形で裏を取れたシーンが前半の24分までに2回つくった。W杯で戦うには再現性が大事になってくる。狙って裏を狙える形を持っておくことは必要になってくるだろう。

 

 前線での守備面でもあげたい。35分はハイプレスが機能した。敵陣左サイドからMF久保建英(レアル・ソシエダード)が相手センターバックに対して縦のパスコースを遮断し、GKに戻させる。そのまま久保が2度追いしGKにプレスをかける。GKは逃げるように右サイドに開いたDFにパスを出すが、そこにはMF南野拓実(モナコ)がプレスをかけ、ボールホルダーは自陣で切り返してかわそうとするが、久保がボールを奪取し、シュートにつなげた。38分にもハイプレスが奏功し、高い位置でボールを奪えていた。

 

 裏を返せば課題は、ハイプレスがしっかりと機能したのがこの2つだけだった点だ。偶発的でなくこのかたちを必然的につくれるようにならないと本番では厳しいだろう。しっかりプレスをかける位置と追い込む角度を選手の現場判断だけでなく、スタッフ陣からの明確な指示がほしいところだ。そうすれば、前線の人が変われど、再現性を持ってプレーができるはずだ。

 

 もう1点は南野の出来だろう。ビルドアップ時にはどこにポジションを取ればよいのか迷いが生じているように映った。後半14分にはFW上田綺世(セルクルブルージュ)とのワンツーからゴール正面でシュートを放つシーンがあったがGKに阻まれた。ゴールというわかりやすい結果を残せれば波にのりやすかったのだろうが、それも叶わず。トップ下としては振るわなかった。

 

 終盤には3-4-3を試せたこと自体は小さな収穫と言えるがプレスの掛け方、相手DFの裏の狙い方など修正をしてドイツ代表戦に臨みたい。

 

(文/大木雄貴)