13日、女子ソフトボールの新リーグ『ニトリJD.LEAGUE2022ダイヤモンドシリーズ』ファイナルが千葉・ZOZOマリンスタジアムで行われ、ビックカメラ高崎ビークイーンが豊田自動織機シャイニングベガを2-1で破り、初代女王に輝いた。ダイヤモンドシリーズの最高殊勲選手賞はビックカメラ高崎の濱村ゆかり、優秀選手賞にはビックカメラ高崎の工藤環奈と豊田自動織機のダラス・エスコベドが選ばれた。

 

 濱村、ダイヤモンドシリーズ2試合連続完投(ZOZOマリン)

豊田自動織機シャイニングベガ

1=0000001

2=010001✕

ビックカメラ高崎ビークイーン

勝利投手 濱村(2勝0敗)

敗戦投手 エスコベド(1勝1敗)

本塁打  (ビ)工藤1号ソロ、藤田1号ソロ

     (豊)グッドエーカー1号ソロ

 

 前身の日本リーグから合わせると4連覇。ビックカメラ高崎が底力を見せつけた。

 

 今季は大黒柱・上野由岐子が「コンディション不良」により登板なし。連覇を支えた大工谷真波は移籍、ベテランの山本優と森さやかは引退により、主力が抜けた。上野は言う。

「個々の力だけでなくチームの強さがここ一番で出せた。みんながビックカメラというプライドを背負って戦ってくれたことがうれしい」

 

 キャプテンの内藤実穂を中心にまとまり、投打にバランスのいいチームが出来上がった。「少ない人数で1人1人が役割を果たした」と内藤。中でも濱村はレギュラーシーズン29試合中21試合に登板し、13勝を挙げる活躍を見せた。防御率は東地区トップの0.81をマークした。東地区を制して臨んだダイヤモンドシリーズのセミファイナルは濱村が先発。7回を1人で投げ抜き、119球完投勝利を収めた。ファイナルのマウンドも27歳の右腕に託された。濱村は期待に応え、初回を三者凡退に切って取った。

 

 試合が動いたのは2回裏だ。先頭の工藤がフルカウントからエスコベドの高めのボールを叩いた。「コンパクトに振ることを意識した」打球はセンターのフェンスを越えるホームラン。今季打率3割5分3厘(東地区3位)、10本塁打(同2位タイ)、23打点(同4位)をマークしてブレイクした23歳が大きな仕事をした。「毎年決勝になるとヒットが打てなかった」と本人。大舞台でも結果を残したことは、今後の自信となるはずだ。

 

 その後は濱村、エスコベドが好投。互いにバックの好守備にも助けられ、スコアボードにゼロを並べた。すると6回裏、ビックカメラ高崎の主砲のバットが火を噴いた。1死から4番バッター藤田倭がエスコベドのインハイのボールを弾き返し、雨雲でどんよりした空に鮮やかなアーチを描く。今季リーグ全体トップの33打点を記録した勝負強い4番が貴重な追加点を叩き出した。

 

 2点のリードで最終回のマウンドに上がる濱村。先頭のチェルシー・グッドエーカーにホームランを浴び、1点差に迫られる。「せっかく2点取ってくれたのに簡単に取られて申し訳ない。ただ粘り強く投げるのが自分の特長。ボール球が多くなっても、次の1点は取らせない」。続く代打の福重さくらを歩かせたものの、後続を打ち取って同点打は許さなかった。最後のバッター大平あいをレフトフライに抑えるとマウンドに歓喜の輪が咲いた。

 

(文・写真/杉浦泰介)