(写真:対戦が決まったミノル<左>と矢地。会見で火花を散らした)

「(矢地は)熱い試合をしているいい選手、男として彼に負けたくない。モチベーションは高まっています。予想以上の相手で嬉しい。僕は強い打撃を当てるしかない、自分の武器を活かして闘います」(木村“フィリップ”ミノル)

「リスペクトしてもらって嬉しいが、何の人でしたっけ? 立ち技(K-1)からボクシングへ行くらしいけど、何をやっている人だっけ、という感じです」(矢地祐介)

「いまの言葉を聞いて、一段と気合いが入りました。ぶっ倒す!」(ミノル)

 

 12月9日、都内ホテルで開かれた記者会見でアントニオ猪木の追悼イベント『INOKI BOM-BA-YE×巌流島 in両国』の追加対戦カードが発表され、すでに参戦を表明していた木村“フィリップ”ミノル(前K-1スーパー・ウェルター級王者/ブラジル)の相手は、RIZINファイター矢地祐介(フリー)に決まった。

 

 会見の途中でRIZIN榊原信行CEOが、覆面を被った男を伴い登場。

「本物を連れてきた」

 そう榊原CEOが言葉を発した後に男がマスクを取ると、正体は矢地祐介という演出。会見場は劇場と化していた。

 

ミックスルールで激突か!?

 

(写真:大会のスーパーバイザーを務めるRIZIN榊原CEO<左から2番目>が矢地<中央>を小川<右>に紹介)

 興味深いカードが電撃決定したが、気になるのはルール設定である。

「MMAでやったら僕が圧勝してしまうので、ルールは何でもいい」

 矢地が、そう話すとミノルも次のように応える。

「MMAでやっても構わない。僕もルールは何でもいい、(主催者に)お任せします」

 これに関し会見後に谷川貞治プロデューサーは言った。

「1ラウンド目が立ち技ルール(キックボクシングルール)で3分、2ラウンド目はMMAルールで5分のミックスルールがいいと思う」

 両者ともに「ルールは何でもいい」と話していることから、谷川氏の提案通りにミックスルールになる可能性が高いだろう。契約体重は71キロと決まっている。

 

 これまでに発表されている他カードは、以下の通り。

 

▶92キロ契約 MMAルール 5分×3R

イゴール・タナベ(柔術/ブラジル)vs.メルヴィン・マヌーフ(キックボクシング/オランダ)

▶無差別級 巌流島ルール 5分×3R

ジョシュ・バーネット(キャッチレスリング/米国)vs.シビサイ頌真(柔術/日本)

▶無差別級 巌流島特別ルール 5分×3R
関根“シュレック”秀樹(柔術/日本)vs.ヤン・ソウクップ(空手/チェコ)

▶72.5キロ契約 キックボクシングルール 3分×3R

宇佐美秀メイソン(空手/日本)vs.アルバート・クラウス(キックボクシング/オランダ)

▶77キロ契約 巌流島特別ルール 5分×3R

マーカス・レロ・アウレリオ(カポエイラ/ブラジル)vsガロア・ボファンド(ムゲンドーマーシャルアーツ/英国)

▶88.5キロ契約 MMAルール 5分×3R

ラファエル・ロバト・ジュニア(柔術/米国)vs岩﨑大河(空道/日本)

▶58キロ契約 巌流島ルール 3分×3R

龍聖(キックボクシング/日本)vsダウサコン・BANG BANG GYM(ムエタイ/タイ)

 

(写真:安田<左>が貴賢神<中央>参戦をアピールし、その場で実現に至った)

 なお、記者会見終盤には元プロレスラーの安田忠夫が、RIZINファイターの貴賢神を連れて登場。貴賢神は、大相撲の元幕内力士(四股名は貴源治)で同じくRIZINに参戦中のスダリオ剛(大相撲元十両・貴ノ富士)の双子の弟だ。

 小川直也と安田忠夫の“劇場”後、貴賢神参戦が発表された。対戦相手はミスターX(正体不明)になる模様だ。

 

<直近の注目格闘技イベント>

▶12月10日(土)、東京・後楽園ホール/「RISE163」中村寛vs.伊藤澄哉ほか

▶12月11日(日)、東京・後楽園ホール/「KNOCK OUT 2022 vol.8」小笠原瑛作vs. チャーパヤック・サクサトゥーンほか

▶12月11日(日)、メルパルクホールOSAKA/「プロ修斗公式戦 2022 Vol.8」マックス・ザ・ボディvs.田中有ほか

▶12月11日(日)、東京・竹芝ニューピアホール/「DEEP 111 IMPACT」/DEEPフライ級GP2回戦ほか

▶12月11日(日)、横浜大さん橋ホール/「Road to ONE Japan & BOM 37」吉成名高vs.空龍ほか

▶12月13日(火)、東京・有明アリーナ/プロボクシングWBA、WBC、IBF、WBO4団体統一世界バンタム級タイトルマッチ、井上尚弥(大橋)vs.ポール・バトラー(英国)ほか

▶12月14日(水)、東京・後楽園ホール/「GLEAT MMA Ver.0」近藤有己vs.井土徹也ほか

▶12月18日(日)、名古屋国際会議場/「HOOST CUP KINGS NAGOYA 12」小川翔vs.シリモンコン・PKセンチャイジムほか

▶12月18日(日)、東京・後楽園ホール/「Krush.144」スーパー・フェザー級タイトルマッチ、中島千博vs.西元也史ほか

▶12月25日(日)、東京・両国国技館/「RISE WORLD SERIES / SHOOTBOXING-KINGS 2022」原口健飛vs.セルゲイ・アダムチャックほか

▶12月31日(土)、さいたまスーパーアリーナ/「RIZIN.40」RIZINvs.Bellator全面対抗戦ほか

▶12月31日(土)、東京・大田区総合体育館/プロボクシングWBA、WBO世界スーパーフライ級王座統一戦、井岡一翔(志成)vs.ジョシュア・フランコ(米国)ほか

 

 

近藤隆夫(こんどう・たかお)

1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『伝説のオリンピックランナー“いだてん”金栗四三』『柔道の父、体育の父 嘉納治五郎』(いずれも汐文社)ほか多数。

連絡先=SLAM JAM(03-3912-8857)


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