昨夏のドイツW杯に主力として出場した福西崇史選手は今季、12年間在籍したジュビロ磐田を離れ、FC東京に戦いの場を移した。31歳を間近に控えた今、その胸に去来する思いとは? 当サイトの編集長二宮清純が行ったインタビューの一部を公開したい。
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人を生かして自分も生きる

二宮: 今季、12年間在籍した磐田からFC東京に移籍しました。新天地にはだいぶ慣れましたか?
福西: 自分の中ではバタバタした感じはなくなってきましたね。磐田とFC東京では志向しているサッカーが違って、最初は戸惑いました。一緒にプレーする選手もガラリと変わりましたからね。今では全く問題ないですよ。

二宮: 福西さんはクラブで3度のリーグ優勝、代表で2度のワールドカップ出場を果たしている。これだけ経験豊富であれば、周囲の期待も大きいでしょう。
福西: 原監督からは「俺が思っていることをグラウンドの中で伝えてやってくれ」と言われています。僕としては、チームが苦しい時にリズムを変えられればと。ポジショニングなど伝えていけるところがあれば、他の選手に積極的に声をかけていきたいと思っています。

二宮: ボランチを組む今野選手との相性もよさそうですね。福西さんは攻撃力に魅力があるし、今野選手はボール奪取能力が高い。
福西: 互いに特長をうまく引き出しながらやれればと思っているんですよ。二宮さんがおっしゃったように今野はボールを奪うのがうまい。そういう特性を生かしてあげられれば。2人で中盤のスペースをうまく使いたいですね。

二宮: 第12節の横浜戦で35メートルの距離から決めたゴールは圧巻でした。ピッチに入って30秒足らずで、しかもファーストタッチでのシュートだったでしょう。あれは狙っていた?
福西: よく訊かれるのですが、狙って蹴ったんですよ。スコアこそ0−0だったんですがウチはシュートまで持ち込むことができず、相手のペースだった。そういう状況だったので、チームに勢いをつけるためにシュートを打とうと考えていた。それで、初めにボールを受けた時、GKを見たら前に出ていたので、思い切り打ちましたね。

二宮: あの状況でGKの位置を確認していたとは、落ち着いていますね。しかし、あの決勝ゴールがtotoの行方を左右した。あとで聞いて、ビックリしたでしょう?
福西: そうなんですよ(笑)。試合中は全くそんなことを考えずにプレーしていましたからね。だから、試合が終わって、周囲に言われてから驚きました。あのゴールで外れた人がいると思うとさすがに意識しますよね(笑)




二宮: 1等の当選額が約5億6000万ですからね(笑)。それにしても福西さんもこの9月で31歳。もう、すっかりベテランですね。
福西: ベテランと言われる年代になりましたね。年齢を重ねるにつれて、こういう時はこうした方がいいと自分のことだけではなくチームのことを考えられるようになりました。経験は大きいと思いますよ。

二宮: プレーヤーとして円熟期に入った今、どういうサッカーをやりたいですか?
福西: 磐田の黄金時代のような、人を生かしながら自分も生きるようなサッカーをやりたいですね。ボールと人がよく動くサッカーです。それを見ている人は楽しいと思うし、実際にやっていても楽しかった。ボランチの位置から、自分たちの攻撃を見ていて面白かったんですから。そのサッカーを取り戻していきたい。

二宮: 当時のジュビロのサッカーは本当に面白かった。アウェーで一番お客さんが入っていた。それだけ面白いサッカーをやっていたということでしょうね。
福西: 見ている人に楽しんでもらえるのが一番ですからね。それはプロとして求められていることだと思います。

二宮: FC東京はまだJリーグで優勝したことがない。8月11日にリーグが再開しますが、チームが後半戦で巻き返すためには福西さんの経験が必要です。
福西: それが自分の仕事の一つだと思っています。ただ、気付いたことを伝えたからといって「ハイ、すぐにできます」とはならない。本当に効果が出るまで時間はかかるでしょう。徐々にいい方向に持っていければと思って、やっていきますよ。

<福西崇史(ふくにし・たかし)プロフィール>
1976年9月1日、愛媛県出身。新居浜工―磐田―F東京。95年、新居浜工からジュビロ磐田に入団。高校時代まではFWだったが、当時の磐田の監督であるオフトにボランチへコンバートされる。その後、主力として、チームを3度のリーグ優勝に導く。99年6月、南米選手権でフル代表デビュー。02年W杯日韓大会ではわずか5分間の出場に終わったが、06年のドイツ大会には主軸として参加した。07年、12年在籍した磐田からFC東京へと移籍した。ポジショニングの良さと判断の早さに定評のある大型ボランチ。ヘディングが強く、セットプレーでの得点力も高い。181センチ、77キロ。


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