23日、男子セブンズ・デベロップメント・スコッド(SDS)の東京・府中合宿最終日がメディア・一般に公開された。SDSはセブンズ日本代表候補になり得る選手を招集し、育成・強化を図るスコッド。20日からの4日間行われた合宿にはSDSにトレーニングメンバーを加えた約20人が参加した。

 

「スゴイ!」「スゴイ、サポートネ!」

 カタコトの日本語が、調布飛行場に隣接する府中朝日フットボールパークに響き渡った。

 

 この秋に就任したサイモン・エイモーHCの指導に熱が入る。2016年リオデジャネイロオリンピックではイギリス代表を率い、銀メダル獲得に導いた実績を持つ。この日公開されたメニューは7対7、8対8とゲーム形式のトレーニングで、選手たちは汗を流した。 サイモンHCによれば、現在の強化ポイントは「セブンズの身体を使い方。15人制とセブンズの特性を見極めながら改善していきたい」と語った。

 

 サイモン体制では10月からのアジアラグビーセブンズシリーズ3大会(タイ、韓国、UAE)、11月からHSBCワールドラグビーセブンズシリーズ3大会(香港、UAE・ドバイ、南アフリカ・ケープタウン)に参加。特にワールドシリーズは2大会連続5戦全敗で最下位タイ(15位)と苦戦中だ。

 

「チョットムズカシイ、デモ……」とカタコトの日本語を交えながら、サイモンHCは説明する。

「若い選手を招集しているが、まだ時間はかかる。経験のある津岡(翔太郎)選手、加納(遼大)選手がケガをして新しい選手に機会を与えた中、杉野(太陽)選手という若い大学生が活躍をしてくれた。新しい選手を使いながら、どんどんチームを強化していきたい」

 

 19年からセブンズ日本代表デビューの津岡は直近のワールドシリーズ2大会をケガで欠場したものの、今回の合宿には参加。「今は変革期。変わっていく途中。12月までの結果は良くないけど、成長を感じられているので、そこまで悲観していません」と手応えを口にする。

「サイモンさんは実績のあるHC。選手に寄り添ってくれる。難しいこともなくシンプルで、僕たちもやることは明確でやりやすいです」

 

 自身の代表における立場も変わってきた。「アタック、ディフェンス、キックオフとすべてにおいて起点になる。試合で起爆剤にならないといけないと思っています」。東京オリンピックはバックアップメンバー。ピッチに立つことはかなわなかったが、その悔しさをきっかけに「セブンズ一本に絞った」という。所属先(コカ・コーラ)を退職し、契約選手としてパリオリンピックを目指す。

 

 それぞれのパリへの道がある。秋からセブンズ日本代表に加わったのが丸尾崇真。早稲田大学元主将で、イングランド留学帰りである。早大在学時、スポット的なセブンズ大会参加はあったものの、「ほぼ初心者みたいなもの」と本格的な転向はこの秋からだ。

「いろいろな壁にぶち当たって、新たに挑戦したいことが出てきた。そのうちのひとつがパリオリンピックでメダルを獲ること」

 

 9月にセブンズの人材を発掘し、育成していくためのプログラムのTID 発掘プロジェクトに参加。サイモン体制の大会にはすべて参戦している。「12月は結果を気にしない。自分たちのアイデンティティ、フィロソフィーをつくり上げる期間だったと思う。年を明けてからは結果にこだわっていきたい」と意気込む。

 

 今後チームは年明けに国内合宿を行い、ニュージーランド・ハミルトンとオーストラリア・シドニーでのワールドシリーズに臨む。「来年は12月よりいい結果を出せる自信があります」と津岡。来年はパリオリンピックの予選もスタート。すべての道はパリに通ず――。

 

(文・写真/杉浦泰介)