(写真:好調のリーチ<中央>。ブラックアダーHCも「火が付いた状態」と絶賛)

 24日、「NTTジャパンラグビー リーグワン2022-2023」第2節が各地で行われた。東京・味の素スタジアムでの“東京ダービー”は東芝ブレイブルーパス東京(BL東京)がリコーブラックラムズ東京(BR東京)を17-7で下し、今季初勝利を挙げた。BL東京は1勝1敗で勝ち点5、開幕2連敗のBR東京は同0。次節、BL東京は静岡ブルーレヴズ、BR東京はトヨタヴェルブリッツと対戦する。

 

 フィジカルバトルを得意とする両チームによる戦いは、“接点無双”を掲げるBL東京が制した。

 

(写真:この日のプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれた小川<中央>はフル出場)

 先制パンチはBL東京が見舞う。2分にSOトム・テイラーのPGで先制すると、その2分後、敵陣左でのマイボールスクラムからアタックを開始。No.8リーチ・マイケルがボールをキャリーし、敵陣深くへ。右隅にできたラックからボールを拾ったSH小川高廣はパスダミーで隙を突き、そのままインゴールに飛び込んだ。テイラーのコンバージョンキックが決まり、10点のリードを奪った。

 

 その後もBL東京ペースで試合は進む。スクラム、ラインアウトで優位に立ち、敵陣で長くプレーした。しかし、ノックオンやハンドリングエラーなどが目立ち、追加点を奪えない。インゴールを割らせない粘り強いBR東京の守りにも苦しめられた。

 

(写真:HT前にピッチで円陣を組むBR東京。これは今季から取り入れている)

 結局、そのままのスコアでハーフタイムを迎える。BL東京は後半ひっくり返されると前節の二の舞だ。序盤から敵陣に迫ったが3分、7分と相手のプレッシャーが厳しくノット・リリース・ザ・ボールのペナルティー。またしてもチャンスを掴み切れない。

 

 嫌な流れを断ち切ったのは得意の肉弾戦だ。14分、左ラインアウトモールから雪崩れ込み、水際で耐えていたBR東京のディフェンスだったが、No.8ネイサン・ヒューズにオフサイドポジションからボールを持つHO橋本大吾が阻止された。久保修平レフリーはBL東京にペナルティートライ(7点)を与え、ヒューズにイエローカードを提示した。

 

(写真:2m超のピアス<赤5>、ディアンズがいるBL東京のラインアウトは武器になっている)

 一方、開幕2連敗を避けたいBR東京も反撃を開始。「最後の20分にチャンスがくると思っていた」と想定していたピーター・ヒューワットHCが「フィニッシャー」として期待を寄せる選手たちを22分から次々と投入した。SH南昂伸、FBマット・マッガーン、No.8松橋周平がアタックを加速させる。

 

 自陣からマイボールスクラムから左に展開し、ハーフウェイライン付近までボールを運ぶ。中央にパスをつなぐとSOアイザック・ルーカスがBL東京守備陣のギャップを突いた。インゴール前で2対2の状況をつくり、フォローに走る南を囮に使って1人でゴールポスト下に飛び込んだ。ルーカスはコンバージョンキックも決め、7対17と10点差に迫った。

 

(写真:ボール争奪戦で相手のペナルティーを誘った場面。FWの奮闘が目立った)

 BL東京は34分に途中出場のNo.8佐々木剛がハイタックルでイエローカード。残り時間を1人少ない状況で戦うことを余儀なくされた。相手にボールを握られながらも、インゴールを割らせない。このままのスコアで逃げ切り、ホストゲーム初戦で今季初勝利を挙げた。

 

「試合のスタートは良かったが、それを繰り返すことができなかった」とはトッド・ブラックアダーHC。「ターンオーバーは19回もあり、ボールを保持しながら最終的に自分たちにプレッシャーをかけてしまった。改善するところは多い」。前半の中盤以降はチャンスつくりながら仕留めきれなかった。後半は11個も重ねるなど、苦しんだ。

 

 共同主将の1人、小川も「勝てたことが良かった」と試合を総括し、こう続けた。

「自分たちでミスをしてチャンスを逃したこともあるが、ブラックラムズさんのブレイクダウンが素晴らしくてやられてしまった。トディ(ブラックアダーHC)からもありましたが修正はいっぱいある。まだまだ伸びしろがあると思って、次のブルーレヴズ戦に向けて修正していきたい」

 

(文・写真/杉浦泰介)