(写真:初スタメンの押川<中央>、デビュー戦のエラスマス<右から2番目>など新戦力が活躍)

「NTTジャパンラグビー リーグワン2022-2023」第4節が14日、各地で行われた。東京・江戸川陸上競技場(通称・江戸陸)では、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(S船橋・東京ベイ)がNECグリーンロケッツ東葛(GR東葛)を40-7で快勝した。これでS船橋・東京ベイは3勝1分けで勝ち点16、GR東葛は1勝3敗で勝ち点4。次節はS船橋・東京ベイがコベルコ神戸スティーラーズ(神戸S)と、GR東葛は横浜キヤノンイーグルスと対戦する。

 

 戦力充実のS船橋・東京ベイがホストゲーム開幕戦でGR東葛を破った。

 

 前節まで2勝1分け、勝ち点11で2位に付けているS船橋・東京ベイは、先週のスタメンから7人を入れ替えた。ここまでの3節スタメン起用だったPR海士広大、HOマルコム・マークスを外し、LOデーヴィット・ブルブリング、FL末永健雄、SH藤原忍、SOバーナード・フォーリーはベンチに回った。

 

 ゲームキャプテンは12日のメンバー発表時はFLピーター“ラピース”ラブスカフニの予定だったが、前日のメンバー変更でCTBテアウパシオネとキャプテンの立川理道が入れ替わったことにより、立川が務めた。今季から加入のHOスカルク・エラスマスはリーグワンデビュー。22年度加入のルーキーは前節デビューのSO押川敦治とここまで3試合連続トライのWTB木田晴斗がスタメン入りした。

 

(写真:この日2トライの谷口はプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出された)

 小雨降るコンディンションの中、最初にスコアしたのはS船橋・東京ベイ。3分、左サイドで木田が得意のランでボールを運ぶ。内に切り込んでSH谷口和洋へパス。谷口はFBレメキ・ロマノ・ラヴァのタックルを受けながらゴールポスト下に飛び込んだ。FBゲラード・ファンデンヒーファーのコンバージョンキックが決まり、7点を先制した。

 

 その後は得意のスクラムで苦戦し、自陣に押し込まれてもインゴールを割らせなかったものの、17分にラインアウトからのモールでGR東葛にトライを許した。コンバージョンキックを決められ、7-7と追いつかれた。

 

(写真:2m超のボタ<5>など長身のLOを擁し、ラインアウトからのモールも武器となっている)

 それでも慌てず得意のFW戦で優位に運ぶ。ラインアウトからのモールでインゴールに雪崩れ込んだ。30分のエラスマスのトライはTMO(ビデオ判定)の末、取り消しとなったが、40分に再びラインアウトからインゴールに迫ると、最後は谷口がトライ。ファンデンヒーファーがコンバージョンキックを決め、1トライ1ゴール差を付けて前半を終えた。

 

 後半に入ると、S船橋・東京ベイが圧倒する。GR東葛が外したPGからのキックカウンターで、相手のミスを誘った。敵陣深くでラインアウトを獲得し、6分にモールトライ。12分にハーフ団を谷口と押川から藤原とフォーリーに代え、リズムを変える。前半は苦戦したスクラムでも優位に立つようになり、敵陣でプレーする時間が増える。

 

(写真:跳ねるようにタックルを切る木田。大外からの強気のアタックで攻撃陣を牽引している)

 24分にCTBライアン・クロッティがトライを挙げると、若きトライゲッターが勝敗をほぼ決定付ける。26分、レメキのパスをインターセプトした木田が独走。インゴール左中間にボールを置いた。さらに34分にはフォーリーのパスを受け、インゴール左にグラウンディング。いずれもフォーリーがコンバージョンキックを決めた。「WTBは得点、トライを取るのが仕事」という木田はこれで4試合連続、計6トライ。チームのトップリーグから続く3季連続新人賞へとファンの期待を膨らませる大活躍だ。

 

 S船橋・東京ベイは40-7で快勝。トライ数3個以上差でボーナスポイントを獲得し、暫定トップに躍り出た。フラン・ルディケHCが「シーズンは長い」と言う中での選手起用。好調だったメンバーを代えたのは、疲労を考慮しつつ、選手層の厚みを持たせたかったからだろう。12日のメディア対応でラブスカフニが「誰が出ても仕事をしてくれる」と言っていたが、指揮官も「出た人たちがいい仕事をしてくれた」と評価した。

 

 これでトップリーグ時代から続くホストスタジアム江戸陸での不敗神話を10に伸ばした。観客動員数は昨季のホストゲーム開幕戦と比べて微増(昨季は2379人)の2513人にとどまったが、“オレンジアーミー”(ファン、関係者を含むチームの総称)が後押しになっていることは間違いない。藤原は「オレンジアーミーが一番見える球場。特別な場所」と江戸陸を表現。「それにビジターを含め、大分、大阪と、どこに行ってもオレンジアーミーがいることに驚きました。本当に心強い存在です」と語った。次節は江戸陸で神戸S戦。この日以上にスタジアムが橙色に染まりそうだ。

 

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(文・写真/杉浦泰介)