「NTTジャパンラグビー リーグワン2022-2023」第5節を終え、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(S船橋・東京ベイ)は4勝1分けと無敗をキープしている。29日にリコーブラックラムズ東京(BR東京)と対戦する第6節はホストゲーム江戸陸(東京・江戸川陸上競技場)3連戦の3戦目。試合に先駆け、第6節スタメン予定の今季全試合出場のSH藤原忍と、今季初出場のLO堀部直壮がオンライン取材に応じた。

 

 5試合でリーグトップの200得点、2位タイの26トライと好調の攻撃陣を牽引するのが藤原だ。SOバーナード・フォーリーらとハーフ団を組むゲームメイクはもちろんこと、自身も2トライを挙げるなど強気なプレーが光る。

 
「前節は得点チャンスで得点に繋げられなかった。敵陣に入ったのに自分たちのミスで終わってしまうことがあったので、今節ではそこで取り切りたい。そのために9、10番がしっかりコントロールすることが大事。ペナルティーをなくすために自分が後ろからFWを落ち着かせたい」
 23歳の司令塔が重戦車FWを操る。彼らが身体を当てて広げた道をスピードのあるBKが抜け出すのが攻撃パターンのひとつだ。藤原は「テンポよくさばいて相手が付いてこれないようにしたい」と語った。

 

 天理大学卒業後の20年に加入した藤原は、一昨季はリーグ戦1試合(途中出場)、昨季は同13試合(先発3)に出場した。今季はここまで5試合中4試合で先発と順調にステップアップしている印象だ。「昔から負けず嫌いなので、やるからには9番を背負いたい」。今季は同じ天理大出身の谷口和洋とポジションを分け合っているが、「練習でもお互い譲り合うことなく本気でぶつかり合っている」という。5試合中4試合で21番を背負った谷口も2トライを挙げ、存在感を示していることを考えれば、いい競争が互いの高いパフォーマンスを生んでいると言えるだろう。

 

 シーズンを戦い抜く上で、ケガ人は避けて通れない。誰かが欠けても誰かが埋める。競争なくして成長なし――。S船橋・東京ベイは第3節でメンバーを大きく入れ替え、第6節では堀部、リザーブの松井丈典、玉置将也、リカス・プレトリアスと今季未出場の4人がメンバー入りした。特にロックはルアン・ボタ、デーヴィッド ・ブルブリング、ヘルウヴェの海外勢がメンバー外。堀部と青木祐樹の国産ロックをスターターにして臨む。

 

 堀部は「一瞬一瞬のプレーに対し、自分の持ち味を出して勝利をもぎ取りたい」と意気込んだ。自身の持ち味は「接点で当たり負けないこと。ブレイクダウンでターンオーバーを狙ったり、相手に時間をかけさせることが仕事。アタックではゲインしてモメンタムを生みたい」という。これまで各年代で代表入りをしてきた堀部だが、S船橋・東京ベイ入団後は決して順調な道程とは言えない。

 

 1季目は2試合、2季目の昨季は3試合の出場にとどまった。特に昨季は右ヒザの前十字靭帯断裂という大ケガを負い、好調のチームの波に乗り遅れた。「試合に出たいという気持ちもありましたし、悔しかった。それをバネにして今まで頑張ってきました」。肉体強化で体重を昨季から約2kg増量。「今季はプレシーズン通して前に出ることができている」とコンタクトで手応えを掴んでいる。

 

 S船橋・東京ベイは今季、メンバー外の選手を“ブースト”と呼ぶ。堀部自身、過去5試合はメンバーの背中を押す役目だったが、今節は違う。「ブーストでも常に準備はしていたし、“チャンスは絶対くる”と思っていました」。江戸陸3連戦3戦目、無敗の勢いを加速させられるか。チームの総合力が試される一戦となりそうだ。

 

(文/杉浦泰介、写真/ⓒクボタスピアーズ船橋・東京ベイ)