「NTTジャパンラグビー リーグワン2022-2023」第6節が各地で行われた。東京・秩父宮ラグビー場では東京サントリーサンゴリアス(東京SG)が三菱重工相模原ダイナボアーズ(相模原DB)を51-13で下した。5連勝の東京SGは通算成績を5勝1敗とし、勝ち点24で3位をキープ。敗れた相模原DBは3勝1分け2敗、勝ち点は15のままで、順位をひとつ落として6位となった。次節は東京SGが東芝ブレイブルーパス東京(BL東京)、相模原DBがコベルコ神戸スティーラーズ(神戸S)と2月5日に対戦する。

 

 快進撃を続ける猪軍団に立ち塞がったのは“太陽の巨人”。東京SGが得意のアタッキングラグビーを存分に発揮し、7トライを挙げて快勝した。

 

 第5節終了時点で3位に付けていた東京SGは開幕戦こそクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(S船橋・東京ベイ)に敗れたものの、NECグリーンロケッツ東葛(GR東葛)に50-19で快勝した。以降、横浜キヤノンイーグルス(横浜E)、神戸S、花園近鉄ライナーズ(花園L)に連勝街道をひた走った。第2節からトライ数は8、4、5、7。4試合中3試合で3トライ以上差のボーナスポイントを獲得した。

 

 対する相模原DBは開幕戦でリコーブラックラムズ東京(BR東京)に競り勝つと、勢いに乗った。2節でトヨタヴェルブリッツ(トヨタV)を破り、昨季王者の埼玉パナソニックワイルドナイツ(埼玉WK)には敗れたが、BR東京に逆転勝ち。前節の静岡ブルーレヴズ(静岡BR)戦は土壇場で追いつき、勝ち点2を拾った。ディビジョン2からの昇格組ながら、序盤戦の台風の目となっている。今季3度目の“東京喰い”なるかにも注目が集まった。

 

 快晴の秩父宮ラグビー場で今季初の青いジャージーに身を包んだ相模原DB。キックオフ直後、攻勢を仕掛けた。開始2分から約2分間、敵陣で攻め続けた。だが東京SGの粘りのディフェンスの前にゴールラインを最後まで割れなかった。
 

 先制は東京SG。14分、右へ左へとピッチをワイドに使ってアタックを仕掛ける。左隅でボールを受けたNo.8テビタ・タタフがトライを奪ったかに見えたが、TMO(ビデオ判定)により、トライ以前のパスにノットストレートがあり、トライは取り消しとなった。それでも東京SGはアドバンテージを得ており、ペナルティーを獲得。ショットを選択し、SOアーロン・クルーデンがPGを決めて3点をリードした。

 

 SOジェームス・シルコックのPGで一度は追いつかれた東京SGは自陣深くでのスクラムからアタックを仕掛けた。「チャンスがあればリスクあってもアタックするのが我々のDNA」と田中澄憲監督。34分、CTB中村亮土のキックパスを受けたWTBテビタ・リーが左サイドを突破する。内側に切り込み1、2人とかわしてインゴール左中間にボールを置いた。クルーデンのコンバージョンキックが決まり、10-3とリードを広げた。

 

 SOシルコックのPGで3点を返されたが、前半終了間際にも加点。リーがゲインすると、クルーデン、FL山本凱と繋いでゴール目前まで迫る。最後はSH齋藤直人のパスをスピードに乗って走り込んだPR小林賢太がトライ。リーグワン初、公式戦では早稲田大学4年時に挙げた全国大学選手権準々決勝の明治大学戦(2021年12月26日)以来のトライとなった。クルーデンがコンバージョンキックを決め、15-6で前半を終えた。

 

 一方の相模原DBからすれば、競った状態でハーフタイムを迎えたかったはずだ。それだけに小林に許したトライは痛い失点だった。後半開始直後にもトライを奪われ、流れを完全に明け渡すことになった。試合後、グレン・ディレーニーHCも「前半39分まで粘れていた。前半終了間際と後半開始直後のトライを取られたのは自分たちにとって大事な場面だった」キャプテンのSH岩村昂大も「今回の大きな学びだった」と悔やんだシーンだ。

 

 後半開始直後のトライはクルーデンが演出した。相手のキックをキャッチし、クルーデンがパスダミーを連発すると、左サイドを抜け出す。相手を引きつけて大外を走るCTB中野将伍にパスを送った。中野はタッチライン沿いを駆け抜け、左中間にトライ。クルーデンはコンバージョンキックを成功し、7分にはPGを決めてリードを21点に広げた。

 

 攻め手を緩めぬ東京SGは9分、自陣でボールを持ったFB松島幸太朗が見せた。3人を置き去りにし、右サイドを駆ける。大外を走るWTB尾﨑晟也を囮につかい、パスダミー。内側に切り込んで右中間にトライを挙げた。約80mを走り切るビッグプレーに田中監督も「マツのああいうトライは久しぶりに見た」と振り返った。

 

 24分と27分はラインアウトからのモールが起点となった。HO中村駿太、タタフがトライ。試合終了間際には途中出場のWTB河瀬諒介がインゴール左隅にトライし、51-13で試合を締め括った。田中監督は「ダイナボアーズさんは勢いもありますし、タフでハードワークできる素晴らしいチーム。簡単なゲームにはならないと、みんな理解していた。その通りのゲーム内容だった。最終的な点数は離れたが、内容的にはそこまでの差がなかった」と試合を総括。「ハードワークは我々もプライドを持っている」と80分間、集中を切らさず戦い抜いた選手たちを称えた。

 

 次週は秩父宮ラグビー場でBL東京との“府中ダービー”だ。BL東京は2試合連続60得点以上と攻撃陣が好調だ。「毎年、府中ダービーは厳しい戦いになる。覚悟を持って1週間を過ごしたい」と齋藤。田中監督は「1人1人が強いチーム。ゲインラインの戦いがキーとなる」と語った。

 

(文・写真/杉浦泰介)