“一戦必勝”で捲土重来の4季目へ
当コラム3カ月ぶりの更新となりますが、既にセガサミー野球部は始動しています。キャンプインは2月8日。今年も宮崎にお世話になります。まずは少しだけ2022年を振り返らせていただくと、10月の東京都企業秋季大会では久々の優勝を収めることができましたが、残念ながら都市対抗野球はベスト8、社会人日本選手権は1回戦敗退に終わりました。
新戦力は6人
選手たちは力を付けてきてはいるのですが、改めて一発勝負の難しさを痛感しました。社会人野球はどちらが勝ってもおかしくはない戦いが続きます。攻めては勝負どころで打てず、逆に守っては長打を浴びてしまうシーンも何度か。特にパナソニックに敗れた日本選手権1回戦では攻守で細かい綻びが出てしまいました。この悔しい経験をどう生かしていくか。あとは反復練習あるのみ。今季は“捲土重来”とばかりにチームを再構築していきたいと思います。
私が監督に就任してから今年で4年目になります。きっと選手たちも私のやり方を理解してきたでしょう。例年通り都市対抗予選から逆算してチームづくりを進めたいと思います。今年も“一戦必勝”の思いは変わりません。各大会に向けては、景気よく「優勝します」と言いたいところだけど、そんな簡単なものじゃない。もちろん優勝はどのチームも目指すところですから、一戦一戦勝っていく先に優勝というゴールにたどり着けばいいと思っています。
今季は新加入が6人。彼らと既存の選手との融合がキーになってくると思います。新人は東都大学野球リーグ出身選手を中心に5人。昨季、外野のレギュラーは植田匡哉しかいなかった。都市対抗本戦も補強選手は外野手。新人も即戦力と期待する外野手を獲得しました。昨季の投手陣は草海貴、舘和弥が先発の軸になりましたが、今季の大卒新人のピッチャー1人に加え、私の古巣である広島カープから田中法彦が入団しました。
田中は菰野高校からドラフト5位で指名され、2019年にカープ入団。チーム編成の事情もあったのでしょう。昨季オフに自由契約となりましたが、年齢的も23歳と若い。のびしろも十二分に感じます。ある関係者によれば、「大崩れしない」という評価。今のところリリーフを任せたいと考えています。球のスピードがあり、2軍でクローザーを任された経験もあります。3年目の2020年にはウエスタン・リーグでセーブ王にも輝きました。
田中には昨季ブレイクした福岡ソフトバンクの藤井皓哉投手のような活躍を期待しています。藤井投手もカープを自由契約となりました。そこから四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグスで活躍し、1年でNPBに戻りました。育成契約でスタートした昨季はシーズン開幕直前に支配下登録を勝ち取り、55試合に登板し、5勝1敗22ホールド3セーブ、防御率1.12と大活躍でした。
独立リーグと社会人野球と環境は違いますが、田中にも再起のチャンスを生かし、飛躍のきっかけにして欲しいですね。今年の活躍でNPBから評価されたのならプロに戻るのもいいし、チーム残留を選んでもいい。いずれにせよ自分の人生を切り拓いていくチャンスを得たわけですから、それを生かす気持ちで頑張って欲しいと思います。
WBC日本代表への期待
楽しみな新戦力が加わった一方で、5人の選手がこのオフにチームを勇退しました。コーチ兼任の澤良木喬之、11年目の政野寛明は後輩にも慕われていましたし、頼りになる選手でした。ただ選手の入れ替わりは、どのチームも避けられないこと。常に変わっていかなければいけません。今季は9年目の横田哲、須田凌平、宮川和人、石垣永悟、氏家優悟、砂川哲平が中心となって、後輩たちを引っ張ってもらいたいです。
今季期待の選手には、若獅子賞を獲った黒川貴章を挙げたいと思います。昨季は1年目ながら公式戦で4割以上の打率を残し、今年のドラフト候補にも挙げられています。更なる飛躍に期待です。中川智裕、根岸晃太郎という本来の潜在能力からすれば、昨季物足らない成績だった主力選手たちの奮起も求めています。
さて今年は第5回WBCが行われます。ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手らメジャーリーガーがいつ宮崎入りするかもファンにとっては注目でしょうが、私は本大会で栗山英樹監督がどんな采配を振るうかに興味が湧きます。
昨年はサッカー・カタールW杯で日本代表が強豪国を破って、決勝トーナメント進出を果たすなどサッカー界、スポーツ界が盛り上がりました。WBCで結果はもちろんのこと、“さすがプロ”と唸らせるような技術を見せて欲しいと思います。ピッチャーの剛速球もいいけど、技巧派が見せるコントロール、変化球でかわす投球術にも注目したい。大谷選手、村上宗隆選手らが放つホームランも、もちろん魅力的ですが、攻守における華麗なテクニックもぜひ見たいですね。
最後に今月8日からのキャンプでは新監督に就いたカープの後輩・新井貴浩(広島)、PL学園の後輩・松井稼頭央(埼玉西武)に会えるのも楽しみです。2人の邪魔にならないように挨拶だけしたいと思います。それでは今年も西田真二とセガサミー野球部の応援をよろしくお願いします!
<このコーナーは毎月1日更新です>