2月8日からの宮崎キャンプも無事終了し、東京に帰ってきました。3月は1日からオープン戦10試合を行い、20日からは東京都企業春季大会がスタートします。宮崎ではオープン戦、プロ・アマ交流戦の計6試合を行いました。2勝3敗2分け。選手たちの仕上がり具合も“まだまだ、これから”というのが正直なところです。キャンプを通して見つかった課題を詰めていきながらシーズンを突っ走っていきたいと思います。

 

 期待のルーキー

 選手個人では、キャプテンの宮川和人の仕上がりがいいと感じています。他では黒川貴章も試合を通じてまずまずの調子を見せている。若獅子賞を獲得した黒川ですが、彼は技術面を含め自分というものを持っている。社会人野球はプロ野球と違い同じピッチャーと多く対戦するわけではありません。バッターは数少ない対戦でどれだけ対応できるかがカギとなります。

 

 その点、黒川はその対応力があると感じます。バッティングはコンタクト率が高い。どちらかと言えば、狙い球を絞って打ちにいくタイプ。自分のストライクゾーンを持っている選手だと思います。今年は大卒2年目、ドラフト解禁年です。プロから声がかかるためには、体力強化やスローイングの正確さをもう一段階上に持って行く必要があるでしょう。

 

 ルーキーに目を向ければ、拓殖大学から入った高島大輝がいいですね。ダウンブローでコンパクトにスイングをしながら長打も打てる選手です。走力があり、1年目の中では際立っている。セガサミーには走力のある選手が少ない。そのアドバンテージもあるので、外野手の2番手争いで一歩リードしています。

 

 また東洋大学から入ったキャッチャーの廣岡隆成も楽しみな選手の1人ですね。森井紘斗は投げやすそうにしている。いろいろなピッチャーとのコミュニケーションを取りながら、それぞれの特長や性格を掴んでいってもらいたいと思います。社会人野球のレベルは高いのですが、1年目の選手の力が必要。選手の長所をうまく見極めながら、育てていきたいですね。

 

 キャンプ中、2月21日、私の古巣カープの2軍と対戦しました。先発の飯田大翔は4回までは無失点と好投したのですが、5回から制球が乱れて3失点。4回までのピッチングは非常に良かっただけに、その先が課題と言っていいでしょう。このコラムでも再三言っていますが、変化球でのストライク率を上げることが大事。飯田はカーブ、スライダーが非常にいい。ストレートを見せ球に緩急つけたピッチングスタイルに変わっていっている最中です。彼にはチームの信頼を勝ち取り、先発の軸になることを期待しています。

 

 宮本慎也臨時コーチ

 また新加入の田中法彦は古巣のカープ相手に起用し、2回無失点でした。ストレートの球速145、6kmでチェンジアップもいい。彼自身も課題は分かっていると思いますが、もう少しコントロールを付けて欲しいですね。厳しい目で見れば、まだ結果オーライの2回無失点という感じです。確実にアウトカウントを稼げるようになれば抑えを任せられる。現状は昨季、抑えを担当した石垣永悟との争いになってくるでしょう。

 

 一方で打線は、昨季1軍で9試合に登板した玉村昇悟投手から3回にヒット3本で1点を奪ったことが収穫です。残りの3点は相手の投手がフォアボールで崩れていった。ただ23日、社会人野球の王子に完封負けを喫してしまいました。今は結果だけを見るのではなく、プロセスをしっかり見て行きたい。3月の実戦も含め、いろいろな選手を試していきたいと思っています。

 

 3月からの実戦では投手陣の仕上がりを中心にチェックしていきたい。昨季の主戦、草海光貴、舘和弥は疲労が残っているため、このキャンプで登板させませんでした。やはり、この2人がウチの柱ですから、徐々に調子を上げていってもらいたいですね。東京都企業春季大会1回戦で対戦するのは明治安田生命。公式戦という真剣勝負の場で、お互いの現状を確かめられるいい機会だと捉えています。

 

 前回の予告通り、プロ野球では埼玉西武の松井稼頭央監督、カープの新井貴浩監督らに挨拶に行きました。いろいろと話をさせてもらい、情報交換もできました。カープでは球団アドバイザーに就任した黒田博樹に会いました。あれだけの実績のある投手なのに、とても気を配ってくれました。彼の人柄が表れていますね。ここだけの話、黒田にセガサミーの臨時コーチを頼もうと考えていましたが、球団アドバイザーになったため断念しました。

 

 ただキャンプにはPL学園の後輩にあたる宮本慎也に臨時コーチを来てもらいました。バッティング、フィールディングの基本を彼が手本を見せてくれた。コーチ陣も非常に勉強になったと思います。私も監督就任4年目、いろいろと新しいものを取り入れていかなければいけない時期に来ている。チームの外から選手たちを見てもらうことも大事だと思っています。選手たちにとってもいい刺激になったことでしょう。

 

 社会人野球は短期決戦。勢いというものが大事になります。ルーキーや若手のフレッシュな選手たちの勢いはもちろんのこと、ラッキーボーイ的な存在も必要になる。まずは予選を含めて初戦に絶対勝つという気持ちでいきたいですね。そこから先を見据えていくことができますから。3月の公式戦も一戦必勝で頑張りたいと思います。

 

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