近年、健康な腸内環境をつくるための「腸活」が注目されています。当サイトでは2022年6月から「腸活」をテーマとしたコーナーをスタートさせました。タイアップ企画のパートナーである野村乳業が開発した植物乳酸菌発酵エキス「マイ・フローラ」を数カ月間ゲストに試飲してもらい、当サイト編集長・二宮清純と計3回にわたっておなかの調子や体調の変化などについて語り合います。今回は、最終回のゲスト大山加奈さんに加え、腸内フローラ研究の第一人者・福田真嗣先生をお招きして鼎談を行いました。

 

 バレーボールも多様性

 

二宮清純: 大山さん、お久しぶりです。いよいよ最終回となりました。今日は「マイ・フローラ」試飲前と試飲後に行っていただいた腸内フローラ検査の結果を公表させていただきます。

大山加奈: お久しぶりです。試飲後の検査結果をまだ見ていないので、今日はとても楽しみです。

 

二宮: そして今回、腸内フローラ検査の結果を説明していただくのは、慶應義塾大学先端生命科学研究所特任教授で腸内フローラ研究の第一人者でもある株式会社メタジェン代表取締役社長CEO・CGDOの福田真嗣先生です。本日はよろしくお願いします。

福田真嗣: よろしくお願いします。

 

二宮: 早速ですが福田先生、大山さんの腸内フローラの検査結果をご覧になっていかがでしょうか。

福田: 私がまず注目したのは「腸内フローラの多様性」です。試飲前と比べて試飲後に数値が増加していました。これはおなかの中にいろいろな種類の腸内細菌がいる状態を示しており、多様性の数値があがることは良い結果だと考えられます。「マイ・フローラ」を3カ月間飲んだ後に数値が上がっていますから、「マイ・フローラ」のお陰と言っても良いかもしれません。

 

大山: 「腸内フローラの多様性」が高まると、どんなメリットがあるのでしょうか?

福田: 一番のメリットとして、おなかに何かアクシデントが発生したとしても、腸内フローラが生態系としてその安定性を保つ力が高まります。

 

二宮: ひらたく言えば、大山さんのおなかは対応力が高くなった、ということでしょうか。

福田: おっしゃる通りです。「腸内フローラの多様性」をバレーボールのチームで考えてみると、例えば優秀なウィングスパイカー、ミドルブロッカー、セッター、リベロが揃っているチームは強いですよね。ひとりひとりの能力が高く、バリエーション豊富なチームは様々な相手と戦っても対応できます。

 

大山: たしかに、各ポジションにレベルの高い選手がいるとそう簡単に崩されることはありません。

福田: 一方で、この逆が恐ろしいんです。極端な例ですが、仮にチーム全員、スパイクしか打てない選手だけだったらどうでしょうか。

 

二宮: 誰が相手のサーブを拾って、誰がトスをあげるんだろうか……。

大山: ブロックできないと相手が攻撃に変化をつけてきた時に対応できません。

 

福田: そこなんです。つまり、スパイクしか打てないチームは腸内フローラの多様性が低い状態を意味します。チームの多様性が低いと相手の攻撃に対応できずに負けてしまいます。一方、チームの多様性が高いと、どんな相手にも対応でき、こちらから有効な攻撃を仕掛けることも可能です。データを見ると、大山さんの腸内フローラの多様性は高いので、いろいろなことに対応できる状態と言っていいでしょう。

大山: それは嬉しいです。この数カ月間、「マイ・フローラ」を飲んでみて「私に合っているな」と実感できたことも個人的には大きな発見でした。

 

福田: 具体的にどんなことを実感されていますか?

大山: 飲む前はおなかの不調で悩んでいましたが、飲み始めてからすごく“快腸”なんです。実は、「マイ・フローラ」を飲めなかった期間があり、おなかの調子が少し悪くなりました。ですが、また飲み始めたら3日後くらいには “快腸”に戻りました。それで“私には「マイ・フローラ」が合っているな”と……。

福田: 自分に合っている、という実感が継続するために重要だと思うので、ぜひこのまま飲み続けてください。

 

 便秘が及ぼす悪影響とは

 

二宮: 大山さんは現役時代からひどい便秘症に悩まされていたそうですが、そもそも便秘になるとどういった悪影響があるのでしょうか?

福田: 腸内細菌は、人間が食べた物の未消化物を栄養素にして生きていますが、腸内細菌にも人間と同じように食べ物の好き嫌いがあるんです。腸内細菌は主に炭水化物を好んで食べます。

 しかしうまく排便ができないまま(便秘)でいると、腸内細菌が好物の炭水化物を腸内で食べつくしてしまいます。腸内細菌も生きるために栄養素が必要ですから、炭水化物を食べきった後はタンパク質を食べ始めます。困ったことに、腸内細菌はタンパク質を分解すると尿毒症物質など人間の体にとってあまり良くないものをつくり出してしまうんです。

 

二宮: 悪影響を及ぼす物質が腸から吸収されてしまう、ということですか?

福田: そうです。それらの物質が血液を通じて全身に運ばれます。だから定期的に排泄して、腸内細菌に良い成分を腸内で作ってもらう状態を維持することが重要です。

大山: 便秘になるとおなかが張って苦しんだり、不安な気持ちになったりしますがそれ以外にこんなリスクがあったとは……。

 

二宮: 福田先生の話をお聞きし、発酵食品を摂取し、おなかを育てることの大切さを、私も痛感しました。

福田: 「発酵」という観点だと、例えば腸内フローラは私たちの腸の中で常に発酵をしてくれています。そのため私はよく「皆さんは各々、おなかの中に自分だけのぬか床を持っているんですよ」と言っていますね。

 

二宮: 自分だけのぬか床、と言いますと?

福田: 食事をして、それが約37度で温められ、腸内細菌が未消化物を分解し、腸内細菌が作り出した良い成分が体内に供給される。私たちはこれを「体内発酵」と呼んでいます。だから、おなかの中に自分だけのぬか床を持っている、と例えて説明しています。

 

大山: そうなるとやはり、食事が大事なんですね。

福田: おなかの中のぬか床にどんな良い物を届けるか、ということが健康を保つには重要です。食べ物は人間の栄養素であると同時に、腸内細菌のエサでもあります。そういう発想を持って食べる物、飲む物を選ぶと「腸内フローラの多様性」も増加し、さらに健康に近づいていくのではないでしょうか。

 

二宮: 「発酵食品はお肌にも良い」とも聞きますが、おなかのぬか床である腸内環境がよくなると美肌になるといった副次的な効果も期待できるのでしょうか?

福田: 腸内細菌は食物繊維やオリゴ糖などの炭水化物を食べて、短鎖脂肪酸を産生します。この短鎖脂肪酸が腸から吸収されて全身に運ばれると皮膚の細胞に作用し、バリア機能を高めることで肌荒れを防止できると近年明らかになりました。つまり腸内環境を良くすると全身に良い影響があると言えます。

大山: 聞けば聞くほど、「腸活、頑張ろう」って思えてきます。

 

二宮: さきほどのバレーボールの例えといい、ぬか床の例えといいわかりやすく、興味深いですね。

福田: ありがとうございます。皆さんが腸内環境に興味を持ってくれて嬉しいです。私は大学生の頃からかれこれ24年間、一貫して腸内環境に関する研究を行っていますが、腸内フローラが注目されるようになってきたのは、近年になってからです。24年前は農学部の大学生で、犬や猫などのペット動物の腸内フローラの研究をしていました。腸内フローラを調べるには便が必要なので、犬の散歩中の飼い主に「その袋に入っている犬の便をください」と言って便をもらっていたのですが、毎回訝しがられました。

 

大山: まだ、世間の理解が追いついていなかったのかな……。福田先生にはちょっと申し訳ない言い方ですが、24年前だと警戒しちゃう気持ちもわかります(笑)。

福田: ですよね(笑)。怪しい者ではないことと、便の使用目的を丁寧に説明して何とか便をもらうことができました。今では「腸内細菌の研究に使うんです」と言えば一定の理解を示してもらえるようになりましたが、当時は本当に大変でした。

 

二宮: そんなご苦労された時代があったとは……。いずれにしても今後「マイ・フローラ」により、大山さんの腸内フローラの多様性がもっと向上すればいいですね。

福田: 良い物を取り入れて、ぜひ自分だけのぬか床を大切に育ててください。

大山: ありがとうございます。「マイ・フローラ」で美味しく、楽しく腸活を続けます。

 

<大山加奈(おおやま・かな)プロフィール>

1984年6月19日、東京都生まれ。小学校2年生でバレーボールをはじめる。成徳学園中学、成徳学園高校(現・下北沢成徳高校)に進学。キャプテンとしてチームをけん引し、インターハイ、国体、春高バレーの3冠を達成。小中高すべての年代で全国制覇を経験した。01年、日本代表初選出。翌年5月、日米対抗で代表デビュー。03年、東レ・アローズに入団。04年、アテネ五輪出場を果たした。10年6月に現役引退。以降、バレーボールの普及活動、タレント活動と多岐にわたり活躍中。現役時代のニックネームは「パワフル・カナ」。身長187センチ、スパイク最高到達点は308センチ。

 

 

<福田真嗣(ふくだ・しんじ) プロフィール>

慶應義塾大学先端生命科学研究所特任教授 / 株式会社メタジェン代表取締役社長CEO・CGDO。2006年明治大学大学院農学研究科博士課程を修了後、理化学研究所基礎科学特別研究員などを経て2012年より慶應義塾大学先端生命科学研究所特任准教授、2019年より同特任教授。2016年より筑波大学医学医療系客員教授、2017年より神奈川県立産業技術総合研究所グループリーダー、2019年よりマレーシア工科大学客員教授、JST ERATO副研究総括、2021年より(一社)腸内デザイン学会代表理事、2022年より順天堂大学大学院医学研究科細菌叢再生学講座特任教授を兼任。著書に「もっとよくわかる!腸内細菌叢 "もう一つの臓器"を知り、健康・疾患を制御する」(羊土社)。

 

植物乳酸菌発酵エキス「マイ・フローラ」は、野村乳業と広島大学大学院との共同研究から誕生した新しい乳酸菌飲料です。独自の発酵技術により、植物乳酸菌を飛躍的に増やし、100mlあたりに含まれる菌の量は1000億。このうち95%の植物乳酸菌が胃酸に負けず、生きて腸まで届きます。香料や保存料は不使用のため安心安全な飲料です。

 

◎バックナンバーはこちらから