「NTTジャパンラグビー リーグワン2022-2023」は週末の第8節で前半戦が終了する。ディビジョン1はバイウィーク(試合のない週)を挟み、ここから6週連続で試合が行われる。6勝1分けのクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(S船橋・東京ベイ)は勝ち点28で、首位を走る埼玉パナソニックワイルドナイツ(埼玉WK)と勝ち点差2の2位に付けている。17日、2日後に控える三菱重工相模原ダイナボアーズ(相模原DB)戦に向け、スタメン予定の根塚洸雅、木田晴斗の両WTBがオンライン取材に応じた。

 

 284得点はリーグトップ、36トライはリーグ2位。破壊力抜群のアタックを支えるのは、屈強なFW陣はもちろんのこと両翼を担う2人の貢献も大きい。今季の7試合すべてに出場している24歳・根塚は5トライ、5試合出場の23歳・木田は7トライ。それぞれトライランキング6位タイ、3位タイに付けている。

 

 決定力に開幕前からこだわってきた根塚。リーグ戦5トライは昨季の4トライ(10試合)を上回る数字だ。
「トライを取れるようになってきていることは成長を感じていますが、“ここで取り切れたな”という反省点がもっとある。より一層、トライに貪欲なれれば、これからもトライを増やせると思っています」

 

 あえてトライを逃した悔しいシーンを本人に挙げてもらった。第4節のNECグリーンロケッツ東葛(GR東葛)戦。後半1分、右サイドを駆け抜けた際、インゴール目前でFBレメキロマノラヴァにつかまり、タッチライン外に押し出されたシーンだ。根塚はこう振り返る。
「手を伸ばしていればトライは取れた思う。内側をフォローする選手にパスを返そうとする意識が強過ぎました。22mライン内に入ったら、“自分で取りにいく”という気持ちは、もう1個レベルを上げないといけない」

 

 トライを量産する1学年下の木田の存在は「刺激になっている」という。「“晴斗に負けたくない”という気持ちがある。晴斗も何かしら思っているはず。相乗効果で頑張れている」。木田も「年が近くて同じポジション。去年活躍したので自分にも熱が入る。同じチームにそういう選手がいることは幸せやなと思う」と口にする。

 

 切磋琢磨はチームメイトとの競争だけではない。昨年、ジャパンに初招集され、1キャップを刻んだ。再び桜のジャージーに袖を通すことを諦めてはいない。同時期にジャパンに呼ばれた東京サントリーサンゴリアス(東京SG)のFB/WTB尾﨑晟也は13トライ、東芝ブレイブルーパス東京(BL東京)のWTBジョネ・ナイカブラは7トライと活躍する2人にも「負けたくないという気持ちはメチャメチャある」と刺激を受けている。

 

 笑顔がトレードマークの根塚だが、「愚直にやるしかない」という真剣な眼差しは、瞳の奥にメラメラと燃える闘争心を宿しているように映った。

 

「自分としてはトライを取ることと、チームから与えられているWTBの仕事をして勢い付けたい」
 そうホストスタジアム江戸陸(東京・江戸川区陸上競技場)での相模原DB戦に向け、抱負を語ったのが木田。その才は1学年上の根塚も「決定力のある選手。一瞬のスピード、パワーがある。トライに対する貪欲さが強い」と認めるところだ。

 

 開幕から4試合で6トライを記録し、2試合休んで迎えたバイウィーク前の第7節、トヨタヴェルブリッツ(トヨタV)戦は前半16分にトライを挙げた。タッチライン際左でパスをもらうと、対面のWTB高橋汰地のタックルを受けながらもインゴール左隅にボールを置いた。

「タックル入られてもボールを置ける間合いがあった。無理に(タックルを)外すことは考えず、ボールを置きにいくことをイメージしていた」

 

 切り裂くような根塚のランに対し、木田のランは突き破るイメージが近い。持ち味の強気なランは、空手がルーツにあるという。小学4年時には極真空手の世界ジュニア選手権で優勝した経歴を持つ。本人は現在に繋がる体幹の強さを培ったと言うが、対峙する相手から退かない心構えも空手で身に付けたものではないだろうか。

 

 チームはトップリーグ時代からFB金秀隆、根塚と2年連続新人賞受賞中だ。ここまでの活躍ぶりから新人賞最有力候補と言っていいだろう。「意識はしている。3年連続で取りたい」と木田。この賞をステップボードに目標のジャパン入りを果たしたいと考えている。

 

 根塚、木田の2人が同一試合でトライを挙げたのは、今季7試合中3試合である。2試合連続はまだない。トヨタV戦に続く両翼揃い踏みはあるか。若き槍騎兵を両端に従え、S船橋・東京ベイは今季リーグ戦&ホスト江戸陸での無敗街道を突き進む。

 

(文/杉浦泰介、写真/ⓒクボタスピアーズ船橋・東京ベイ)