(写真:トライを挙げた山本を祝福するS船橋・東京ベイの選手たち)

「NTTジャパンラグビー リーグワン2022-2023」ディビジョン1第8節が19日、東京と神戸で行われた。東京・江戸川区陸上競技場(江戸陸)では、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(S船橋・東京ベイ)が三菱重工相模原ダイナボアーズ(相模原DB)を60-22で破った。S船橋・東京ベイは3トライ以上差を付けての快勝でボーナスポイントを獲得。7勝1分けで勝ち点を33に積み上げた。敗れた相模原DBは3勝1分け4敗で勝ち点15。神戸総合運動公園ユニバー記念競技場では、コベルコ神戸スティーラーズ(S神戸)が静岡ブルーレヴズ(静岡BR)を32-29で下した。S神戸は4勝4敗で勝ち点19、静岡BRは2勝1分け5敗で勝ち点15となった。

 

(写真:巧くゲームをコントロールした谷口。「SH5人の競争が刺激になっている」と言う)

 S船橋・東京ベイが過去2戦の反省を生かし、バイウィーク明けの試合をきっちりと快勝した。8連勝で負けなし首位の埼玉パナソニックワイルドナイツ(埼玉WK)の後ろをピタリとつける。

 

 第6節のリコーブラックラムズ東京(BR東京)戦、第7節のトヨタヴェルブリッツ(トヨタV)戦は、いずれも前半10点以上リードしながら後半追いつめられた苦しい試合だった。チームは『BACKS TO BASICS』(基本に立ち返れ)を合言葉に試合に臨んだという。

 

 序盤は敵陣でペナルティーを獲得すると、手堅くPGで得点を重ねた。6ー3とリードした16分、初トライが生まれた。右ラインアウトからのモールで前進。左に展開していき、最後は大外のWTB木田晴斗がボールをインゴール左隅に置いた。SOバーナード・フォーリーのコンバージョンキックが決まり、13-3とリードを広げた。

 

(写真:オーストラリア代表59キャップのトゥームア。随所に巧みなキックパスを披露)

 2連敗中の相模原DBも反撃。敵陣に攻め込み攻撃を継続した。34分、SOマット・トゥームアがキックパスを右サイドでFLサム・チョンキットがキャッチ。フォローに走ったWTB韓尊文がパスをもらい、インゴール右隅に飛び込んだ。しかし終了間際のPGは決め切れず、8-13と5点差でハーフタイムを迎えた。

 

 後半開始早々流れを掴んだのはS船橋・東京ベイだった。2分、相模原DBのWTBタウモハパイホネティがWTB根塚洸雅へのショルダーチャージでシンビン。10分間の数的有利のチャンスを確実に生かした。まずはそのペナルティーで獲得したラインアウトからモールで押し込み、HOマルコム・マークスがトライを挙げる。

 

 5分には途中出場のPRオペティ・ヘルの突破からCTBリカス・プレトリアスに繋ぎ、最後はFBゲラード・ファンデンヒーファーがインゴールにグラウンディング。その3分後、根塚の突破からSH谷口和洋、フォーリー、No.8ファウルア・マキシと繋ぎ、サポートに走った谷口がインゴール右中間にボールを置いた。

 

(写真:キックパスをキャッチする木田。今季6試合出場で9トライを記録し、好調を持続)

 さらに11分。フォーリーのキックパスを左サイドで木田がジャンプしてキャッチし、そのままインゴール左中間に飛び込んだ。フォーリーは4本ともコンバージョンキックを決めた。15人対14人の10分間で4トライ4ゴールを積み重ね、41-8と一気に畳み掛けた。

 

 その後は相模原DBに2トライ2ゴールを返されたものの、マキシ、ヘル、PR山本剣士がトライを挙げ、計8トライで60得点の大勝だ。3トライ差以上のボーナスポイントも獲得した。これで埼玉WKとの勝ち点差は2のまま。7勝1分けと無敗をキープしたまま、リーグ戦を折り返した。

 

(写真:後半23分のマキシのトライ。この日のプレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いた)

 フラン・ルディケHCは「バイウィーク後の大事な試合だったので、80分間のパフォーマンスが良く、良い結果に繋がった。後半のイエローから流れが動き、選手たちはタスクフォーカスをしっかりやってくれた」と総括した。LO青木祐樹は「『BACK TO BASICS』を今日は80分間体現でき、それがスコアに繋がった」と語った。

 

 最後まで攻め手を緩めず試合を締めた。「1人1人が役割に徹すること。チーム全員でアタックするように、とテーマを掲げた」と谷口。数的有利の10分間、確実にスコアできたことが勝因と言えよう。その点について青木はこう述べた。
「トライをした後にも『自分たちのやることは変わらない』と常に言い続けた。まずはリスタートをレシーブする。スペースがあるなら外に振り、ないならキックしてチェイスした」

 

 次節は中5日で東芝ブレイブルーパス東京(BL東京)と対戦する。「リラックスできる試合はない」とルディケHC。気を引き締めて後半戦に臨む。

 

(文・写真/杉浦泰介)

 

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