「NTTジャパンラグビー リーグワン2022-2023」ディビション1は第9節を週末(25、26日)に迎える。7勝1分け、勝ち点33で2位に付けるクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(S船橋・東京ベイ)は25日、本拠地の東京・江戸川区陸上競技場(江戸陸)で同5位(4勝4敗、勝ち点21)の東芝ブレイブルーパス東京(BL東京)を迎える。スタメン予定のCTBハラトア・ヴァイレア、PR紙森陽太がオンライン取材に応じ、意気込みを語った。

 

 シーズンを戦う上でケガを避けて通れないのが、ラグビーというコンタクトスポーツの宿命だ。選手たちの生傷は絶えない。試合後の声を聞こうとメディアが集うミックスゾーンに、KO負けを喫した格闘家のようにまぶたを腫らして答える者もいれば、「コンディション不良」を理由に現れない者もいる。それほどケガと隣り合わせ、いや、ある意味ケガと付き合っていかなければ、この“戦場”では生き抜いていけないのかもしれない。

 

 今季無敗と好調のS船橋・東京ベイもケガ人は少なくない。シーズン開幕戦のメンバーからも何人か欠場を余儀なくされている。2試合休んだLOデーヴィッド・ブルブリングは前節スタメン復帰し、同じく2試合欠場のキャプテンCTB立川理道は今節からリザーブ入り。ケガ人も徐々に戦線に戻ってきている。

 

 今節スタメン入りしたヴァイレアと紙森は昨年4月に入団するなりすぐに出場機会を得た有望株だ。しかし、ヴァイレアはヒザ、紙森はアキレス腱を痛め、それぞれ3試合、1試合出場にとどまった。今季、同期のWTB木田晴斗が序盤から定位置を掴み、活躍を見せている中、ヴァイレアは第7節に初出場、紙森は今節が初のメンバー入りだ。

 

 同期や同世代の活躍が刺激になっているのは言うまでもない。ヴァイレアは「試合に出ている人が多い。うれしいですけど、悔しさもある」と胸の内を隠さない。紙森は「近い世代は知っている人が多い。その活躍に見習う分があり、自分自身も“こういうところを伸ばせるんじゃないか”と自分の可能性に気付ける部分もある」とポジティブに捉えている。

 

 2日後に対戦するBL東京は今季4勝4敗と勝ち星が伸びてないものの、フィジカルバトルを得意とするチームだ。紙森も「セットプレー、FWが強いイメージ。スクラムでドミネートできたらいい」と意気込む。ヴァイレアはCTBセタ・タマニバル、紙森はPR小鍛治悠太という相手のキープレーヤーが対面につく。タマニバルはニュージーランド、フィジーの代表経験があり、BL東京アタックの中心だ。「ミスさせるようにプレッシャーを掛け続ける」とヴァイレア。近畿大学出身の紙森と天理大学出身の小鍛治は関西大学リーグで凌ぎを削ってきた。「小鍛治さんは意識している」とスクラムでも向き合う1学年上の相手を押し勝つ気は満々だ。キープレーヤーと対峙する2人の出来如何では、勝敗を分けることにもなるだろう。

 

 前半戦を全勝でターンしたS船橋・東京ベイ。後半戦のスタートとなるBL東京戦で勢いを加速させるか。

「自分の得意なアタックとディフェンスで100%貢献したい」(ヴァイレア)

「今までのプロセスを信じて、全て出し切り東芝に勝てるようにチームに貢献したい」(紙森)

 2人の若武者の成長が、その後押しになるはずだ。

 

(文/杉浦泰介、写真/©クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)