「NTTジャパンラグビー リーグワン2022-2023」ディビジョン1第9節が26日、東京と神戸で行われた。東京・秩父宮ラグビー場では、NECグリーンロケッツ東葛(GR東葛)が三菱重工相模原ダイナボアーズ(相模原DB)を33-26で下した。GR東葛は連敗を7で止め、2勝7敗、勝ち点9の11位。相模原DBはこれで4連敗(3勝1分け5敗)となった。7点差以内敗戦のボーナスポイントを加え、勝ち点16の7位。神戸総合運動公園ユニバー記念競技場では埼玉パナソニックワイルドナイツ(埼玉WK)がコベルコ神戸スティーラーズ(神戸S)に48-10で快勝し、開幕節からの連勝を9に伸ばした。勝ち点を40に積み上げ、首位をキープ。敗れた神戸Sは4勝5敗、勝ち点(19)と順位(6)は変わらぬままとなった。

 

 開幕節を勝利しながら対照的な歩みを辿ってきたチームの対戦となった。GR東葛は花園近鉄ライナーズ(花園L)に36-34で競り勝ったものの、そこから7連敗とトンネルに入ったまま前半戦を終えた。一方の相模原DBはリコーブラックラムズ東京(BR東京)をトヨタヴェルブリッツ(トヨタV)、東芝ブレイブルーパス東京(BL東京)を撃破。第6節から3連敗中だが、序盤戦は台風の目となった。

 

 どちらも後半戦のスタートとなる、この試合で連敗をストップさせたいところだ。先制点奪ったのは相模原DBだった。前半4分、敵陣深く左のラインアウトからモールで前進。内へと展開すると、SOジェームス・シルコックが抜け出した。ゴールポスト左にボールを置き、コンバージョンキックも確実に決めた。

 

 GR東葛も黙ってはいない。オーストラリア代表72キャップを誇るSHニック・フィップスがゲームをコントロール。テンポの良いパス回しを長短織り交ぜ、相模原DBディフェンスに的を絞らせない。25分、敵陣でのマイボールスクラムからCTBクリスチャンラウイへ鋭いパス。ラウイは相手1人を弾き飛ばし、ゴールポスト真ん中に飛び込んだ。SO金井大雪のコンバージョンキックが決まり、同点に追いついた。

 

 相模原DBのシルコックに1トライ1ゴールを決められたが、GR東葛は32分、WTB尾又寛汰の好タックルで相手の反則を誘う。ラインアウトからのアタックでフェイズを重ね、34分にフィップスのパスから金井がフィニッシュ。No.8ジャクソン・ヘモポのタックルを受けながらも、インゴール中央やや右にトライを挙げた。ここでも金井はコンバージョンキックに成功し、14-14で再び追いついてハーフタイムを迎えた。

 

 GR東葛は後半開始から敵陣でプレー。9分、マイボールラインアウトをスティールされるが、すぐにプレッシャーをかけてHO佐藤耀が奪い返した。そこからインゴール目前に迫ると、金井が飛ばしパスで大外へ。左で待ち構える尾又がインゴールに滑り込んだ。金井のコンバージョンキックが決まり、21-14とGR東葛が初めてリードを奪った。

 

 逆転を許した相模原DBもラインアウトモールからHO宮里侑樹が2トライ。シルコックはそのうちの1ゴールを決め、26-21と勝ち越した。しかし27分、FBアライアサ空ローランドがHOアッシュ・ディクソンに対する危険なタックルでイエローカード。数的不利で終盤を迎えることとなった。ディクソンはHIA(脳震盪チェック)のため、佐藤と入れ替わった。

 

 その佐藤が34分、ラインアウトからのモールでトライ。数的有利の間に追いついた。勢いに乗る東葛飾は40分。敵陣22mライン手前中央でボールを持ったFBレメキロマノラヴァがグラバーキックで左サイドの裏のスペースを狙う。そのボールをタッチライン際で掴んだ尾又がインゴール左隅に飛び込んだ。これで31-26。試合時間40分経過のホーンが鳴った後の金井のコンバージョンキックも決まり、33-26でGR東葛が接戦を制した。

 

 GR東葛は連敗を7でストップ。12月18日以来、2カ月ぶりの勝利となった。ロバート・テイラーHCは「ハードワークした選手たちを誇りに思う」と語った。

「良くするためにどうするか、考えながら練習してきた。ここ数試合はチャレンジングなことばかりだったが、学びを得て、落ち着いてゲームプランを実行できたことが(今回の接戦での)勝利につながった」

 

 決勝トライをアシストするなど、アタックを牽引したキャプテンのレメキは、「久しぶりに勝ててうれしい」と安堵したが「これからがスタート」と気を引き締める。次節は3月4日、千葉・柏の葉公園総合競技場では、同じく今節で連敗を止めたBR東京との戦う。

 

(文・写真/杉浦泰介)