ニューヨーク・ヤンキースの井川慶投手が22日、本拠地のタンパベイ・デビルレイズ戦で先発登板した。井川は2本のソロアーチで先に2点を奪われ、5回94球、7安打2失点でマウンドを降りた。試合はヤンキースが松井秀喜の2ランで同点に追いつき、その後、7−3と逆転勝ち。井川に勝敗はつかなかった。またデビルレイズ・岩村明憲は出場がなく、井川との今季2度目の対決は実現しなかった。
 カノ、逆転のタイムリー
タンパベイ・デビルレイズ  3 = 110000000
ニューヨーク・ヤンキース  7 = 00020500×
勝利投手 ビスカイーノ(7勝2敗)
敗戦投手 柳(1勝2敗)
本塁打   (ヤ)松井秀15号2ラン、ダンカン1号2ラン
       (デ)アップトン12号ソロ、ウィギントン15号ソロ、カサノバ5号ソロ


「不安定な投球が続くようならば、考えなければならない」
 ジョー・トーリ監督が先発落ちをにおわせる発言をしたと報じられ、井川にとっては何が何でも結果がほしい一戦だった。結果は5回2失点。まずまずのようにも思えるが、内容はまさに不安定そのものだった。

 初回、2死を簡単に奪ってから1点を失う。3番B.J.アップトンへの外角ストレート。これが甘く入り、レフトスタンドに叩き込まれた。さらに2回は1死からタイ・ウィギントンに高めに浮いた変化球を運ばれる。前回登板に続く“マルチ被弾”で井川はリズムをつくれない。

 3回もヒットと四球でランナーをため、1死満塁のピンチを背負った。迎えた5番デルモン・ヤングが放った打球はセカンドライナー。走者が戻れず、ダブルプレーとなる。少しでも打球の行方がずれていれば、1、2点は追加されていただろう。井川にはまだツキがあった。
 そして、さらなる援護は松井秀喜からもたらされる。4回1死1塁、松井はデビルレイズ先発のジェーソン・ハメルの初球をとらえる。打球はぐんぐん伸びてライトスタンドへ。井川を救う同点2ランになった。これで松井は井川の登板試合、3試合連続で援護弾を放ったことになる。

 点をもらった次の回をしっかり抑えたい井川だが、直後の5回、いきなり先頭のブレンダン・ハリスに2塁打を浴びる。2死はとったものの、敬遠と四球で満塁。早くもこの試合2度目の満塁だ。
 打席に入ったのは本塁打を打たれているウィギントン。ここは直球で押し、なんとか右飛に打ち取った。とはいえコースは甘く、バッターの打ち損じとも言えなくはないものだった。

 結果、毎回走者を許した井川の投球数は5回で94球。これでは6回以降のマウンドに立つことは難しい。前回同様、井川降板の後、ヤンキース打線は爆発。6回に一挙5点を奪って試合を決めた。もう1イニング投げていれば、3勝目は自然と転がり込んできたはずだった。

 球数も交代の一因ではあるが、何よりもルーキー左腕に対する首脳陣の信頼が低いことが、早めのスイッチにはうかがえる。そして次回登板は現時点では未定だ。マイナーからはフィリップ・ヒューズら若手が先発候補に名乗りをあげそうな勢いだ。井川にもう1度チャンスはやってくるのか、それとも……。トーリ監督の決断が気にかかる。
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