「NTTジャパンラグビー リーグワン2022-2023」ディビジョン1は、今季3度目のバイウィーク(試合のない週)を迎えた。リコーブラックラムズ東京(ブラックラムズ)は5勝8敗で勝ち点25。6位でプレーオフ進出の芽はなくなった。目下、2連敗中。3月24日、東京・秩父宮ラグビー場で東芝ブレイブルーパス東京(ブレイブルーパス)に敗れたことが決定打となった。

 

 今季、ブラックラムズの試合を取材していてハドル(円陣)について気になることがあった。ハドルとは、試合中に実施するフィールド上のミーティングだ。アメリカンフットボール、バスケットボールなどのチームスポーツでよく目にするが、ラグビーでもインプレーが切れた時に見受けられる光景だ。

 

 昨年12月に行われた第2節、東芝ブレイブルーパス東京(ブレイブルーパス)戦。0対10で迎えたハーフタイムのことである。ブラックラムズのメンバーは、すぐにロッカールームに向かわず、ピッチに残った。そこでハドルを組んだのだ。

 

 この“青空ミーティング”は、一昨年からジャパンでも取り入れている。当時、リーチマイケルはこう理由を語っていた。

「(ハーフタイムの)15分間、ロッカーに戻ると各自がバラバラになることがある。チームとしてまずリフレッシュすることと、同じページを見ることを意識してハドルを組みました」

 

 ブレイブルーパス戦後、SH山本昌太にも話を聞いた。

「今季のプレシーズンから取り入れています。理由としては一旦落ち着かせて、自分たちがどういう状況にあるか、試合をどう感じているのか、1回グラウンド内で話し合うようにしています。ピッチ上で一言二言でも話すことで、わずかな部分ではありますが変わってくると実感しています」

 その効果かは分からないが、ブラックラムズの今季は後半にスコアを伸ばすパターンが多い。

 

 もうひとつ今季の特徴のひとつに挙げられるのが反則の多さだ。第13節終了時点で193は、リーグワースト。1試合平均で14.8個にも及ぶ。ブラックラムズより上の順位のチームは144~153(1試合平均11.1~11.8)個に収めているのだから来季以降、トップ4を狙うためには、クリアしていかなければいけない課題である。

 

 その解決策のひとつなりそうなのが、3月24日に行われたブレイブルーパスとの今季2戦目にあった。試合中のハドルで、選手全員で深呼吸をするシーンが何度か見られたのだ。PR千葉太一は「今日は結構多かった」と口にし、こう述べた。

「例えば時間が止まっている時に1回落ち着かせるためにやっています。チームで“一旦冷静になろう”と。試合中にフラストレーションが溜まっていたり、レフリーと方向が合っていない時に、ネイサン・ヒューズやハドレー・パークス、パディー・ライアンなど経験豊富な選手の声かけで気持ちを切り替えることができていると思います」

 

 ただのハドルと侮ることなかれ。この試合、10-12で敗れたものの、ブラックラムズの反則数は8個だった。今季初めて1ケタ台に抑えた。「少し成長を見せられたかなと思います」と千葉。悪癖を治すことができれば、更なる勝ち点の上積みも見えてくるだろう。

 

 リーグワン・ディビジョン1のリーグ戦は残り3試合。ブラックラムズのハドルと、その後の変化に注目したい。

 

(文・写真/杉浦泰介)