近年、健康な腸内環境をつくるための「腸活」が注目されています。当サイトでは2022年6月から「腸活」をテーマとしたコーナーをスタートさせました。タイアップ企画のパートナーである野村乳業が開発した植物乳酸菌発酵エキス「マイ・フローラ」を数カ月間ゲストに試飲してもらい、当サイト編集長・二宮清純と計3回にわたっておなかの調子や体調の変化などについて語り合います。今回はゲストの杉本美香さんに加え、腸内フローラ研究の第一人者・福田真嗣先生をお招きして鼎談を行いました。

 

 祝・第一子誕生!

 

二宮清純: 杉本さん、お久しぶりです。そして、ご出産おめでとうございます。

杉本美香: ありがとうございます。1月の下旬に女の子を無事出産しました。産まれてきてくれた瞬間に「あ! 私の顔にそっくりだ」と思いました。

 

二宮: それは嬉しいですよね。母子ともに健康で良かった。さて、今回の鼎談で最終回になります。今日は妊娠、出産と腸内細菌の関係などについて、慶應義塾大学先端生命科学研究所特任教授で腸内フローラ研究の第一人者でもある株式会社メタジェン代表取締役社長CEO・CGDOの福田真嗣先生にお話を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

福田: 杉本さん、ご出産おめでとうございます。本日はよろしくお願いいたします。

杉本: ありがとうございます。こちらこそ、よろしくお願いいたします。

 

二宮: 2回目の対談で「今まで便秘とは無縁だったのに、便秘になった」とおっしゃっていました。妊娠された時期と重なっていたのでしょうか。

杉本: そうなんです。妊娠してから便秘になってしまって……。「まさか、自分が便秘になるなんて」とびっくりしました。

 

二宮: 福田先生、便秘の要因は妊娠が関係しているのでしょうか。

福田: その可能性はありますね。実際、「妊娠して便秘になった」という声をよく耳にします。おなかの中に赤ちゃんがいることで腸が圧迫されたり、ホルモンバランスが変化するなど様々な理由で便秘になってしまう方は少なくないようです。

 

杉本: 仕事も転換期を迎えたところでした。それも便秘の要因かなと思っていました。

福田: そういったことも便秘と関係しているかもしれませんね。

 

二宮: 妊娠中、便秘以外で何か変化はありましたか?

杉本: つわりが酷かった。食べても戻してしまうことが多々ありました。だから、「マイ・フローラ」だけを飲むという日もありましたね。

 

二宮: 「マイ・フローラ」は大丈夫でしたか?

杉本: はい。固形物は摂取できなかったんですが、飲み物は大丈夫だったので、「マイ・フローラ」には本当にお世話になりました。味もさっぱりしていたのがよかったのかもしれません。

 

二宮: 出産後の現在、おなかの調子はいかがでしょうか。

杉本: 帝王切開で出産した後、食べ物だけでなく飲み物にも気を付けなければならなかったので、数日間「マイ・フローラ」が飲めなかった。再び飲み始めてからは“快腸”です。便秘が続くようなら便通を良くする薬を飲もうかなとも考えていましたが、その必要はなかった。

 

福田: 帝王切開だったんですね。腸内細菌の観点から(自然分娩などの)経腟分娩と帝王切開について、研究事例があるのでご紹介します。

杉本: ぜひ、お願いします。

 

 経腟分娩と帝王切開

 

福田: 経腟分娩はお母さんの産道を通って赤ちゃんが産まれてくるので、この時に赤ちゃんはお母さんから腸内細菌を獲得します。

 一方、帝王切開児は産道や膣を経由しないため、経腟分娩児よりお母さんから受け継ぐ腸内細菌が少なく、帝王切開児の腸内細菌の種類やそのバランスも経腟分娩児とは異なることがわかっています。腸内細菌は免疫系にも関わることが知られており、疫学調査では帝王切開児は経腟分娩児よりアレルギー疾患に罹るリスクが2~3割ほど高くなることが報告されています。

 

杉本: 少しでもアレルギーを発症するリスクを減らすには、どうすればよいでしょうか。

福田: 赤ちゃんの腸内環境を整えてあげることで、アレルギーを発症するリスクを低減出来るのではないかと考えています。ところで、今は母乳と育児用ミルク、どちらを飲ませていますか?

 

杉本: 母乳と育児用ミルクの混合で育てています。

福田: 母乳にはヒトミルクオリゴ糖と呼ばれるビフィズス菌が好む成分が入っていますので、母乳を飲ませてあげて、赤ちゃんの腸内にいるビフィズス菌に元気になってもらうことが大切です。育児用ミルクも今はたくさんの種類があり、オリゴ糖などが含まれる商品もあるので、お子さんに合うものを選んであげてください。離乳食は少し先だと思いますが、いろいろな食材を食べることも赤ちゃんの腸内環境を整えるには有効です。

 

二宮: ミルクや離乳食以外で、赤ちゃんのアレルギー疾患リスクを減らす方法はありますか?

福田: 赤ちゃんの腸内フローラが免疫系と相互作用するのですが、だいたい3歳くらいまでに免疫系も腸内フローラも大人型になることが示唆されています。幼少期の間にいろいろな菌に触れさせることは免疫系の発達に重要なので、例えば木々が生い茂る自然の中でのキャンプとか、家畜がたくさんいる牧場とか、あるいは近場だと公園の砂場とか、いろいろなところで遊ばせてあげることも大事だと考えています。近年の子供は衛生環境が整った住環境で育っているため感染症のリスクは低いのですが、逆に様々な菌に触れる機会も減ってしまい、その結果として花粉症やアレルギーの子供が多くなっていると考えられています。早い時期にいろいろな菌に触れることがお子さんの免疫系の発達にも重要なので、お忙しいとは思いますがお子さんとたくさんお出かけしてあげてください。

 

二宮: 砂場遊びも免疫系を鍛える大切な要素なんですね。妊娠や出産を機に食生活や生活習慣で変わったことはありますか?

杉本: 白米が好きなんですけど妊娠をきっかけに白米から玄米に替えました。妊娠中に体重制限があったので、気を付け始めたんです。

福田: それは素晴らしい。白米より玄米の方が食物繊維が豊富なので、腸内細菌のエサになりやすいです。その他に変えたことは?

 

杉本: フルーツアレルギーなのですが「バナナがつわりに良い」と聞いてトライしてみたら、大丈夫だったので食べています。

福田: 腸内細菌は脳腸相関(脳腸相関に関してはこちらの回を参照)を介して、食の好みにも影響することが動物試験でわかってきているので、もしかすると杉本さんの腸内細菌が「あれを食べろ、これを食べろ」と命令しているのかもしれませんね。

 

二宮: 面白いですよね。腸が脳に命令している可能性があるかもしれない、と。

杉本: 最近は玄米フレークにオリゴ糖をかけて食べているんです。それも“オリゴ糖を摂った方がいいのかな?”と頭で考えたんじゃなくて、腸がオリゴ糖の必要性を感じ取って、脳に命令しているってことですか?

 

福田: 腸内細菌はオリゴ糖も大好きなんです。腸内細菌によって“オリゴ糖を食べさせられている”可能性もありますね。英語だと“直感”のことを“gut feeling”と言います。gutは日本語で腸。食べたいなと思ったものを素直に食べるのは体にいいことだと思いますね。

 

杉本: 直感の鋭さは自信あります! しかし、腸に操られているなんてびっくりです。

福田: 他にも腹を決めるとか、腹をくくるとか、あるいは腹に据えるとか腹が立つとか、物事を決めたり感情に関わる言葉も多いですよね。腸内細菌たちの声を聴いて彼らと共に生活することが、健康で幸せに生きるために必要なことなんだと思います。

 

二宮: 今の言葉、腸内フローラ研究の第一人者の福田先生が言うと深みがありますね。福田先生のアドバイスをもとに、ぜひお子さんとご自身の「腸活」に励んでください。

杉本: 娘のためにも今日、教えてくださったことを参考にしつつ、自分でももっと腸内フローラについて調べてみようと思います。そして、自分の“おなかの声”にももっと耳を傾けようと思います。

 

 

<杉本美香(すぎもと・みか)プロフィール>

1984年8月27日、兵庫県出身。11歳から伊丹土曜柔道教室に通い始める。大阪市立汎愛高等学校進学後、全国高校選手権を制する。筑波大学を経て07年、コマツに入社。10年、東京で開催された世界柔道選手権では78キロ超級と無差別級で優勝し、日本人女子で初となる2階級制覇を達成した。12年にはロンドン五輪の日本代表に選出され78キロ超級で銀メダルを獲得。同年11月、現役を引退し、コマツのコーチや監督を歴任。22年3月にコマツを退職し、現在は講演会、体験会、メディア出演などを行いながら柔道の魅力を伝えている。

 

 

 

<福田真嗣(ふくだ・しんじ) プロフィール>

慶應義塾大学先端生命科学研究所特任教授 / 株式会社メタジェン代表取締役社長CEO・CGDO。2006年明治大学大学院農学研究科博士課程を修了後、理化学研究所基礎科学特別研究員などを経て2012年より慶應義塾大学先端生命科学研究所特任准教授、2019年より同特任教授。2016年より筑波大学医学医療系客員教授、2017年より神奈川県立産業技術総合研究所グループリーダー、2019年よりマレーシア工科大学客員教授、JST ERATO副研究総括、2021年より(一社)腸内デザイン学会代表理事、2022年より順天堂大学大学院医学研究科細菌叢再生学講座特任教授を兼任。著書に「もっとよくわかる!腸内細菌叢 "もう一つの臓器"を知り、健康・疾患を制御する」(羊土社)。

 

 

 

植物乳酸菌発酵エキス「マイ・フローラ」は、野村乳業と広島大学大学院との共同研究から誕生した新しい乳酸菌飲料です。独自の発酵技術により、植物乳酸菌を飛躍的に増やし、100mlあたりに含まれる菌の量は1000億。このうち95%の植物乳酸菌が胃酸に負けず、生きて腸まで届きます。香料や保存料は不使用のため安心安全な飲料です。

 

プレバイオティクス「マイ・フローラ ブースト」は、たった3粒で善玉菌の増殖を加速させるサプリメント。増えにくい善玉菌を増やすために野村乳業が独自に開発したプロバイオティクスのブースター(増殖剤)です。「マイ・フローラ」などのプロバイオティクスと一緒にお飲みいただくことで、善玉菌の働きを力強くサポートします。常温保存可。


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