２季目を迎えた女子ソフトボールの『JD.LEAGUE』は、４月15日に開幕する。今季から立ち上がった『JD.LEAGUEファンサービス向上プロジェクト』の一環として、リーグは元北海道日本ハムの杉谷拳士氏をスペシャルサポーターに任命した。明るいキャラクターでお茶の間の人気者となった杉谷氏に期待することとは――。
ここ３年はコロナ禍により、スポーツ界はファンとの“ふれあい”が満足に行えなかった。今季からはスタジアム、アリーナでの声出し応援が徐々に解禁となり、選手とファンとの距離が戻り、活気を帯びていくはずだ。それは２季目を迎えるJD.LEAGUEも同じだろう。
島田利正チェアマンは２年目のテーマについて、「世界一ファンと選手が近いリーグを目指す」と言い、こう続けた。
「リーグは昨年より、“Wow！”を届けることを目指していました。“Wow！”とは、感動・ドキドキ・ワクワク、日本語で言うと“すごいな”という思い。そして今年は、その“Wow！”にもうひとつ付け足させていただきます。“近すぎてWow！”です。ファンの皆様にできるだけ近づきたいと思っています。物理的にはもちろんですが、心、その他も含めてです」
そのためには「ファンサービスは欠かせない」と島田チェアマン。その一環として「JD.LEAGUEファンサービス向上プロジェクト」を立ち上げた。
「選手たちは笑顔を全面に出し、ファンと接していただいていますが、今季はさらに磨きをかけたい」
新プロジェクトのスペシャルサポーターに指名されたのが、昨季限りでプロ野球選手を引退した杉谷氏だ。リーグとしてはファンサービスに重点を置いていた日本ハムで14年プレーした杉谷氏に、“ファンサービス向上委員会”の役を担ってもらいたい意向だ。
島田チェアマンは言う。
「彼は本当にファンに愛された選手。どういうふうにしたら愛されるのかを、本人が一番分かっていると思うので、それを選手たちに伝えていってほしい。また今後のプランについては、ファンサービス向上プロジェクトとして、選手たちとセッションを組んでやってもらう。そこでいろいろな議論を交わし、“ファンサービスを今後どういうふうにしたらいいのか”を一緒に考えてもらいたいと思います。もちろん試合会場のところでも、何らかのかたらで絡んでもらうことは考えています」
杉谷氏と島田チェアマンは、かつて日本ハムの選手と球団代表という関係だった。杉谷氏はオファーを受けた際、二つ返事で引き受けたという。
「今年に入って、いろいろと島田さんと話をする機会がありました。“一緒に仕事できたらいいね”から始まり、“こういう取り組みがあるんだけど”と打診を受けた。迷わず、“はい”と。“僕でよければ、勉強したいのでお願いします”と返事をしました」
「かけがえのない存在」
「本当に今まで野球しかやってこなかったので、ソフトボールを勉強していきたい。選手たちと一緒になって高め合っていけたらと思っています。ソフトボールの選手たちは明るいという印象を持っています。その明るさをもっともっと日本、世界に広げることが僕のミッションではないかなと思っています。せっかくこうやって選手の方たちが明るいので、それをどんどんどんどん世に発信できればなと思っています」（杉谷氏）
杉谷氏の魅力は、“いじられキャラ”にある。それがファンから愛される理由のひとつだ。
「14年間プロ野球生活で、ファンの方たちと接していく時に、目を見て話すことはすごく大切だと思っていました。挨拶ひとつにしても、暗い挨拶をして、“なんか暗いな”と思われるのか、明るく挨拶をして“すごく元気だな”と思われるのか。それだけでも第一印象はだいぶ変わってくる。そういったことも選手たちに伝えていきたい」
いわば凡時徹底である。なぜ杉谷氏は、ファンサービスを大事にするのか。それはファンが「かけがえのない存在」だからだ。
「ファイターズ時代から、プラスアルファの力を出させてもらった。ファンからの声援ひとつで自分の持っている能力以上のものが出せる。かけがえのない存在でした。ここ２、３年はコロナ禍で、なかなか声を出して応援というかたちを取れなかった。今回のWBCを観た時、改めて感じたのが、やっぱりファンの方たちの声援が、選手たちのパワーになるのだと改めて感じました」
新規ファン獲得という点では、“ソフトボール界の杉谷拳士”誕生にも期待したいところだ。「実際に見ていて“面白いな”と思う選手は何人かいます。いろいろなところで杉谷のエッセンスを注入できたら、かなり可能性はあると思います」と島田チェアマン。期待する選手のひとりとして、昨季のリーグ会見などで、お笑いコンビ「ミルクボーイ」のネタを真似した「ミルクガール」のツッコミ役を担った安川裕美（伊予銀行ヴェールズ）の名を挙げた。
杉谷氏との契約は今年12月迄。約８カ月間でのJD.LEGUE×杉谷拳士の化学反応に期待したい。名前を文字って“ちかすぎや”という愛称で活動するという。「ファンの方たちとの距離もそうですし、選手との距離もできるだけ近くに。密着とまでは言わないですが、近すぎず、離れすぎず、いや、近すぎる」と杉谷。早くも“杉谷節”全開である。
※BS11では「JD.LEAGUE」情報番組『Wow！ JDリーグ』を４月12日（水）19時から放送スタート。全16チームの注目選手をピックアップし、シーズンの行方を占います。杉谷拳士氏のJD.LEAGUEファンサービス向上プロジェクトスペシャルサポーター就任会見の様子も放送予定。また第１節の注目カードであるビックカメラ高崎vs､日立の試合を４月15日（土）20時よりオンエア予定です。どちらも是非お楽しみに！
（文・写真／杉浦泰介）
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