日立・坂本結愛、覚醒した長距離砲 ~女子ソフトボール~
昨年スタートした女子ソフトボール「JD.LEAGUE」は、この4月で2シーズン目に突入した。昨季、東地区で最多本塁打賞に輝いた坂本結愛(日立サンディーバ)は、今季4試合終了時点で既に2本塁打をマークしている。長距離砲として覚醒した坂本に今季の抱負を聞いた。
――今季のチームカラーは?
坂本結愛: 相変わらず明るいチームだと思います。本当に、元気なチーム。選手が入れ替わり、若手が増え、そうした雰囲気はより濃くなったと感じます。日立の試合に来ていただけたら、元気なチームの姿をぜひ見てほしい。
――今季からインフィールドリーダーに就任しました。
坂本: キャプテンは坂本実桜ですが、彼女はピッチャー。ブルペンに入るなど、チーム練習にずっといるわけではありません。今季は副キャプテンを置かず、インフィールドリーダーが私、アウトフィールドリーダーが藤森捺未。自分と藤森が、練習からチームを引っ張っていかなきゃいけないと思っています。
――どういうリーダーシップを発揮したいですか?
坂本: チームをまとめていくことはもちろんですが、雰囲気づくりも大事にしたい。誰もが言いたいことを言えるチームでありたいと考えています。
――2021年から日立に加わりました。戸田中央総合病院(現・戸田中央メディックス埼玉)から移籍した理由は?
坂本: それまで以上にソフトボールに集中したかったからです。
――神奈川県生まれで、高校も厚木商業出身です。入団前から地元の日立に憧れていたのですか?
坂本: はい。中学生の時から“日立に入りたい”と、ずっと思っていた。実は高校時代に日立のセレクションを受けたのですが、落ちてしまった。だから今は“やっと入れていただいた”という感じです。
――実際に入団してからのチームの印象は?
坂本: チームに入ってすぐ、みんなが声をかけてくれました。優しいし、一緒にいて楽しい。すごくいい雰囲気のチームだと思っています。
「やるべきことが明確に」
――ご自身の最大の武器はバッティングですね。
坂本: そうですね。バッティングでここまで生きてきたと思っています。ただ今年は守備にも力を入れているので、そこは注目してほしいなと思っています。
――昨年、チームのYouTubeで「引っ張るバッティングはしたくない」と話していました。
坂本 : 元々、私はめちゃくちゃ引っ張るタイプのバッターでした。子どもの頃から三塁側に飛ぶ打球がすごく多かった。ファウルやアウトの内容は、バッテリーからすれば狙い通り。それで戸田でプレーしていた時から田上美和監督(当時)と一緒に「詰まってもいいからセンターから右方向へのヒットを増やそう」と取り組んできました。感覚的にもその方が合っていることに気付き、それからはセンターから逆方向へ打つことを意識するようになりました。ただバットに当てにいくような打ち方は好きじゃない。いかにボールをバットに当てる時間を長くするか。右手でボールを押し込むことを心掛けています。
――チャンスでの打席を課題にあげていました。
坂本: 今は自分のバッティングに集中するため、ランナーを頭の中から消すようにしています。どういう球で攻めてくるだろうか。若い時はただ、“打ちたい”“結果を出したい”という気持ちにとらわれていました。だけど今は、自分のバッティングさえすれば、おのずと結果はついてくる、と考えられるようになりました。日立に入ってからは、冷静にボールを見極められるようになった気がします。
――昨季は東地区で最多本塁打賞を獲得。同地区のベストナイン(三塁手)にも輝きました。
坂本: 自分のやるべきことが明確になり、自分のバッティングを表現できた1年だったと思っています。
――そのきっかけは?
坂本: バットをどの角度でボールに入れれば、遠くへ飛ばせるか。そのコツが少しずつ分かってきた。
「昨年を超えたい」
――誰かのアドバイスの影響ですか?
坂本: チーム練習や自主練習の時にピッチャーをしてくれるマネージャーの泉(礼花)さんが、親身になって意見をくれました。「いい時はこうなっていて、今はこうなってるよ」と。そのアドバイスがすごく的確でした。
――JD.LEAGUEの公式サイトで、ライバルにビックカメラ高崎の工藤環奈選手をあげていますね。
坂本: 彼女とは日本代表で一緒にプレーしていますし、すごく仲がいい。去年ホームラン王を争っていた時には、「ホームラン打つなよ」と言ったりもしました。彼女の活躍は刺激になります。
――選手としての理想像は?
坂本: 坂本に回せば何とかしてくれる、と仲間に思われるバッターになりたい。またバント、エンドランといった細かいこともできるのが、私の強み。守備はあまり得意ではありませんが、いろいろなポジションを守ることができる。いつも任されたポジションを全力で守るという気持ちでプレーしています。
――最後に今季の意気込みを。
坂本: 個人としては去年の結果を超えたい。そしてタイトルを獲る選手でありたい。今季はベストナイン、最多本塁打賞だけじゃなく首位打者、最多打点も視野に入れています。チームとしては、去年、一昨年とプレーオフに進みながら、優勝には届かなかった。だから“次は優勝するしかない”と思っています。必ず優勝し、加えて自分の結果がついてくれればうれしいですね。
<坂本結愛(さかもと・ゆい)プロフィール>
1996年4月22日、神奈川県生まれ。中学1年から本格的にソフトボールを始める。神奈川・厚木商業高を経て、2015年に戸田中央総合病院(現・戸田中央メディックス埼玉)に入団。チームの正捕手として活躍し、日本リーグ6シーズンで2度のベストナイン(捕手)を受賞した。21年に日立サンディーバに移籍。リーグ5位の打率3割3分3厘をマーク。4本塁打を記録した。22年は11本塁打を放ち、東地区の最多本塁打賞を獲得。打率3割5分4厘(リーグ4位)、25打点(同3位)の打撃2部門でもリーグ上位に入り、三塁手でベストナインを受賞した。22年度より日本代表に選出。8月の日米対抗にも出場した。今季からインフィールドリーダーとして内野陣をまとめる。右投右打。身長164cm。背番号7。
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(取材・構成/杉浦泰介)